長かった道のり

 長かった道のりを思い出す。ここに至るまで11年。覚えているだけで5回は申請し、その都度、悔しさや苛立ち、怒りと悲しみのドラマがあり、ようやく無期限型の滞在許可証を取得。これでもう一生、移民局に並ばなくても良いのかと思うと、嬉しいというよりは妙に感慨深くなる。

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 18世紀に7年かけて完成したラグーザのポンテ・ヴェッキオもまた、建設に際してきっといろいろなドラマがあったことだろう、と想いを馳せながら、いつになく晴れやかな気持ちでこの橋を渡っている。

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 滞在許可証、permesso di soggiorno、これを得るために、イタリア在住の外国人にはみなそれぞれの苦労話があると思う。私もこの件では随分泣かされてきた。移民局とは縁が悪いとしか言いようがないことばかり。
 まずは申請のたびに一旦はナポリに行き、市役所で結婚証明書を取得し(ナポリで結婚したので)、住民登録に必要な住居証明のために引越しもしたし(前の大家さんが借家証明を税務署に出してくれなかったから)、出生地の証明にアメリカにも書類を申請したこともあった。

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 移民局での指紋採取のために毎回4時間は並んだし(2007年の最悪の日の記事は こちら→)、滞在許可証の受け渡し日に行ってみると、さんざん並ばされた挙句、まだ出来ていなかったということも。最後の指紋採取の時は、私のファイルが行方不明で1週間後また来るように言われ、再度行ってみると、そんな話は聞いていない、と想像通りの展開に。
 そもそも11年前の最初の滞在許可証に、誤って出生地TOKYOと記載された時から、魔の悪循環が始まっていた(出生地訂正のために奮闘した時の記事は こちら→)。
 
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 今手にしている許可証は、申請から取得まで1年2か月もかかった。有効期限が切れてしまった許可証のままドイツ経由で日本に一時帰国したときは、空港警察に止められ、日本に行きたいのなら行けばよいが、帰りはヨーロッパに入れないから覚悟しておくように!という脅しのような言葉を受けた。そんなはずはない!と日本のドイツ大使館とフランクフルト空港警察に問い合わせし(電話とメール両方)、イタリアに戻るときはリディアと二人だけだったので、全てのメールのやり取りをプリントアウトし、自分の立場を理路整然と説明できるよう、機内でもぶつぶつ練習。
 案の定、入国審査で厳しく質問されたけれど、練習の甲斐あって、渋い顔をした警官が入国スタンプを押してくれた。イタリアは手続きが遅すぎる!と言いながら。

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 ああ、思い出すと本当にいろいろなことがあったな。でもこれでやっと晴々した気持ちで暮らしていかれる(ような気がする)。

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 イタリアに住む外国人シニョーラとして、どんな人生を送っていくのかな。きっとまだまだ、山あり谷ありだろうけれど、家族3人で力を合わせて乗り越えていこう。


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# by hyblaheraia | 2015-06-02 01:39 | 生活 | Comments(10)

カビ一掃!

 今年の冬は本当に雨が多く、2月に至っては一か月間ほぼ毎日降り続け、心も体も洗濯物もジメジメ。そしてもちろん家も湿気をたっぷりと含み、壁から天井にカビが例年以上に発生!タンスの中のしばらく着ていない服までもカビる始末。冬に湿度の高いラグーザではよくあることだけれど、今年は町中がカビに悩まされているそう。
 空気が乾く季節と職人さんの仕事の空きを待ち、ようやく塗装作業開始。
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 朝8時から、続々と運びこまれる仕事道具。職人さんが二人、二日間で作業をしてくれることに。
 メインバスルーム、寝室、リディアのプレイルーム(本来は客間)は漆喰をはがし、二度塗りする作業を。さらに予定になかった書斎とキッチン、玄関のカビも薬品でふき取ってもらった。

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 ドアを通り抜けできない幅のベビーベッドは、解体せずに、ダブルベッドの上にボンッ!と乗せてビニールでぐるぐる巻き。大胆な準備にびっくり!

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でも塗料で汚れないように、なんでもカバーを付けてくれたので安心。仕事は早く、思ったよりも丁寧。

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 一方リディアは、自分のベッドがなくなり、遊び場も奪われ、不安な様子。ぴーぴー泣いたり、部屋の一角に山積みにまとめたおもちゃを次々に出して来たり。

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そんな不安行動真っ最中のリディアを連れて、夜はいつものネッロさんのB&Bで一泊。去年と一昨年は虫騒ぎだったし、毎年何らかの理由でここに避難しているような…。

 ああ、でも二日間でカビは一掃!別の家にいるような真っ白な壁と天井に、みな大満足!さあ今日はプレイルームを元に戻して、リディアのご機嫌を取り戻さないと。


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# by hyblaheraia | 2015-05-20 17:56 | 生活 | Comments(4)

ラグーザの馬場

 以前にラグーザで教えていた生徒の中に、二人の子供がいるドイツ人のお母さん、クリスティアーネさんがいた。自分の娘たちと同世代の学生にまじって最前列で授業に臨み、ドイツ語訛りの力強いイタリア語で熱心に質問する人だった。その彼女が卒業論文を書く準備のため、ルカの指導を再び受けることになり、つい先日、久しぶりなので我が家にお茶にご招待した。リディアの紹介も兼ねて。

 次女のカロリーナさんと来宅し、弾むおしゃべりの中で、乗馬のレッスンに毎日二人で通っているからリディアに馬を見せてあげる、ということに。そして昨日の午後、リディアはお昼寝していない?じゃあ馬を見に行きましょうよ。5時15分にお宅の前でね!と突然の電話。行動派の彼女らしいお誘いに感謝。リディアも Si, andiamo a vedere i cavalli~! Dobbiamo uscire~! お馬さんを見に行こう!出かけなきゃ!と大興奮。

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 ラグーザ郊外には3つの馬場があり、そのうちの一つがここ。30頭近くの立派な馬がいて圧巻。ほとんどが持ち馬で、シチリアらしい難しい名前が多いのが面白い。

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 カロリーナさんは乗馬のレッスンのため、馬具を取り付けている最中。

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 白い体にグレーのマーブル模様が薄く入った上品なお馬さん。名前は…、Sで始まるシチリアっぽい名前…。ちなみに7000ユーロ(約91万)で購入したとのこと。13、4歳くらい女の子が乗っていた黒光りするAlexという馬は、なんと25000ユーロ(約325万)!ヴァイオリンみたいな価格にびっくり!

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 そんな立派なお馬さんたちの手綱を引き、子供たちは月曜から土曜まで夕方に毎日レッスン。4,5歳から始められるそう。

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 レッスンが始まる前の各自のウォーミング。次々に子供たちが馬を連れて入って来て、最終的には10数頭がギャロップや柵越えを練習。

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でもリディアは遠くから馬を見ているだけでは満足せず、Voglio carezzare i cavalli! お馬さんをなでなでしたい!と、馬舎でお休み中の馬たちをかたっぱしからなでなで。

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 口の上辺りのやや凹んだ部分を触ると、この上なく柔らかく、温かく、ふわふわの幸せな気分に!クリスティアーネさんはキスまでしちゃうし。

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 子供たちは皆、一人で馬具を取り付けレッスンに行き、たくさん走って汗だくで馬舎に戻って来ると、馬に水を飲ませたり、体をブラッシングしたり、仲良さそうにしていてとても頼もしかった。白いポニーで練習中の7,8才の女の子は背が届かないので、クリスティアーネさんがお手伝い。

 子供たちの様子を見ていたリディアは、Voglio salire su cavallo!お馬さんに乗りたい!を連呼。最後に係のおじさんが茶色のポニーにひょいと乗せてくれて、目をキョトンとさせながら手綱をしっかり握り、とっても満足そうだった。
 お昼寝せずに頑張って起きていて、たくさんの馬に触れた一日。全身全霊で遊んで疲れたのか、帰宅してシャワーを浴びさせている間に寝てしまい、翌朝8時半まで12時間の熟睡。

 コンサートも図書館も児童館も何もない、と嘆いていたけれど、ラグーザの良さはこんな所にあったのかと再認識。もっと外に目を向けなきゃ!


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# by hyblaheraia | 2015-05-17 17:23 | 伝統・技術 | Comments(4)

テラスの季節

 4月半ばの土曜の朝、散歩がてら、お魚を買いに行こうと出かけると、途中で花市場が開かれていた。目の覚める色の夏の花たちとモリモリ元気なハーブたちを見るなり、買おう、買おう!と3人の意見が一致。

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 物事を決めるのに人の3倍くらい時間のかかる私は、どの花も、どの色も気になり、どれとどれを組み合わせれば楽しいテラスになるかと想像しているうちに、何だか分からなくなってしまい、ここは一旦、元の目的に戻ってお魚を買いに行き、帰りにもう一度寄ろうと提案(せっかちで10分以上待てない人、一人)。


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 結局、迷ったわりには昔と同じように、ペチュニアを。
ラグーザの青空に映えるこの濃いピンクと深い紫の2色。同系色を選び、花びらの種類の少し違うものを並べるのが好き。

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 大きなひまわりはルカが選んだもの。これがいい!と即決。対照的な我々。
 ミントとセージ、他にバジリコとルコラの種も。それにしても、こんな太った茎のミントは久しぶり!


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 さらに、お花と、土いじりと、水遣り、という、初めての体験に大興奮のリディア。

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 長靴を履き、朝は水遣りと水たまり遊びで大はしゃぎ。それ以外の時間もテラスに出て、両手でワサワサと草花を触って、いいな!、ワサワサ、

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いいな!、ワサワサ、を繰り返す(その真っ最中)。 葉がこすれて、スーッとしたハーブの香りが漂ってくるのが気持ちいい。
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 太陽がじりじり頭を焼く時間でも、デッキチェアに一緒に座ろうと催促され、花たちを眺め、歌を歌ったり、雲を眺めたり。
 暑くて長靴は脱ぎ捨て、私も室内履きは脱いでおります。


 テラスの楽しい季節到来!これからの夏が楽しみ。
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# by hyblaheraia | 2015-05-07 17:50 | Comments(4)

真朱色

 空気が冷え、やや強めの風が吹いた一日の、日没の頃にその色は静かにやって来る。
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 真朱色、まそおいろ。
 窓の向こうの異様なまでの朱さに気付き、テラスに出てみると、上空には輝く龍が立ち昇っていた。風に向かって行先を見据え、

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月の横をしなやかにうねりながら、

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風の中に長く尾を引いていった。

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 風の中から生まれ来て、ものの数分で風と闇の中へ消えていく真朱色の空。その光り輝く色に出会えた時の心の中には、込み上げて来る歓びと突き上げてくる悲哀感がせめぎ合っている。

 ああ、この逆説的な心地よさは何だろう。ラグーザの空の魅力は計り知れない。
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# by hyblaheraia | 2015-05-01 09:59 | Comments(6)

ナポリ・ミセーノ海岸での貝殻拾い

 復活祭の一連のお祝いを終えた翌朝、お天気もいいし海へ行こう!ということになり、ナポリ湾の一番左端、つまり最南西部のミセーノ海岸へ。

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 ナポリ市内から車で約1時間で到着。プロチダ島の先端とその向こうにイスキア島の山が見える場所。
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 真っ青な海と照りつく太陽を求めてやって来たのに、空は雲に覆われ、冷たい風に容赦なく吹き付けられ、皆の頭の中は早くもレストランで暖を取ることで一杯に。

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 ただ一人、寒さ知らずのリディアは、砂浜を駆け回り、砂をつかんでは宙に投げ、
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貝殻と遊び、歓声を上げる。その小さな手から貝殻を受け取り、集めているうちに、私の方がその色彩と種類の豊かさに夢中になり、気付けば小さなビニール袋が一杯に。
 この無秩序な貝殻の連鎖の中に、いったいどのような関係性が隠れているのか。早く知りたい気持ちが高まるのを感じつつ、

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翌日は楽しく分類。砂を洗い流し、小さな貝殻一つ一つと対面しながら種類ごとに分けていく。時々、分類に迷うものが出てくるけれど、個々の特性を明らかにしつつ、属すべきグループを悩む時間もまた、いとをかし。ああ癒される、この分類作業。

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 と没頭している私の横で、同じく分類に励むリディア。全部表に向けたり、裏向けにしたり、大小に分けたり、いろいろと試していて、横から触ろうとするとNo!と叱れてしまった。

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 ラグーザに戻って来てもテーブルの上や、
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プレイマットの上で、いろいろ自分なりにグルーピングしているよう。分類好きの母としては、この楽しさを共有できる相手ができ嬉しい限り!

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 ミセーノ海岸の思い出に、貝殻を色や形、質感が一目できるよう分類して飾りたかったのだけれど、気の利いたケースがないので空き瓶を使ったら、かなり渋めの仕上がりに・・・。
 ちなみにこれは、貝の固さに基づく二大分類なのであります。


分類好きの方、ボルロッティ豆の分類もあります こちら →
背後の勧進帳柄の羽子板については こちら →
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# by hyblaheraia | 2015-04-17 16:14 | ナポリの実家 | Comments(2)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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2013年11月、共著出版



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