2007年 11月 20日 ( 1 )

ラグーザの暖房事情

 ラグーザの長い冬が始まった。これから本格的な春の声を聴くまで、植物も人間も息を潜め、体力の温存期間に入っていく。生命力が爆発する夏に向けて、生きとし生ける物が経ねばならぬ一年のリズムである。

f0133814_732778.jpg 今年は寒さの訪れがいつになく早い。数日前に最低気温が3度にまで下がり、霰(あられ)も降った。
 その叩きつける勢いでバジリコの葉は破れ、ジャスミンは引きちぎられ、多肉植物の表面には傷が残った。
 雪になるかと心配したが、大雨と落雷、最後には晴天と目まぐるしく天気が変わった。
 そしてどんな時にも、ただ寒い。寒かった。
 
f0133814_7403042.jpgf0133814_7405251.jpg
 翌日は正午でキッチンが11.6度。吐く息が白い。冷蔵庫並みの寒さだ。フリースは既に10月から、今はタイツに厚編みの靴下を重ね、裏が起毛のズボンをはき、上は4枚重ね着している。まだ11月なのに、普段の1~2月の重装備。
 パソコンや机に向かっていると、寒さで集中できなくなる。そんな時は作業を中断して南側の窓に椅子を置き、日光浴をする。太陽の光は凄い。ただ浴びるだけで、じわじわと温まってくるのだから。でも夜はどうにもならない。そろそろ暖房が必要か、と考える。が、ちょっと面倒なのだ、これが。

f0133814_7292940.jpgf0133814_7281584.jpg 我が家の暖房の中枢はテラスの一角にある。この金の扉(銀の棒にも注目)を開けると、中に巨大なガソリン・タンクラジエーターがあり、ガソリンの燃焼熱で室内の暖房器具に湯を送り込むというシステム。
 ラグーザでは一般的なガスオーリオ式というものだが、ガソリンの購入と注入が大変なのだ。

f0133814_729570.jpgf0133814_7294551.jpg まずはガソリン会社に注入日の電話予約をする。我が家は細い一方通行の道に面しているので、ガソリン車は人の往来の少ない早朝7時にやって来る。
 長いホースを地上から4階(イタリア式の3階)までロープで引き上げ、写真左のボルトを開け、そこから注入するのだ。高所の作業なので、予約した日が雨だと延期になる。
 ガソリンの残量を測るには、銀の棒(写真上の上:金の扉に立てかけた)をボルトの奥までしっかり差し込み、取り出す。棒の先何cmがオイルで濡れているかで残量を読むのだ。こんな原始的な方法をどこの家でもやっている。
 スイッチの確認も目と耳に頼る。ガソリンを燃やすと、ゴーッという音とともに煙が出るので、この音と煙を確認してから家に入る。不完全燃焼が起きては恐ろしい。いや、キッチン横にガソリンが300リットルもあること自体が恐ろしい。

f0133814_942343.jpg さて、こうしてガソリンを燃やすと、家の中ではこのテルモシフォーネtermosifoneに湯が通って来る。触れられないほど熱いのならいいが、触れられてしまう程度の熱さ。これが各部屋にあり、2時間付けて16~17度が精一杯だ。
 しかし人間の身体は幸せなことに、2、3度上がるだけで暖かくなったと感じるものなのだ。真冬の室内10度を体験すると、今日は12度もある!などと言うようにさえなる。我々にとっては15度息が白くならない暖かい家。十分幸せなのである。
 ナポリの親戚の家で、18度しかないから暖房をつけよう、という声を聞いたときに、我々がいかにストイックな暮らしをしているかを笑った。真冬はここに二人で張り付いて、我慢大会を実施している。
 

f0133814_7411329.jpg 今年はまだガソリンを買っていないので、暖房も点けていない。
 寒い夜は、ルカがこんなものを作ってくれる。りんごを細く切り、シナモン、クローブ、生姜、蜂蜜で煮込んだもの。身体が芯から暖まる。

f0133814_7413527.jpg それでも寝る時は足が寒い。とうとう湯たんぽも先週から登場した。電気あんかを日本から持ってきているが、変圧器を通すと電気を大いに消費すると聞いたのでやめてしまった。我が家の湯沸かし器は電気式なので、電気代を押さえる努力は惜しまないのだ。
 最近は、昼の勉強にも湯たんぽを抱えている。

 こんな暮らしをしていると、リモコン一つでヒーターを点けていた日本の生活が今では罪深いものに感じてしまう。電気もガスも、湯も水も、エネルギーと人との関係がここでは全く違う。
 電気は二人がいる部屋だけ、湯沸かし器は就寝前に点け、翌朝シャワーを浴びたら消す。水は一日一定量、タンクへの給水式なので無駄使いは絶対にしない。都市ガスは通っていないのでボンベを買って大事に使う。だから日本から来客があると、とにかく電気を消しまくり、水を無駄にしないよう力説している。
 それでも家族が来た時は、電気代が普段の約1.5倍になり、水が底を突いた日もあった。そんな「シチリアの山奥で、最小限の水と最小限のエネルギーで暮らしている」娘夫婦を、両親は驚きつつも感心していた。

 家に籠もりがちの冬、いかにエネルギーを無駄にせず生活するかが、我々デスクワーク夫婦の課題である。寒さ解消方法としてはりんご煮、湯たんぽ以外に、CDを聴きながら歌う、それでもダメなら音楽に合わせて激しく踊る、という自己発電を行う。
 ただ、クリーンなエネルギーであるはずなのに、踊ると埃がたってクリーンではなくなるのが難点ではある・・・か・・・。

人気blogランキングに参加中 クリーンなエネルギー・・・!。
[PR]
by hyblaheraia | 2007-11-20 12:11 | 生活


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

プロフィールを見る
画像一覧

掲示板

最近は・・・
なんと1年3か月ぶりの更新!気付いていただけるでしょうか…ひっそり。
16 Feb. 2016


迷惑コメント対策で承認制にしております。
::::: ::::: :::::

自己紹介に代えて


ご連絡等はコメント欄にお願いいたします

::::: ::::: :::::


2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


Locations of visitors to this page
2010年2月16日リセット
世界の赤い花びら!


Click for Comiso Air Station, イタリア Forecast

今日の月はどんな月?



ラグーザ ホテル

カテゴリ

全体
自然
生活
歴史
祭り
伝統・技術
料理
菓子
変わった野菜と果物
野鳥・昆虫・動物
大学・研究
政治・社会
音の絵:写真と音楽のコラボ
シチリア他の町
イタリア他の町
ナポリの実家
一時帰国
ブログ・・・周年とゲーム
未分類

タグ

(60)
(50)
(46)
(42)
(41)
(38)
(36)
(35)
(35)
(34)
(31)
(27)
(22)
(21)
(20)
(15)
(14)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(9)
(8)
(8)
(8)
(8)
(7)
(6)
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(2)

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

以前の記事

2018年 02月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 05月
2016年 04月
more...

画像一覧

ブログジャンル

海外生活
音楽

検索

記事ランキング

ライフログ











お気に入りブログ

生きる詩
gyuのバルセロナ便り ...
ルーマニアへ行こう! L...
写真でイスラーム  
エミリアからの便り
アフガニスタン/パキスタ...
イスラムアート紀行
夫婦でバードウォッチング
La Vita Tosc...
パリ近郊のカントリーライフ
トルコ~スパイシーライフ♪
now and then
Vivere in To...
シチリア時間Blog
フィレンツェ田舎生活便り2
ふりつもる線
ちょっとスペインの別荘 ...
ぐらっぱ亭の遊々素適
ヴェネツィア ときどき ...
石のコトバ
ボローニャに暮らす
フランスと日本の衣食住
cippalippaの冒...
スペインのかけら
Berlin Bohem...
VINO! VINO! ...
::: au fil d...
sizannet
イタリア料理スローフード生活
ペルー と ワタシ と ...
しの的エッセンinドイツ
PoroとHirviのとおり道
料理サロン La cuc...
カッラーラ日記 大理石の...
イタリアの台所から
オルガニスト愛のイタリア...
Animal Skin ...
しのび足
道草ギャラリー
白と黒で
ちまもの読書日和
andante-desse
il paese - p...
やせっぽちソプラノのキッチン
坂を降りれば
A Year of Me...
お義母さんはシチリア人
Espresso!えすぷ...
シチリア時間BLOG 2
London Scene
hatanomutsum...
小鳥と船
mi piacciono...
カマクラ ときどき イタリア
やせっぽちソプラノのキッチン2

外部リンク

その他のジャンル