アラゴン城の朽ちた美
イスキア島のシンボルとも言えるアラゴン城Castello aragonese
本島と小島を結ぶ220メートルの橋を渡ったその先の、岩礁の上にそびえ立つ高さ113メートルの古城。
その歴史は古く、紀元前474年にシラクーザのジェローネ1世が、ティレニア人と戦争中のクーマ人に援軍を送るためここに要塞を建設したことに遡る。その後、パルテノペーイ、ローマ、西ゴート、ヴァンダル、東ゴート、アラブ、ノルマン、ホーエンシュタウフェン、アンジューによる長年の支配で要塞の形は変容を続けた。
南イタリアは、支配の歴史なしには語れない。
(スキンヘッド氏に視界を遮られ、変なショットになっています)
灼熱の太陽と海の照り返しが嘘のような、ひんやりとした洞窟を抜ける。
定員6人のエレベーターに乗って、一気に上に上がると、
イスキア本島とエポメーオ山(789m)が眼前に広がる。1301年の噴火で町が壊滅し、人々はこちらの小島に避難してきたそうだ。
1441年、アラゴン家が城を再建した際、本島と小島を繋ぐ橋、ならびに頑丈な城壁を建設し、1700年代にはここに約1892世帯が暮らしていたという。
こんな環境に住めたら、もう何も要らないだろうな。
羽を休めに来たカモメに出会った。
大きな翼を真横に広げ、羽一杯に風を受け、羽ばたきもせずに、ただ空中で静止している飛び方が忘れられない。
城の中は光と緑が溢れていた。
内部はに住居、修道院、修道士の墓、食料貯蔵庫、刑務所、教会3つ(?)、ワイン醸造所、神殿、開廊、オリーヴ畑、果物の小道、テラス、などがあり、面積は56000平方メートル。方向指示がなければ一生出られなくなりそうな迷路状態だった。
さて、この日、私の心を捉えたものは・・・
アッスンタ(聖母被昇天)大聖堂Cattedrale dell'Assunta
崩壊したクーポラの穴から空が見え、石の隙間から生えた草が揺れ、何かが心を突いた。
祭壇に近づいてみると、プットputtoと草花の優美なバロック装飾。流れるような、ふくよかな線の美しさに、たっぷりと歌い込むバロックの旋律美を感じていた。
その近くでは、天使と言うにはあまりに成熟した容姿の、朽ちかけた彫刻が密かに息をする。
翼を持つ女神と呼びたくなる身体、リラを奏でているような手の動き、そのまま風に乗って海の彼方に音とともに消えて行ってしまうのでは。
そのまま後方に下がり、祭壇全体を見渡す。
ロマネスク様式の構造に、15世紀と17世紀に修復の手が入り、個々の時代の趣味が添えられていったのだそう。
かつての豪華な姿より、クーポラのない、今のこの朽ちた姿に果てしない美しさを感じる。
廃墟を見ると、なぜか心が震えます。
本島と小島を結ぶ220メートルの橋を渡ったその先の、岩礁の上にそびえ立つ高さ113メートルの古城。
その歴史は古く、紀元前474年にシラクーザのジェローネ1世が、ティレニア人と戦争中のクーマ人に援軍を送るためここに要塞を建設したことに遡る。その後、パルテノペーイ、ローマ、西ゴート、ヴァンダル、東ゴート、アラブ、ノルマン、ホーエンシュタウフェン、アンジューによる長年の支配で要塞の形は変容を続けた。
南イタリアは、支配の歴史なしには語れない。
(スキンヘッド氏に視界を遮られ、変なショットになっています)
定員6人のエレベーターに乗って、一気に上に上がると、
1441年、アラゴン家が城を再建した際、本島と小島を繋ぐ橋、ならびに頑丈な城壁を建設し、1700年代にはここに約1892世帯が暮らしていたという。
大きな翼を真横に広げ、羽一杯に風を受け、羽ばたきもせずに、ただ空中で静止している飛び方が忘れられない。
城の中は光と緑が溢れていた。
内部はに住居、修道院、修道士の墓、食料貯蔵庫、刑務所、教会3つ(?)、ワイン醸造所、神殿、開廊、オリーヴ畑、果物の小道、テラス、などがあり、面積は56000平方メートル。方向指示がなければ一生出られなくなりそうな迷路状態だった。
さて、この日、私の心を捉えたものは・・・
崩壊したクーポラの穴から空が見え、石の隙間から生えた草が揺れ、何かが心を突いた。
翼を持つ女神と呼びたくなる身体、リラを奏でているような手の動き、そのまま風に乗って海の彼方に音とともに消えて行ってしまうのでは。
そのまま後方に下がり、祭壇全体を見渡す。
ロマネスク様式の構造に、15世紀と17世紀に修復の手が入り、個々の時代の趣味が添えられていったのだそう。
かつての豪華な姿より、クーポラのない、今のこの朽ちた姿に果てしない美しさを感じる。
廃墟を見ると、なぜか心が震えます。
by hyblaheraia
| 2008-07-18 10:00
| イタリア他の町
シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。
by hyblaheraia
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