砂糖入りラヴィオリ、ラム肉香草風味ソース

 絵の具で空を塗ったような真っ青な空が広がる土曜の朝。サンタ・ルチーア教会に散歩に行こうか、と話していたらなんだか体調が悪くなってきた。ベッドで少し休んで午後から、と思っていたが悪くなる一方。結局、午前中は完全に眠ってしまった。

f0133814_733247.jpg そんな体調を気遣ったルカが買い物に走り、作ってくれたのがこれ。ラグーザ伝統のリコッタチーズのラヴィオリ砂糖入り、ラム肉と香草風味。
 ラヴィオリに砂糖?!と驚く人も多いだろう。実際、同じシチリアでもシラクーザの学生はこんなラヴィオリ信じられないと言う。が、その味は日本人なら誰でも懐かしさを感じるはずだ。

f0133814_9424981.jpg 醤油と砂糖、みりんを使ったふっくらと甘い煮物。まさにそんな優しい味がこのラヴィオリ砂糖入りの美味しさなのである。
 普通のラヴィオリも売られているが、ラグーザでは砂糖入りがより好まれる。豚の骨付きバラ肉をゆっくりと煮たトマト・ソースで食べるのが一般的。

 しかし今日のラヴィオリは違う。保守的なラグーザ人が聞いたら顔をしかめそうなラム肉との取り合わせ。ところが、である。リコッタとの絶妙な出会いは、プロにも教えたいほどの素晴らしさだった。

 その手の内を明かしてしまうと、まずオリーヴ・オイルに唐辛子を少々入れ、細かくしたラム肉ローズマリー(相当量)を入れてゆっくり焼く。しばらく焼き続け、火が通ってきたらミントバターを入れ蓋をして蒸し焼きする。
f0133814_7334916.jpg その間、ラヴィオリを茹でながら、ソースが乾かないように泡と茹で汁をフライパンに少し足す。茹で上がったラヴィオリをソースに絡めて皿に盛りつける。が、まだ完成ではない。食卓上での「あれ」が必要。
 そう、シチリア料理に欠かせないリコッタ・サラータricotta salataである。素手で豪快に掴みナイフでスライスして、ラヴィオリの上にたっぷりと散らす。
 細かく削ったチーズはパルミジャーノ。これは料理全体にまろやかさを加えるもの。リコッタ・サラータはそこにしっかりとしたアクセントを加えるもの。両者の役割は違うのである。

f0133814_7344220.jpg 食べている途中、各自好きなようにリコッタ・サラータを補充。こんな風に、いつもごろんとテーブルに転がっている。
 ラム肉はローズマリーと合わせると、どうしてこんなに美味しくなるのだろう。互いの強い香りが絡み合い、融合しあうから不思議だ。我が家のローズマリーは茎の臭いが強く、野生的な風味がよく引き出されていた。
 そしてミントの威力。爽やかさの代名詞的存在だと思っていたが、過熱するとなんとエキゾティックな味が滲み出てくることか。ミントなしに我々のクスクスはあり得ない。ナスのグリルのオイル漬けにも不可欠。使い方のヴァリエーションを探して、試行錯誤するのは楽しい。

f0133814_734196.jpg パルミジャーノとバターの濃くをベースに、ラヴィオリのほのかな甘さが肉汁を包み込み、ローズマリーの香りが吹き出す瞬間、ああ、これだ、と思う。ハーブのまやかし。あれだけ鼻を突く香りがこんなに柔和になり、他の食材と調和するとは。西洋的な濃厚さの中には、ミントの異色な風味も混じる。そして全てはシチリアの恵みだと言うかのような、リコッタ・サラータの存在感。
 私はさらにここに、黒胡椒をぱらぱらと散らし、より引き締まった味を楽しんだ。
 直球勝負のラグーザ伝統料理が外地の新たな空気を運んできたような感覚だった。

 我々はよく、ラグーザ創作料理だ!とはしゃぎながら、この地の伝統食材に旬の野菜や醤油などを使った新たなメニューを実験する。今日は買い物からアイディア、調理までルカ一人で着々とこなし、私は何が出来るのかどきどきしながら、時々ソースをかき回したり、味見をしたりと、完全に脇役に徹した。
 何もせずにこんなに美味しいものが食べられるなんて。病気になるのも悪くないな。

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by hyblaheraia | 2007-10-21 10:02 | 料理


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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