食への飽くなき追求

 ワイナリー見学の最後はアヴィデ社の小さなショップで我々7名と担当者2名が入り混じり、ワイン購入合戦が白熱した。これを何本?、これは要らない?、やっぱりこれも!、と会話が交錯。ワイナリーを出た時は既に1時を回っていた。
 隣町コーミソから一山越えて、ムーロ・ア・セッコmuro a secco(セメント類を使わない石積みの壁)が続くのどかな光景を眺めているうちに、空腹を覚え始める一同。

f0133814_1722242.jpg お昼はどうするの?
こういう一声は大抵母である。どんなに多忙でも朝昼晩「緑のお野菜」と共に食事を取るA型人間。
 帰ってから支度する時間もないので、ラグーザ名物フォカッチャとアランチーニ、そして地元伝統菓子を買って行こう、と提案。すると、

ヤング:いいねー!
フォカッチャ食べたい!
ドルチェも食べたーい!
(食べ物には常に良い反応)
父:ア、アランチーニって何だ?
母:ライス・コロッケよ。ほら、前も食べたじゃない、揚げおにぎりみたいなものよ。
父:ほぅー。ぐるぐる。(嬉しそうに親指を回す)
 異文化の翻訳理解とはこういうことである。

 意見がまとまったところで、ジョヴァンニ氏に○○菓子店に寄って欲しい旨を告げる。スナック類も充実した某菓子店は、日伊のドルチェ雑誌に度々取材される町一番の老舗。当然OKが返ってくると思っていた。
 ところが、氏は一瞬考え込みこう言った。フォカッチャを買うのなら行列のできる町一番の店に行きましょう。出来立てを売ってくれるし、僕もいつも買う店です。アランチーニは、店員の態度は悪いけれど味は最高の店があるんですが、そこでいいですか。ドルチェも通り道にお勧めの店があるので、全部一気に行っちゃいましょう。
 通訳係が訳す傍から、おぉ!、いいね~、わぁーい、パチパチ!、と盛り上がる。

f0133814_157247.jpg そしてこれが石釜戸で焼いたラグーザ名物フォカッチャfocaccia

 強力粉、ビール酵母、塩、オリーヴオイルでこねた生地を大円形(巨大ピッツァサイズ)になるまで薄く伸ばし、詰め物を入れて四角く折たたんで焼き上げる。日本で知られている半円形のものはカルツォーネcalzoneと呼ばれ、別物。

 左:リコッタチーズとイタリアンパセリ。この組み合わせはラグーザ特有のもの。
 右:トマトソースにバジリコ、刻んだラグーザDOPのチーズ、カーチョ・カヴァッロcacio cavallo(ラグーザ弁ではcosa cavaddu)を入れたもの。
 縦30センチ、横15センチはある大迫力のフォカッチャだが、総勢7人ともなると5つは必要だ。トマト3つ、リコッタ2つを注文し、あとはアランチーニを買い足そうと考えていた。
 その時、

f0133814_1459658.jpg姉:あ、これ美味しそう!
母:あら、ほんと。
ローストチキンの詰め物を見つめ、指で指し示す母娘。シニョーラは笑顔で皿に盛りつけてくれた。すると、
姉:ポテトも入れて!
その真剣な目は、言葉の壁をも打ち破る。さらにラザーニアも見つめ、しっかり指差し。
通訳係:え~、もういいんじゃない。こんなに買ったし。
姉:ちょっとずついろいろ食べたいの!
子供の駄々っ子のような発言に半ば呆れながら、一人前用の小さな皿を頼む通訳係。すると今度は、
母:あら、それじゃ足りないわよ。その倍にしたら?
 胃の許容量が理解できない家系である。


 どっしりと重いフォカッチャ5つ、予定外のローストチキンとラザーニアを買い、アランチーニなど入る余裕はない。が、姉の強烈なリクエストに屈し、「店員の態度が悪いが味は最高な店」へ向かった。
f0133814_1565732.jpg 昼時だったため、ショーケースにはラグー(挽肉のトマトソース煮)のアランチーニが2つのみ。
 落胆する姉を見てか、あるいは姉の機嫌を取るのに必死の私を見てか、店の娘さんが厨房に掛け合い、15分待ってくれたらこの場で作ります、と言ってくれた。店員の態度は最高である。

 そして頼んだのが8つのアランチーニ。ちょっとずついろいろ食べたい姉が、ちょっとずついろいろ頼んだ結果である。
 左から:ほうれん草とチーズ、ツナと卵のトマトソース味、ナスとチーズ、ラグー。


 こうしてアランチーニが8個買い足され、もはやドルチェを考えることは不可能に。もう何も買うまいぞ!帰ろう帰ろう。
 車中いい匂いに包まれながら、ジョヴァンニ氏がワインのセレクトを指示する。フォカッチャとアランチーニには、今日買ったワインの中でエレーアHereaがいいですよ。ネーロ・ダーヴォラ(葡萄の種類)とフォカッチャはまさにラグーザ/ラグーザで相性バッチリですから。
 それを聞いた姉がすかさず反応。

 そう、だから昼はエレーアを飲んで夜はバロッコにしない?。これでネーロ・ダーヴォラの飲み比べができるでしょ?
 ちょっとずついろいろ、の精神は徹底しているのデアリマス。
 
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by hyblaheraia | 2007-10-03 23:05 | 料理


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



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