ヴェンディーカリ自然保護指定地区
ポルトパーロからラグーザへ帰宅する朝、せっかくだから他の町にも寄ろうということになっていた。宿の部屋には白い鳥の一群が水辺に集まる印象的なポスターがあり、何となく皆それが気になっていた。
ここに行ってみる?我々が返事する間もなく野鳥を見ながら泳ぎましょうよ!、と目を輝かせるテレーサ。頭は碧い海で一杯だ。
ヴェンディーカリ自然保護指定地区Riserva Naturale Orientata, Vendicariと呼ばれるそこは、ポルトパーロから車で30分ほど北上した海岸に位置する(地図に赤いラインで表示)。
ここには美しいビーチと野鳥の降り立つ湿地帯、昔の塩田とマグロ工場、ホーエンシュタウフェン家の塔、があるとのこと。
テレーサは早速水着に着替え、シャワーもチェックしご満悦。心は既に海へと飛んでいる。日焼けが嫌いな我々は、のんびり散歩することにした。
名前の分からない様々な植物が生い茂る砂利道を300メートルほど歩く。足元には可憐な花が咲き、目の高さには赤い実がたわわに。背丈の2倍はある葦が風に揺れ、緑濃い葉の中にはセミ、納屋の壁にはトカゲが。
茂みから抜け、目の前が開けるとそこは昔の塩田跡。砂利道の両脇に延々と広がっていた。遠くに見えるのは昔の納屋。
この574ヘクタールの敷地には、四季を通じて多数の渡り鳥が訪れるそうだ。
代表的な鳥は、オジロシギ。おそらく宿のポスターで見たあの鳥たちだろう。秋にはアオサギ、コサギ(小型のシラサギ)、コウノトリ、まれにフラミンゴもやって来るらしい。それは見てみたかった!そう言えば、上野公園のフラミンゴは遠くから見ると薄ピンクで優雅だったが、近付くと臭かったものだ。
湿地の水位が上がる11~3月にはガンやカモの王国となり、キツネなども現れる。夏だから渡り鳥もキツネもいないが、その姿を想像しながらゆっくり散歩。
真っ赤に染まるこの沼は、プランクトンのせいだろうか。小さな白い鳥が、すぃーっと飛んできては水面に一瞬触って飛び立ち、沼の上を迂回して何度も同じことを繰り返していた。
やっぱりプランクトンか虫を食べているのだろう。
小さな鳥のミニマム・ハンティング、とても可愛らしかった。
ヴェンディーカリの海!ああ、今日も地中海は碧い。
じゃ、私は泳いでくるから、後で携帯で連絡するわね!
テレーサは行ってしまった。
我々はゆっくりとマグロ工場跡地へ。力強くそびえる赤レンガの煙突。青空と海の色にくっきりと映えている。漁から戻る船に、安心感を与えただろうな。
釜戸の跡と思しきものが並ぶ。レンガを良く見ると、焦げた炭のようなものがあった。海から上がったマグロを解体して、ここで煮たり、焼いたりして製品化したのだろうか。
残念なことに、マグロ工場の説明はどこにもなかったので、想像するしかない。
まるでポンペーイ遺跡のような雰囲気が漂う。壁があったり、柱があったり、隠れんぼに興じる子供たちの声が響く。
潮騒を聴きながら、海辺の風にあたる気持ちよさ。石にもたれて座っていると、全く暑さを感じなかった。
ホーエンシュタウフェンの塔は修復中でこの通り。
シュタウフェン朝のドイツ国王ハインリヒ6世(1165-97)は、シチリア王女コスタンツェとの結婚により、1194年パレルモにて戴冠。わずか3年の天下のうちに、この塔が建てられたのだろう。この幅から言うと、塔とういうよりは要塞か。
海と自然を満喫し、帰途へ。大聖堂の修復が終わったばかりの世界遺産の町ノートNotoに行く案もあったが、疲れたので次回ということに。
その代わり、途中、車の中からイスピカ洞窟Cava d'Ispicaを見ることができた。
これは石灰石の絶壁の中に穴を開けた住居跡。新石器時代からギリシア、ビザンチン、キリスト教初期、中世までの生活跡があり、考古学的に極めて重要な場所だ。今度、ゆっくり訪れてみたい。
モディカからラグーザ向かうとき、荒涼とした丘の連なりに何とも言えない安堵を感じた。きれいねーと言う私に、やっぱりあなたたちはアマンテ・デル・マーレamante del mare(海に恋する人)ではないわね、とテレーサ。
日焼けは苦手、その通りでございます。
人気blogランキングに参加中 アナタハ海を愛シマスカ?。
ここに行ってみる?我々が返事する間もなく野鳥を見ながら泳ぎましょうよ!、と目を輝かせるテレーサ。頭は碧い海で一杯だ。
ヴェンディーカリ自然保護指定地区Riserva Naturale Orientata, Vendicariと呼ばれるそこは、ポルトパーロから車で30分ほど北上した海岸に位置する(地図に赤いラインで表示)。
ここには美しいビーチと野鳥の降り立つ湿地帯、昔の塩田とマグロ工場、ホーエンシュタウフェン家の塔、があるとのこと。
テレーサは早速水着に着替え、シャワーもチェックしご満悦。心は既に海へと飛んでいる。日焼けが嫌いな我々は、のんびり散歩することにした。
名前の分からない様々な植物が生い茂る砂利道を300メートルほど歩く。足元には可憐な花が咲き、目の高さには赤い実がたわわに。背丈の2倍はある葦が風に揺れ、緑濃い葉の中にはセミ、納屋の壁にはトカゲが。
茂みから抜け、目の前が開けるとそこは昔の塩田跡。砂利道の両脇に延々と広がっていた。遠くに見えるのは昔の納屋。
この574ヘクタールの敷地には、四季を通じて多数の渡り鳥が訪れるそうだ。
代表的な鳥は、オジロシギ。おそらく宿のポスターで見たあの鳥たちだろう。秋にはアオサギ、コサギ(小型のシラサギ)、コウノトリ、まれにフラミンゴもやって来るらしい。それは見てみたかった!そう言えば、上野公園のフラミンゴは遠くから見ると薄ピンクで優雅だったが、近付くと臭かったものだ。
湿地の水位が上がる11~3月にはガンやカモの王国となり、キツネなども現れる。夏だから渡り鳥もキツネもいないが、その姿を想像しながらゆっくり散歩。
真っ赤に染まるこの沼は、プランクトンのせいだろうか。小さな白い鳥が、すぃーっと飛んできては水面に一瞬触って飛び立ち、沼の上を迂回して何度も同じことを繰り返していた。
やっぱりプランクトンか虫を食べているのだろう。
小さな鳥のミニマム・ハンティング、とても可愛らしかった。
ヴェンディーカリの海!ああ、今日も地中海は碧い。
じゃ、私は泳いでくるから、後で携帯で連絡するわね!
テレーサは行ってしまった。
我々はゆっくりとマグロ工場跡地へ。力強くそびえる赤レンガの煙突。青空と海の色にくっきりと映えている。漁から戻る船に、安心感を与えただろうな。
釜戸の跡と思しきものが並ぶ。レンガを良く見ると、焦げた炭のようなものがあった。海から上がったマグロを解体して、ここで煮たり、焼いたりして製品化したのだろうか。
残念なことに、マグロ工場の説明はどこにもなかったので、想像するしかない。
まるでポンペーイ遺跡のような雰囲気が漂う。壁があったり、柱があったり、隠れんぼに興じる子供たちの声が響く。
潮騒を聴きながら、海辺の風にあたる気持ちよさ。石にもたれて座っていると、全く暑さを感じなかった。
ホーエンシュタウフェンの塔は修復中でこの通り。
シュタウフェン朝のドイツ国王ハインリヒ6世(1165-97)は、シチリア王女コスタンツェとの結婚により、1194年パレルモにて戴冠。わずか3年の天下のうちに、この塔が建てられたのだろう。この幅から言うと、塔とういうよりは要塞か。
海と自然を満喫し、帰途へ。大聖堂の修復が終わったばかりの世界遺産の町ノートNotoに行く案もあったが、疲れたので次回ということに。
その代わり、途中、車の中からイスピカ洞窟Cava d'Ispicaを見ることができた。
これは石灰石の絶壁の中に穴を開けた住居跡。新石器時代からギリシア、ビザンチン、キリスト教初期、中世までの生活跡があり、考古学的に極めて重要な場所だ。今度、ゆっくり訪れてみたい。
モディカからラグーザ向かうとき、荒涼とした丘の連なりに何とも言えない安堵を感じた。きれいねーと言う私に、やっぱりあなたたちはアマンテ・デル・マーレamante del mare(海に恋する人)ではないわね、とテレーサ。
日焼けは苦手、その通りでございます。
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by hyblaheraia
| 2007-08-23 23:59
| シチリア他の町
シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。
by hyblaheraia
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