サン・ジョルジョ祭り -ラグーザ、イブラの守護聖人-
深い谷間に挟まれ、高地から低地へとなだらかに広がる2つの尾根の連なり。それがラグーザを地理的に見たときの姿である。高地にはラグーザ・アルタ(Ragusa alta、上のラグーザ)と呼ばれる新市街があり、低地にはラグーザ・バッサ(Ragusa bassa、下のラグーザ)の旧市街がある。後者は一般に、古い地名の名残でイブラIblaと呼ばれる。
その旧市街イブラでは、6月1日から3日までサン・ジョルジョ祭り(La festa di S. Giorgio)が行われている。
サン・ジョルジョ(聖ゲオルギウス)とは、3~4世紀のカッパドキア(トルコ中央部)の伝説的聖人で、リュディアを旅行中、悪竜の犠牲に選ばれ水辺に繋がれている王女を発見し、槍と剣で竜を倒して王女を救ったと言われる。その後、その国の大部分をキリスト教化した功績により列聖された、古い聖人である。
このサン・ジョルジョを守護聖人として奉るイブラでは、毎年この時期に聖人を称える大規模な祭りが行われる。観光客ばかりでなく、外地からこの祭りのために戻った人々もいて、イブラが一年で最も活気に満ち、華やいだ雰囲気に包まれるのだ。


期間中は朝10時、午後4時、7時、10時に色鮮やかな花火が盛大に打ち上げられる。サン・ジョルジョ門(Portale di S.Giorgio)は花で飾られ、家々のバルコニーには聖人の絵姿を描いたタペストリーが掛けられ、聖人を迎える喜ばしい空気がこれで一段と盛り上がる。そこに祭りの一大イベントである宗教行列(プロチェッシーネ、processione)が通るのだが、その道という道は、イルミネーションのゲートで煌びやかに浮かび上がり、普段はひっそりとした旧市街が千年もの歴史を一度に語り出すかのように、歓喜にみなぎるのである。
プロチェッシオーネの先頭を率いるのは司祭と助祭たち、そして市長。その後に堂々と現れるのが、この祭りの花形、竜を退治する姿を模った聖人の神輿(一番上の写真)である。聖人の後ろには、彼にまつわる品々が収められた聖具の神輿が続く。その表面には象やアフリカ人の金銀装飾が施され、いかにもシチリアらしい文化的融合を物語っている。聖具の神輿の後には、ユニフォーム姿のブラスバンド、最後にキャンドルを手にする一般信者が続く。
マーチ風なのにどこか哀愁を帯びたシチリアのメロディーに合わせて、この大行列が祭りの3日間、夜7時から10時までイブラ中の全ての教会を祝福しながら町中を練り歩く。
途中で「サン・ジョルジョ万歳!Viva S.Giorgio!」という歓声とともに紙吹雪が舞う。お札のように細長いその紙には、「サン・ジョルジョ、我らの守護聖人よ、我らをお守りください(S.Giorgio, il nostro patrono. proteggici.)」と、信者の想いが印字されている(年によって文が変わる)。
隣町モディカ(Modica)の祭りでもこの紙吹雪が使われるが、決まった瞬間に初めは一斉に白、その少し後に一斉に赤の吹雪が舞い、そのコントラストと人々の団結力が見事だった。
でもラグーザはこの通り。いつの間にかプロチェッシオーネの道は、こんなカラフルに。なんだか踏むのが申し訳ない気がするな。
聖人の神輿を担ぐのはもちろん、地元イブラの若者信者たち。彼らの熱気が沿道の我々にもひしひしと伝わり、日本の祭りを思い出す。
その気分を助長させるのが、ドゥオーモ前広場からイブレオ公園までの坂道に並ぶ縁日だ。風船、綿菓子、ゲーム、アイスクリーム、冷水で冷やしたココナッツ、メロン、さらにはなんと、りんご飴や歌舞伎揚げが売られていて、ここは本当にヨーロッパかと不思議な空気を感じる。
行列に参加する信者、沿道で聖人を迎える家族連れ、ロマンチックな夜を過ごす恋人たち、バルコニーから笑顔で見つめる老人たち。みながそれぞれの方法で聖人を称える。風邪で寝込んでいる私は、今年はテラスから見える花火と地元放送TeleIbleaの生中継を観ながら祭りに参加とするか・・・。
3年前、初めてサン・ジョルジョ祭りを観た。その時と全ては何も変わっていない。きっと10年後も100年後も、今のまま何も変わらないだろう。
・・・という安心のもと、写真は全て去年のものデス。
人気blogランキングに参加中 サン・ジョルジョよ、風邪も治してください
その旧市街イブラでは、6月1日から3日までサン・ジョルジョ祭り(La festa di S. Giorgio)が行われている。サン・ジョルジョ(聖ゲオルギウス)とは、3~4世紀のカッパドキア(トルコ中央部)の伝説的聖人で、リュディアを旅行中、悪竜の犠牲に選ばれ水辺に繋がれている王女を発見し、槍と剣で竜を倒して王女を救ったと言われる。その後、その国の大部分をキリスト教化した功績により列聖された、古い聖人である。
このサン・ジョルジョを守護聖人として奉るイブラでは、毎年この時期に聖人を称える大規模な祭りが行われる。観光客ばかりでなく、外地からこの祭りのために戻った人々もいて、イブラが一年で最も活気に満ち、華やいだ雰囲気に包まれるのだ。


期間中は朝10時、午後4時、7時、10時に色鮮やかな花火が盛大に打ち上げられる。サン・ジョルジョ門(Portale di S.Giorgio)は花で飾られ、家々のバルコニーには聖人の絵姿を描いたタペストリーが掛けられ、聖人を迎える喜ばしい空気がこれで一段と盛り上がる。そこに祭りの一大イベントである宗教行列(プロチェッシーネ、processione)が通るのだが、その道という道は、イルミネーションのゲートで煌びやかに浮かび上がり、普段はひっそりとした旧市街が千年もの歴史を一度に語り出すかのように、歓喜にみなぎるのである。
プロチェッシオーネの先頭を率いるのは司祭と助祭たち、そして市長。その後に堂々と現れるのが、この祭りの花形、竜を退治する姿を模った聖人の神輿(一番上の写真)である。聖人の後ろには、彼にまつわる品々が収められた聖具の神輿が続く。その表面には象やアフリカ人の金銀装飾が施され、いかにもシチリアらしい文化的融合を物語っている。聖具の神輿の後には、ユニフォーム姿のブラスバンド、最後にキャンドルを手にする一般信者が続く。マーチ風なのにどこか哀愁を帯びたシチリアのメロディーに合わせて、この大行列が祭りの3日間、夜7時から10時までイブラ中の全ての教会を祝福しながら町中を練り歩く。
途中で「サン・ジョルジョ万歳!Viva S.Giorgio!」という歓声とともに紙吹雪が舞う。お札のように細長いその紙には、「サン・ジョルジョ、我らの守護聖人よ、我らをお守りください(S.Giorgio, il nostro patrono. proteggici.)」と、信者の想いが印字されている(年によって文が変わる)。隣町モディカ(Modica)の祭りでもこの紙吹雪が使われるが、決まった瞬間に初めは一斉に白、その少し後に一斉に赤の吹雪が舞い、そのコントラストと人々の団結力が見事だった。
でもラグーザはこの通り。いつの間にかプロチェッシオーネの道は、こんなカラフルに。なんだか踏むのが申し訳ない気がするな。聖人の神輿を担ぐのはもちろん、地元イブラの若者信者たち。彼らの熱気が沿道の我々にもひしひしと伝わり、日本の祭りを思い出す。
その気分を助長させるのが、ドゥオーモ前広場からイブレオ公園までの坂道に並ぶ縁日だ。風船、綿菓子、ゲーム、アイスクリーム、冷水で冷やしたココナッツ、メロン、さらにはなんと、りんご飴や歌舞伎揚げが売られていて、ここは本当にヨーロッパかと不思議な空気を感じる。
行列に参加する信者、沿道で聖人を迎える家族連れ、ロマンチックな夜を過ごす恋人たち、バルコニーから笑顔で見つめる老人たち。みながそれぞれの方法で聖人を称える。風邪で寝込んでいる私は、今年はテラスから見える花火と地元放送TeleIbleaの生中継を観ながら祭りに参加とするか・・・。
3年前、初めてサン・ジョルジョ祭りを観た。その時と全ては何も変わっていない。きっと10年後も100年後も、今のまま何も変わらないだろう。
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by hyblaheraia
| 2007-06-03 20:11
| 祭り

シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。
by hyblaheraia
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2013年11月、共著出版

2009年4月、共著出版

1999年3月、共著出版

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