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カターニア大学本部

 カターニアの中心、エトネア通りVia Etneaに入ると、透視図法のような視覚的効果に誘われて、奥の奥にエトナ山が一層神々しく見える。こういう演出はにくい。

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 広場の両脇にはカターニア大学本部の堂々たる建物が向かい合うように建っている。


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 左には契約関係の事務所がある建物(と、理解)。こちらで10枚近い書類の各ページにサイン。

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 右側には支払い関係の事務所がある建物(と、理解)。こちらでも5枚ほどの書類の各ページにサイン。


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 ラグーザ校の素朴な小さな校舎はもちろん魅力的だけれど、こういうのを目にすると知識の重みにひれ伏したくなる。まさに知の殿堂という感じ。

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 足元まで芸術品のよう。歴史があちらこちらに刻まれている。

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 何気ないベンチも、哲学的思考の源に見えて来る。


カターニア大学「校舎」の記事はこちら その1(外観)  その2(アラブ風中庭)

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by hyblaheraia | 2010-06-22 06:57 | 大学・研究 | Comments(8)

伝言ゲーム

 入学当初からひと際元気なだったこのクラスも、2年生になって随分落ち着いたとは言え、男の子たちは目を離すとすぐにワイワイ、ガヤガヤ。そんな彼らを集中させるのは、この一言に尽きる。
「今日は最後にジョーコ(ゲーム)をしますから、みなさん頑張って勉強しましょう!」
 ジョーコ、と聞くと皆の目が一瞬キラリ。ジョーコで餌付けしてきたワルワル教師はニンマリ。

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 さて、今日のジョーコは伝言ゲーム
 先日、勉強したばかりの「○○に~~と伝えてください」の文型を使って、次の授業を予告。
 お題は:「木曜日はAさんが授業をすると伝えてください」
 
 次の授業は日本語教育実習生が担当するということを、大げさに伝えたがる教師。
 「みなさ~ん、周りに聴こえないように耳元で伝えてくださ~い!」
 女の子同士は耳元でひそひそ伝えていたのに、男の子は恥ずかしそうに距離を保っていたのが面白かった。

 無事メッセージが伝わり、授業も楽しく終わり。さあ、実習生もイタリア人学生もみな頑張ろう!!


追伸:今年度は諸般の事情から我々の授業は1月から開始となりました。この通り、日本語の学生たちはみな元気に勉強しています。
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by hyblaheraia | 2010-03-10 07:19 | 大学・研究 | Comments(12)

小さな戦いと宝物

 日本語を専攻する2年生に、日本から辞書を送ったのは1月末。代表者クリスティアーネさんの家に奇跡的に10日ほどで届いたのに、みんなが一緒の日にみんなで開けると決めた彼女は、試験後の最初の日本語の授業であるつい先日まで小包を自宅に保管していたのだそう。
 几帳面でしっかり者の彼女らしい話、授業後みんなで歌舞伎揚げをポリポリ美味しそうに食べていた話をルカから聞いて、頬がほころんだ。
 そして手渡された小さな封筒を開け、ある一文にさらに頬がほころんだ。

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 親愛なるヒブラ先生
 お元気ですか。・・・中略・・・
 今日は第一の授業だったので、包を大学へ持って行きました。みなさんは喜びました。有りがとうございます。手紙が親切だし、おかしがおいしいし、私たちは小さな戦いをしました。・・・中略・・・
 いっしょに早く授業をできるといいですね。
 ごきげんよう。
 クリスティアネ


 お菓子をめぐっての「小さな戦い」。
 その伝え方が何ともかわいらしく、学生たちの姿が想像できるだけに、また一緒に勉強したりふざけたりしたい気持ちで一杯になった。

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 クリスティアーネさんは、以前に私の専門についてとても興味深く質問してくれたことがあった。その時、ラグーザにいながらどうやって研究を続けるのですか?と聞かれ、思っていることを話した。
 だからだろう、辞書代の清算にモーツァルトの1ユーロ(オーストリア)が入っていた。彼女がドイツ人だからではなく、私へのエールの意味がそこには含まれているように感じられた。

 モーツァルト・コインも、学生たちとの思い出も、真剣な対話によって得た宝物のようなもの。同じように音楽学に宝物を探す日々を、小さな戦いを続けながら送っていきたい。
 戦って得られる宝物は、さぞ美しいだろう。


小さな戦い・・・!     
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by hyblaheraia | 2009-03-05 09:10 | 大学・研究 | Comments(6)

勉学支援グッズ

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2年生のみなさん

お元気ですか。わたしは元気です。東京の生活は、いそがしいですが、楽しいです。
かぶきを2回もみました。来週はかぶき(勧進帳かんじんちょう)と、のうをみます。
やくそくした じしょを送ります。おそくなってごめんなさい。
みなさんは、日本語の勉強にとても熱心(ねっしんdiligente)なので、
わたしはいつもうれしく思っています。
じしょといっしょに、日本のおかしを送ります。
歌舞伎揚(かぶきあげ)という名前のおせんべい(biscotti salati)と、チョコレートのおかしです。

ラグーザはもうすぐアーモンドの花がさきますね。
自然(natura)がいっぱいのラグーザに帰って、またみなさんと一緒に勉強したいです。
それでは、ラグーザで会いましょう!

ヒブラ・ヘライア


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 手の平サイズの小さな辞書を引きながら、熱心に単語を調べ、作文を書いていた2年生。でも小さな辞書は、それだけ語彙数も少ない。言いたいことは分かるけれど、首をかしげてしまうような妙に硬い言葉をおずおずと使っていたりする。
 「みなさん、いい辞書を買いましょう!」
 いつの間にか、口癖になっていた。

 3年生はほぼ全員、電子辞書を持っている。それを見た2年生も欲しがっていたのだけれど、できれば紙の辞書を買うように勧めてきた。
 紙の上では一つの言葉の前後にある派生語も、豊富な例文も一覧することができ、その言葉が内包する幅広い意味が何となく視界全体に見えているというのが良い。紙だから自由に書き込みもできるし、ノートのようにも使える。そんな自分の一部になっていくような、ゆったりとした言葉の探索をして欲しいと思っている。
 

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 けれどもイタリアで買える辞書は1種類で日本の定価の2倍。伊和と和伊を両方揃えるなら3万円近い出費となる。それに学生たちは毎日、リュックにずっしり重い辞書や本を背負って通学しているので、大きな辞書を買いたがらない。日本の書店からネットで買う方法を勧めたものの、カードやネット環境のない学生もいてなかなか購入しなかった。
 何とかして良い辞書を彼らに。
 ある日授業で希望者を募り、日本から送る約束をした。

 すっかり遅くなってしまったけれど、伊和/和伊のコンパクト辞書6冊、漢和辞典1冊の合計7冊。さらに段ボールに隙間があったので、歌舞伎揚を2袋、それでも隙間があったのでポッキー極細ときのこの山。
 荷物を作りながら、一緒に歌舞伎の六方を飛んで、隈取りをした1年前を思い出していた。

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 日本のスピード社会にいると、ラグーザでの出来事が美しい絵巻物のように感じられてくる。あれは幻だった、と言わなくて良いように私も頑張らねば。 


追伸:辞書はプレゼントではなくて後日精算です(情けなや・・・)。それでも学生たちはすごく遠慮してました。3年生の大半は電子辞書あり、1年生は人数が多すぎて日本語をやめる人が出る可能性あり、だから熱心に勉強しているけれど良い辞書がない2年生の希望者を対象にしました。

みんな、日本語頑張ってね!     
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by hyblaheraia | 2009-01-28 04:51 | 大学・研究 | Comments(16)

カターニア大学ラグーザ校の危機

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 大学からトイレット・ペーパーが消えた。以前から切らしていることはよくあったが、それは清掃作業の問題であって、数日後には補てんされていた。が今は、大学構内4ヵ所のトイレのどこにもない。


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 さらに深刻なのは、コピー用紙の欠如である。大学で授業や事務のためのコピーができなければ、いったいどうなるのか。もはや、大学は機能していないに等しい。

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 この日は、3年生12人の授業のために、8枚しかコピーさせてもらえなかった。コピーは10枚までだったらしく、1枚はコピー失敗、1枚は紙詰まりで、8枚のみが手元に。
 仕方がないので、学生全員にじゃんけんをさせてコピー争奪戦で盛り上がった。逆境も楽しく跳ね飛ばそうと笑い合って。


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 悪いことは続き、このヅィペッリ図書館は学芸員への給与が支払えず閉館となった。
 2年前に日本の郷土玩具の展示会とシンポジウムを開いた時に、只ならぬ協力をしてくれたのが、学芸員の友人ダニエーラである。


f0133814_832020.jpg こうして例の大学予算の大規模削減法案のために、カターニア大学ラグーザ校は大変な危機に陥っている。

 これについて、数日前から大学の至る所に意見書が貼られようになった。そこには、日本語学科では前任教員が他校へ移ってから、母国語教員が長らく欠員であることも明記されていた。実は11月に契約予定だったこのポストが、1月に伸び、3月に伸び、今は何の音沙汰もない。

 今私が行っているのはシチリア州労働組合、ならびにカターニア大学本校出資の研究費を有効利用した集中講義である。これで120時間分の授業ができたが、もはやあと2回の授業で終了となる。
 どうしてこんなに集中講義は短いんですか?
 今年は歌舞伎の授業はないんですか?
 来年の集中講義もヒブラ先生が担当するんですか?
 学生にいろいろ聞かれると言葉が詰まる。

 
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 冷たい風は大学の外にも吹いている。大学前の駐車場広場は、古いアスファルトから石畳に変える工事が10月から始まっていたのだが、この通り、中止されてしまった。
 工事作業員が給与が未払いに対してストライキを起こしているそうだ。こんなに巨大な穴を掘って、人一人がやっと通れるスペースしかなく、登校下校はちょっとしたストレスだ。

f0133814_8414495.jpg さらにその隣の教会での工事も、作業員のストライキ。
 強風でめくれて文字が見えないが、聞いたところによると「我々は20ヵ月給料を払われていない。」と書いてあったそうだ。
 大学の同僚も、我々も、同じような状況だ。待っていてはだめだ。催促しなければ支払われることはない。

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 こんな時代に、こんな状況で、学生たちはどうなっていくのだろうか。
 日本への好奇心で目を輝かす学生たちに、できることは何でもしてあげたい、と日に日に強く思う。


これがシチリアの大学の現状です。     
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by hyblaheraia | 2008-12-05 10:33 | 大学・研究 | Comments(22)

ラグーザで日本文化の学会

Identità estasiatiche
Il Giappone fra Oriente ed Occidente

東アジアのアイデンティティーの諸相 -東洋と西洋の間の日本-

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 先日、11月24日(月)にカターニア大学ラグーザ校において、日本文化に関する学会が行われた。
 本校から3名、ナポリのオリエンターレ大学から4名、サレント大学(プーリア州)から1名、ロンドンから1名、の日本文化研究者9名が各自の専門について最新の研究成果を発表した。


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 会場は、サンタ・テレーサ修道院を改装した大学校舎のカッテドラーレ。こんなに美しい祈りの場が学会や会議に使われる。マイクの音が響きすぎて少々聞き取りにくいのが難点だが、雰囲気は抜群に良い。
 日本語専攻の学生たちは、朝10時半から午後6時まで、ノートを取りながら真剣に発表を聞いていた。彼らが普段使っている教科書を執筆された先生も発表するということで、先週から学生たちは楽しみにこの日を待っていた。ラグーザにいてもこういう機会があるというのは、本当にいい刺激となっただろう。

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 とても和やかな雰囲気のうちに、豊富な画像とともに、各研究者の日本へのアプローチが生き生きと語られていくのが印象的だった。テーマは古典、民俗学、宗教学、言語学、医学文献学にまでわたり、自分の知らない日本の一面を提示されるたびに、心の底がぐらりと揺れるようだった。けれども彼らが語る日本というのは、なんと哲学と神秘と謎に満ち、難解で美しいのだろう。これほど私の国を愛おしく研究している姿に嬉しくも有難く、どこか恥ずかしくも思い、彼らと同じ情熱で自国を語る知識のなさが残念でならなかった。
 でも専門性が高くなればそれはどんな分野でも起こることだ。分からないことは聞けばいい。イタリア人の彼らだって私の専門のカンタータについてはあまり知らないかもしれない。大事なのは、学ぶことに対する誠実で正直な態度と、力の入らない会話なのだろう。だから学会後は美味しいラグーザ料理とワインで盛り上がり、たわいのない会話や研究者の噂話などで子供のようにはしゃいだりするのだ。
 結局、人と人との関係なのだな、ということを実感した。

 休憩時間に数人の発表者と話していたときのこと。今の研究を通して新たな興味の方向性が見え、それについてあらゆる可能性を模索しているという、知的探求と欲求がきらきらしていた姿がとても素敵だった。
 ああ、こういうのは本当に久しぶりだった。日本の音楽学仲間はどうしているだろう。私も何かしたくなってきたぞ。


何でも人と人の誠実な関係が基本なのかな~と。     

当日の発表内容はこちら
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by hyblaheraia | 2008-11-28 10:05 | 大学・研究 | Comments(12)

ピッカピカの1年生

 カターニア大学ラグーザ校で日本語を専攻する新一年生が、今年は40人を超えた。外は寒いというのに教室に入ると若者の熱気で蒸し暑く、天上の高い旧修道院の校舎のため、ワーワー、キャーキャー、ガヤガヤ、すごい騒ぎになっている。

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 この集団を2時間黙らせるのは至難の業だ。しかも日本語はまだ習い始めて1ヵ月。何を説明するにもイタリア語とジェスチャー、大きな声でゆっくりと、口をしっかり開けて、発音もはっきりと。黒板にひらがなを書くときも、遠くの席から見えるように超巨大に。センセイ!と呼ばれれば、縦に教室を走りまくる。
 もう、ヘトヘトです。

 一人一人の名前も覚えきれないので、紙に名前を書かせ、机の上に置かせることにした。授業中は私はこの名札を見ながら、ではジュリアさん、やってみましょう、と指名する。人と人との関係はファーストネームで呼び合うのが基本だから、他の学年でも初回時はまずこれをする。
 が、ピッカピカの新一年生にとって、これがまた思いの外、難儀だった。
 シチリアの苗字は難しいのだ。

f0133814_9362019.jpgZammataloザンマターロ、Cannizaloカンニザーロ、Sapuppoサプッポ、Rappazzoラッパッツォ、Iaciイアチ、Iudiciイウーディチ・・・などなど。
 ソとンとツ、ナとメの違いなどももちろん混乱していて、フランチェスコはフランチェソコ、フランチスコだったり、ジョヴァンニはジョヴァソニ、エリザベッタはエリザペッタになったり、カタカナとひらがなが混じってしまったり。
 一人一人直したらそれだけで2時間が終わりそうだったので、提出させて、先ほど添削を済ませたところ。カワイイ間違いに、思わずプッとなった。


 前回は数字の練習もした。席の端から順に1、2、3・・・と言わせると、41人もいた。その後「41」から逆に言わせたら、きちんと「1」に戻ったので41人だったのは確かなのに。
 提出させた名札を数えたら、なぜか43枚。授業中に増殖するのか?

 明日も、増殖星人たちとの戦いあり。 

1年生ってなんだか初々しくていいですね。      
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by hyblaheraia | 2008-11-27 09:38 | 大学・研究 | Comments(12)

憩いの眺め

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 Chiesa di S. Francesco all'immacolata
 束の間の憩いの風景。カフェを飲みながらずっと眺めていたいけれど、実は大学のトイレの窓からの眺め。

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 青い空にそびえる鐘楼。崩壊した彫像をそっと撫でる薄雲。この組み合わせに、いつも体中からふっと力が抜ける感覚を覚える。彫像にしっかり顔が付いていたら、こういう気持ちにはならないだろうな。

 廃墟や朽ちたものだからこそ、そこに見えない姿を想像し、限りない美を感じるのかもしれない。


見えない美しさってありますよね。      
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by hyblaheraia | 2008-11-18 07:34 | 歴史 | Comments(10)

教育の行方

 イタリアは今、教育制度改革で揺れに揺れている。公立の小中高の教育制度改革を定めたジェルミーニ法案Decreto Gelminiに反対する父兄ならびに子供たち、さらには公立大学への大規模な予算削減を定めた法令133条(L 133/08)に反対する大学生が一丸となって大規模なデモ活動を各地で繰り広げている。
 連日、その様子をニュースで観ていたが、ラグーザでもようやく動きがあった。今朝9時半からサン・ジョヴァンニ広場でデモ活動が行われるという情報を入手し、参加すべく行ってみた。
 
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 9時半には人がまばらだった広場が次第に学生たちで埋め尽くされ、ざわめいていく。先生に引率された小中高生が手作りのプラカードや横断幕を手に、うねるように大通りを下って行った。

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 イタリアの小中高には足を踏み入れたことがないので、問題の各側面を明確に理解するのは難しい。ネットで過去の新聞記事などを追ってみると、小学校では1週間24時間の授業、1クラス3名の教師を1名に削減、10段階の採点方式の採用、制服(スモックのようなもの)の着用、などの改革があるようだ。
 1日4時間のみの授業は学力の低下につながりはしないだろうか。子供の送り迎えの習慣がある小学校では、午後の授業がなくなれば親たちの仕事にも影響が出るだろう。時代の変化に合わせて導入された英語やコンピュータの授業は、専門的な技術を持たない教師にも教えることが可能なのだろうか。

 
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 これら個々の問題もさることながら、今後3年で7パーセントの教育予算削減が実施され、8万7千人の教師が職を失うという事態には驚愕した。いったいイタリアの義務教育はどうなるのだろうか。

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 一方、大学にも信じ難い改革の波が押し寄せている。法令133条(L 133/08)は、2009~2013年にかけて国公立大学への国家予算を10億5000万円削減し、大学の独立法人化を進めるというものだ。政府のサイトには、2009年からの削減配分もきっちりと数字で提示されている。


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 日本の大学機関の高度な設備からは程遠いこのイタリアの大学で、予算がさらに減り、教員が解雇され、基本的な文献や実験器具、設備がますます手薄になるとは、何とも嘆かわしいことだ。学問的意欲があっても受け皿となる環境がなければどうにもならない。イタリアのブレインの海外への流出は、もはや止まることはないだろう。

 ラグーザの学生はこの問題をどう受け止めているのだろう。このデモに参加した大学関係者は我々と同僚2~3名、学生5~6名のみだった。大学教員2名と学生が地元放送にインタヴューを受けたが、実際は小中高生のデモだった。


f0133814_1473294.jpg その後、11時から大学構内で急遽、会合が開かれるという情報が入り、ルカは同僚とともにデモに加わりながらイブラへ降りていった。私は所用を済ませて合流するつもりだったが、大学に着いたルカから、学生はほとんどいないので来ても仕方ないと電話があり、行かなかった。

 が、実は雨のため、市のホールに会場を変更して行われていたそうだ。そこには日本語を専攻する教え子を含む数十人の学生たちがいて、静かに話し合いをしていたと聞き、やっと救われたような気がした。
 良かった、君たちがいてくれて。

 ローマやミラノ、ボローニャの学生たちのように群集を先導するような力強い抗議活動でなくてもいい。広場での公開授業や教室の占領など、派手なパフォーマンスもしなくていい。ただ、今後のイタリアの教育の行方と自身の将来を見据え、学ぶ自由と権利をしっかり掴み取ってほしい。
 老婆心ながら、ラグーザのおとなしい学生たちの将来を憂いつつ、ゆっくり見守っていこうと思った一日だった。

ああ、心配心配・・・。      
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by hyblaheraia | 2008-10-31 07:57 | 政治・社会 | Comments(20)

かるた Carta

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 最近の授業では文法の復習に力を入れていたので、今日は気分を変えて「いろは歌」の長文読解。そして最後に「いろはかるた」で遊ぶ。
 とは言っても、私が持っているのは江戸時代に流行した妖怪かるた。当時のカルタのファクシミリ版で、お化けたちがとてもチャーミングに描かれている!わぁ~かわいいこのお化け!と始める前から盛り上がる。

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 でも取り札のひらがなが草書体で書かれていて少々難しい。かるたを始める前にみんなでひらがなの確認をする。
 「そ、ろ」と「あ、お、れ」、「ろ、ゐ」が判別しにくく、「え」は「江」、「ん」は「京」、となっている。これは「そ」でしょう、うんうん、え?じゃこれは?
 1年生は全部納得できるまで、しっかり確認し合っていた。ワルワル教師はお手付きには、手の甲をパシッと叩く罰を付けくわえ、早速始める。

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 「えんの下から出るたたみあげのくわい、え!」、バシバシバシ!手の平が激しく教卓を叩き、数秒後、ノーッ!ウェ~イ! 
 取り札は1枚のはずなのに、なぜか数人が札を手にしている。みんな超前のめり、頭がぶつからないかヒヤヒヤした。お手付きの多い人は手の甲が赤くなり、最後はお手付きしてもなでなでされていた。優しいな、みんな。

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 こちらは2年生。草書体ひらがなの確認はうまく進まず、結局、いいよもう始めちゃえ~!と強行突破。学年によってカラーが違うのが面白い。ゲームも白熱、爪で引っ引っ掻かれた人や、ガッツポーズ、奇声を発する人もいたりして、既に妖怪にとり付かれたか?!
 ワルワル教師、今度は読み終えた札をこっそり混ぜて再度読む。「うすい峠のしゅもくむすめ、う!」、なのにバシバシバシッッ!!
 (ニマッ)全員お手付きですよ~!さっき読んだ札を読みました!ええーそんな~!とか言いながら嬉しそうにパシパシ叩かれる。

f0133814_495923.jpg 今回、いろは歌について調べると、恥ずかしながら初めて知ることばかりだった。
 いろは歌の初出は1079年の仏教本で、わずか4行の歌には諸行無常の思想が満ちている。仏教本通り七文字ずつ並べると、最後の音に「とかなくてしす 咎なくて死す」、最後から三番目に「ほをつのこめ 本を津の小女」という謎めいた暗号が浮かび上がるという解釈もある。

 ゾクゾクするようなミステリーと、七五調の美しさ、手習と仏教の思想の結びつき、妖怪かるたでは日常の悪業から生まれる化け物、それを遊戯にする美意識など、その凄さに唸りっぱなしだった。
 そのうちの少しでも学生に通じたかな。
 

いろは歌って凄いんですね。    
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by hyblaheraia | 2008-10-24 06:43 | 大学・研究 | Comments(18)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

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2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


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