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フトリミス -ラグーザ版ティラミス-

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 ティラミス tiramisu'
 tirare=引っ張る、mi=私を、su=上に、から成り立つ名前。そのまま訳すと、私を上に引っ張って!、つまり、天にも昇る心地にして!という意味になる。ああ、幸せな響き。

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 我が家の甘い朝食、夏ヴァージョンはルカが作るフトリミスfutorimisu'。つまり、太ること間違いなしのカロリー大ティラミス。
 マスカルポーネ250g、卵2つ、砂糖たっぷり、香り付けのお酒、砂糖入りカフェ、そして、ティラミスに欠かせないサヴォイアルディは・・・、

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 ボボーンッ!
 ラグーザの巨大サヴォイアルディsavoiardi。普通はフィンガービスケットの形だけれど、シチリアでは手にようやく乗るほどの大きさ。一つ食べると結構お腹も膨れる。


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 それを甘いカフェに浸して、マスカルポーネと卵のクリームと何層にも重ねたコレステロールたっぷりのドルチェ。けれども軽やかな口当たりはまさに、天にも昇る心地になる。

 夏の朝はひんやり、とろーり甘いフトリミスが、気付くとほぼ半分なくなっている。ランチの後にはさらに半減、夜には4分の1しか残っていない。
 これでは太りすぎて天には昇れまい。


こちらもティラ・ミ・ス・・・!
 
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by hyblaheraia | 2008-06-29 07:58 | 菓子 | Comments(16)

メルロの愛のかたち

 メルロの雛が巣立ってから5日後、親鳥が巣に戻ってきた。声のしなくなった空の巣にメルロの姿を再び見るのはなんと嬉しいことか!

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 でも今日はソワソワ、落ち着きがない。
 誰かを探しているようにも、
 待ち合わせをしているようにも見える。

 しばらくして、

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 どこからとものなく飛んできた一羽のメルロがスルリと巣に入り、待ち合わせ中だった一羽も慌てて巣に飛び込んだ。そして、ディギディギディギディギ!!!! 巣の中で大騒ぎする声が聞こえた。もしや、子作り?!6秒後、

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 何事もなかったかのように、待ち合わせのポーズに戻る。もう一羽はと言うと、
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 悠々とこの空を仰ぎたかったのだろうか。アンテナへと飛んだ。

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 そこへ待ち合わせポーズの一羽も遅れてやって来て、傍らに静かに寄り添った。空を見つめながら仲良くただ肩を並べ、意外とロマンティックなのかしらと思っていたら、今度は

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 アンテナから降りて巣の近くへ。一羽は羽根をつくろい、もう一羽は枯草をむしり、日常のありふれた一場面を演じる。
 どことなく、よそよそしい雰囲気が写真にもにじみ出ているような。意外とシャイみたい、メルロは。


こんなことが繰り返された6日目の午後8時頃・・・

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  テラスで草花の手入れをしていると、仲の良い夫婦がアンテナに。あんなによく歌うメルロが、ただ黙ってそこにいるなんて。ムム、これは嵐の前の静けさか。

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 向こうのアンテナにぴらぴらと一羽ずつ飛んで行き、

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 またこちらのアンテナに一羽が飛んできて・・・(左)、
 その5秒後、もう一羽が飛んできてディギディギディギディギ!!!!!!(中央 まさにその瞬間!下がメス)
 そして、オスは行ってしまった。(右)
 
 わずか3秒のディギディギの後・・・、

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 メスはアンテナに留まり、オスは向いの屋根に。お互いモジモジしながら少し離れた所で相手を気にしつつ、

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 また移動した!
 ディギ後は照れくさいのかもしれない。空へと羽ばたき、どこへ行ったかと言うと・・・

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 ここ。
 エッチェ・オーモ教会、右手前の家の貯水タンク付近。
 何とも殺風景な場所に、ちらちらと姿が見える。もっとロマンティックなところに行けばいいのに。庶民派だな、メルロは。


 さて、このようにして行われたメルロの子作り観察の結果をまとめると、以下の通りとなる。

 1)ディギ前、一羽がどこかで待機する。大抵、メス。
 2)そこへオスがやってきて、ディギる。ディギ時間、およそ3~5秒。
 3)ディギ後、メスはそこに留まるが、オスは一旦、場を離れる。が、あくまでもメスが見える範囲に。
 4)その間、モジモジしながら相手を気にする。
 5)オスは少々ロマンティックな場所へ移動する。そこへメスもやって来る。
 6)が、居心地が悪いので、より庶民的な場所へ移動し、日常のワンシーンを演じる。


 大騒ぎの子育てとは想像もつかないほど、メルロの子作りは繊細な愛のかたちを見せていた。
 シャイで、庶民的で、夫婦愛の深いこの野鳥がますます愛おしく感じる今日この頃。ディギの正体が分かってしまって、聞こえるたびに何とも・・・。


こちらにも愛のかたちを・・・! 
 
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by hyblaheraia | 2008-06-28 09:02 | 野鳥・昆虫・動物 | Comments(6)

今日という一日

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 毎朝、紅茶のお湯を沸かしている間に、必ず一度テラスに出る。天気の感じと植物の様子を見るために。
 今朝は巨大なテッラコッタの鉢にびっくり!思わず目をこすった。グラーツィエ~~!アウグーリ!!

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 朝食はテーブルにきれな包みが。グラーツィエ~~、アウグーリ!
 中身はカッサティーナ。いつもながら甘いもの。

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 ランチは二人で買い物をして用意。テーブルセッティングは私、ルカはチーズの盛り合わせを作っている。

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 私はつまみ食いして待つ。大好きなフンギ・ミスト(きのこミックス)には、NamekoとShitakeが入っているので、つい。オリーヴには唐辛子オイルをかけて味を調整。そして、

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 ポーンッ!スプマンテを威勢よく開けて、アウグーリ!グラーツィエ!
 ワォ!かわいい!「万歳 ヒブラ」 チーズ絵文字だ!

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 真昼間に飲むスプマンテは最高~。この時間にきーんと冷えた白ワインかスプマンテを飲むのが好き。
 楽しく、美味しく、飲んで、食べて、チーズの顔に立派な鼻をつけてあげたりしているうちに、

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 一本目のプロセッコ(辛口)が空いてしまった。二本目のドルチェ(甘口)も開けちゃえ~!
 アウグーリ!グラーツィエ~!!ひょっほー。

 その後、まぁちょっとお昼寝とか言って1時間、2時間、3時間、4時間・・・、
 起きたら夜の8時半!しかも極度の喉の渇きと、軽い頭痛に鼻づまり。
 晩御飯もゴージャスに行く予定だったけれど、食欲はなし。麦茶をガブ飲みし、桃を1つ、また麦茶・・・、ううー喉が猛烈に乾く。何か、何かないのー!

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 あります。昨日作っておいたティピティピ(チビチビ)洋梨のコンポート。ジェラートを添えて、ああ、喉も身体も癒される。
 やれやれ、何もしていないのに今日という一日はもう終わり。今年もドタバタだったな(去年は気温48度、乗っていた長距離バスのタイヤが燃えた!)。

 6月25日、今日は私の38回目の誕生日。
 年を取れば取るほど誕生日は有難いもの、ということで、明日もまた今日の続きが予定されております。

何歳になってもいいなぁ、誕生日って・・・!
 
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by hyblaheraia | 2008-06-26 08:26 | 生活 | Comments(38)

カンノーリ、しばしの別れ

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 最近の我が家の朝ごはんは、カンノーリCannoli
 オホホ、と言いたいところだが、実はちょっとしんみりとした気分。朝から別れを惜しむように、カンノーリの準備をする。


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f0133814_220289.jpgf0133814_220267.jpg リコッタチーズは水分を多く含んでいるため、食べる直前に詰めるのが理想的。

 こうしてリコッタ、砂糖、シナモンを適量混ぜて筒に詰めるだけの、リコッタの新鮮さが勝負の伝統菓子なのだけれど・・・、
 我が家ではさらに、泡立てた生クリームも入れてしまう!伝統の革新も時には必要、ということで。


f0133814_21474895.jpg さて、しんみりカンノーリには訳がある。

 リコッタは夏になると美味しくない。
 枯れた牧草を食べても、牛たちは美味しい牛乳を出さないから。
 カンノーリの筒(チャルダ)も夏は美味しくない。
 生地に含まれる油分が暑さで溶け過ぎて、品質が落ちるから。
 

 この地元の言い伝えが頭にこびり付いていて、慌ててカンノーリの材料を買いに走った。
 今食べておかないと、秋までお預けになる。実際、去年の夏には、いつの間にかスーパーから筒が消えていた。

 今年はぎりぎりセーフで間に合った。
 もう終わっちゃうから・・・、と買ってきた筒とリコッタを見せるとルカも、そうだね・・・。
 ああ、まさに別れの時が来たのだ・・・。

 カンノーリよ、秋までしばしの別れだ。
 夏の間はシェイプアップして耐えておくから、秋にはたんまりと頬張らせておくれ!

追伸:
リコッタは一応、年中あるのですが、冬の方がこくとまろやかさがあって断然美味しいです。問題はカンノーリの筒で、これは今買っておかないとなくなります!でもバールでは常にカンノーリが売られていますのでご心配なく。シチリアに来たら、必ず食べてください!


カンノーリよ・・・!
  


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by hyblaheraia | 2008-06-25 00:02 | 菓子 | Comments(12)

ムチムチのすゝめ

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 最近、無性に手打ちパスタが食べたくなる。あのぽてっ、むちっとした食感が頭に浮かぶとどうにもならなくなる。
 パスタマシンはないけれど、フォカッチャを作る台と棒を使ってシコシコと。こんなに手打ち麺が食べたくなるのは、うどんを切らしているからだろう。私はうんどん好き。

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 何度も作っているうちに、いろいろとコツが身に付いてきた。麺の太さと厚さ、それぞれ相性のいいソースも違うし、季節によって生地の乾き方や縮み方も違う。
 ふむふむ、そうかーと納得しながら黙々とパスタを打つ。私は地味な作業が好き。

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 この日はナポリの実家の胡桃を使ったソース。パスタはぶ厚め。
 オリーヴオイルに唐辛子を入れ、胡桃を炒め、そこにテラスのバジリコをバサっと投入。あとは塩味のみ・・・、という所でどうしても生クリームを少し入れたくなった。ルカの反対を押し切って投入!ホホ。
 
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 結果は正解。胡桃の香ばしさが少しずつに甘さに変わっていく時、バジリコの青さがサワサワッと広がり、手打ちパスタのムッチョリ感に包まれて、クリームのとろみが全てを包む。
 ムッチョ、幸せ!

f0133814_6371584.jpg 手打ちパスタは一度にたくさん作り、二日楽しむのが我が家流。翌日は・・・、

 夏野菜のパスタを実行。
 ナス、ズッキーニ、人参、ピーマン、グリーンピースをオリーヴオイルと唐辛子でじっくり炒め蒸ししただけの、簡単なパスタ。
 カラーブリアのンドゥーヤもアクセントにバシッと投入。我々は辛いものが好き。

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 食卓ではいつものように、仕上げのチーズを雪山のように削り下ろす。
 見た目は地味だけれど夏野菜の甘さとジューシーさ、そして季節の恵みに感謝する今だけの味。ムチムチのパスタとの相性も抜群。
 飲んでいるワインが二人違うのは、ムチ(無視)して下さい。

 手打ちパスタは意外と簡単で、おすゝめなり。

ムチョっと、ムチっと、打ってみよう・・・!
  
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by hyblaheraia | 2008-06-23 07:49 | 料理 | Comments(18)

これ何?SOS!

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 この葉なんの葉 気になる葉
 植えた覚えのない 葉ですから
 思いもよらない 実になるでしょう~ ウシシ

 去年、バジリコを植えたこのプランターに、春先から何やらニョキニョキ出てきた。自然に発芽したバジリコは良いとして、この二本の苗は何だろう?もちろん、我々は何も植えていない。
 右の苗をアップにすると、

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 こんな感じ。葉に産毛のようなものがあって、少々厚め。でもそんなに硬くはない。育つにつれて、葉の周囲がギザギザになっていく。
 左の苗もアップにすると、

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 ほとんど同じ。葉脈がはっきりと見えている。
 何だろう?

 去年の夏、ルカはよくフルーツの種をプランターにポイッと捨てて、これで実が成ったらいいね~、と夢みたいなことを言っていた。あの時、捨てた種は、
さくらんぼ、スイカ、メロン、梅干し(カテゴリー違いか)・・・、も、すももも、もものうちではなくて・・・、そうそうネクタリンも、秋にはカボチャ(虫食いの実)、塩漬けオリーヴもかな。このうちの、どれか・・・?
 何となく枇杷(びわ)に見えるのだけれど、去年は枇杷を買わなかったし、お裾分けにもらった覚えもなく・・・・。

 ということで、これ何?SOS!
 お分かりになる方、今後の育て方についても、ぜひ教えてください!!
 (ネットで画像を検索をしたら、枇杷、桃、ネクタリン、どれにも似ているような・・・)


このバジリコのプランターで去年はこんな珍事が!
 バジリコ畑征服計画 ―家族編― ならびに ―味見編―

 

追伸:SOSは既に3度目だったので、シリーズ化しました!
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by hyblaheraia | 2008-06-21 10:18 | 生活 | Comments(12)

溶岩色の空

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 モディカ旧市街の全景に溜息を付いている時間はない。冷たい風に押されるように、ラグーザへの山道を進急ぐ。西の空は既に暮れていた。

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 高所恐怖症のお義母さんのため、高さ130メートルの橋を迂回して細い道を行く。あの橋でも、この道でも私にとっては変わらない。見ているのは空だからだ。

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 次第に雲が杏色に輝き始める。隙間に見える空は、まだ青い。

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 山間の向こうに落ちて行くような雲。一日の終わりには、こうして山に吸い込まれるように姿を消し、空は眠りに就くのだろう。

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 次第に桃色を帯び始める雲と空。両者が薄く重なり合う部分は、薄紫色の影を生み出す。言葉もなく、ただ空ばかりを見ていた。

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 この先に素晴らしい景色が待っているけれど、どこか分かる?運転のジョヴァンニ氏が聞く。
 空しか見ていなかったので、全く見当もつかなかった。しかしカーブを大きく左に回った瞬間、草木の間からあの良く知る風景が見えた。それはまさに、

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 イブラだ。谷間を泳ぐ魚の頭部分が見えている。そこからは早い。あっという間に、

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駆け抜けてしまった。
 溶岩色の空を前に、熱い溜息が漏れる一日の終わりだった。
 燃えるようなイブラの美しさは、ラグーザの思い出とともに、ナポリに発つお義母さんの心にも深く刻まれただろう。

  

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写真と音楽のコラボ:「音の絵」シリーズ

G. F. ヘンデル(1685~1759)のカンタータ 《あの運命的な日から-愛の妄想- Da quel giorno fatale (Il delirio amoroso)》 HMV99 1707年作曲、作詞:ベネデット・パンフィーリ(1653~1730)よりアリア抜粋。

Per te lasciai la luce,  あなたのために(希望の)光を残し
ed or che mi conduce  あなたに再び会えるよう
amor per rivederti,  今や、愛(神)が私を導いているというのに
tu vuoi partir da me.  それでもあなたは、私の元から去りたいのですか
Deh! ferma i passi incerti,  ああ!迷うのはもう止めてください
o pur se vuoi fuggir, dimmi, perché?  私から逃れたいのなら、その訳を言ってください


 恋人ティルシをハデス(冥界の王)の住む国から連れ戻し、エリシュオンの園で暮らそうと空想するクロリスの歌です。 
 マグダレーナ・コジェーナはクロリスの切願を、儚い夢と諦めのように歌い出し、歌詞の最終部分では決然とした声で恋人になぜ?と問い詰めていきます。
 燃えるような空の写真を見る時は、必ずこのカンタータを聴いていました。静かに燃えるような旋律がたまらなく好きです。溶岩色の空に捧げられるカンタータでしょう!!

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今日はちょっと音楽学的な話も
 若きヘンデルのイタリアで修行中に書かれたカンタータで、歌詞はパンフィーリ枢機卿(教皇イノチェンツォ10世の甥)によるものです。芸術の有力なパトロンであった枢機卿の邸宅では、毎週日曜日にアッカデーミア(芸術研究会)が開かれ、ローマの貴族や知識人、音楽家たちが集まっていました。この作品はおそらくそこで演奏されたものと思われます。
 同枢機卿が作詞したカンタータは少なくとも88曲知られており、その重要手稿譜がヴァチカン図書館に保存されています。数年前に基礎調査を行いましたが、まだ作業は終わってません・・・。

 歌詞は7音節詩で、最終行は11音節で締めくくる17~18世紀の典型的な詩形を取ります。ヘンデルはこの詩の構造と内容に合わせてABA(ダ・カーポ)形式の音楽を付けました。二度目にAが回帰する時は、冒頭のAと同じようには演奏せず、装飾を施し、歌手の音楽性と技巧を見せるのがバロック声楽曲の慣例です。
 コジェーナのABAはどのように表現されているでしょうか。いろいろ味わってみてください。
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by hyblaheraia | 2008-06-19 11:34 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(12)

モディカへ

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 シークリで受けた美の震動が抜けきれないまま、山間部の一本道を行く。目指すはモディカModica、ラグーザに最も近い隣町だ。

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 なだらかな丘陵地帯がさざ波のように覆い重なる。何の変哲もない風景なのに、心に中をえぐるような何かがある。

f0133814_6155466.jpg 途中、何度も見かけた3メートルほどもある高さの植物。
 アガヴェAgaveと呼ばれる多肉植物で、一つの株から一本の太い茎が成長し、一度だけ花を咲かせて死んでいくという。

 これは花が咲いている状態。儚い一生のその絶頂の姿でもあり、生命を絶つ直前の姿でもある。アガヴェを見るとやるせない気持ちになる。


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 山道を進み、行く手に絶壁が見えてきた。

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 次第に近付き、その大きさが分かり始める。海辺の羽のような雲は、少し厚みを帯びている。

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 全体を見渡そうとすると、絶壁が後方に倒れるように開いていく。それだけ目の前にそびえているということだろう。

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 こんな山奥にも人の営みがあった。人気のないこの山で、自然と対峙して生きていくにはどんな覚悟が要るのだろう。
 何があっても、この山の豊かな四季は彼らのものだ。

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 モディカの有名な橋が見えてきた。二つある高架のうちこれは80メートル、ラグーザに繋がるものは130メートルという恐怖の高さだ。

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 橋の真下からみれば、あの上を走る車はミニカーのように見えるだろう。ああ、橋も、空も高い。

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 モディカ・バッサ(Modica bassa下のモディカ、旧市街)の悪名高き渋滞にはまる。苛立つドライバーたちを余所に、我々はゆっくり町を眺める。

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 有名な崖っぷちの時計。8時なのにまだ明るいのは、確実に夏が近づいている証拠だ。

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 ラグーザとはわずか12キロの距離ではあるが、町の雰囲気はこうも違う。モディカはどこか整然としている。

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 サン・ピエートロ教会(左)と、モディカ唯一のゴシック様式の教会で名前は・・・。薔薇窓が印象的だった。車で急いでここを通過したのには訳がある。
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 足早に中心街を抜けて、我々が行きたかったのは、

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 ここだ。
 モディカを見下ろすこの丘にお義母さんを連れて来たかった。夕日に染まるモディカの小さな家々。その中心にはもちろん、

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 サン・ジョルジョ大聖堂が位置している。ラグーザの旧市街イブラもモディカも同じ守護聖人を持つ。こちらの聖人彫刻にはヒゲがなく、優しい顔つきだが、ラグーザのはヒゲがあり、勇壮な感じがする。
 ドゥオーモに上がる階段はとにかく長い。息が上がり脚が重くなったら、椰子の木と薔薇と、小さな草花を愛でて一休みすれば良い。シチリアでは時間はたっぷりある。

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 冷たくなり始めた風に身を縮め、後ろ髪を引かれる思いでこの場所を後にした。
 この先、我々を待っていたものは、シチリアでの家族再会を忘れ得ぬものにした、あの空だった。
 
 ラグーザまであと一息・・・。


さぁ、カチカチッと急ぎましょう・・・!
 

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追伸:
 観光地ではないイタリアの小さな村ばかりを追い、美しい景色と、そこに住む人々と、伝統を伝える番組があるそうです。いつもこのブログに楽しいコメントをくださるtaorminaさんからのご紹介です。


《小さな村の物語 イタリア》 BS4 BS日テレ 毎月・20:00~20:54(再放送 毎土・21:00~21:54)

6月23日(月) ヌービア(シチリア州)Nu'bia トラーパニ近くの塩田の村
6月30日(月) モッタ・カマストラ(シチリア州)Motta Camastra タオルミーナから内陸へ10キロ
7月7日(月)   同上
7月14日(月)  ロッレ(ヴェネト州)

 聞いたこともない村なので思わず地図で探しました。すごく観てみたいのですが、我が家には衛星チューナーがないので、みなさんのご感想などお聞かせいただけたら嬉しいです。
こちらは番組スタッフのブログだそうです。
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by hyblaheraia | 2008-06-18 10:15 | シチリア他の町 | Comments(10)

ドンナルカータからシークリへ

 シチリアには不思議な響きの地名が多い。大抵、ギリシア語やアラビア語起源であるのだが、この町ばかりはよく分からない。ドンナルカータDonnalucata。そのまま訳せば「ルカの女」。私のことではないの?
 「今はドンナルカータだけど、そのうちドンナフガータ(逃げた女)になっちゃうんですよ。」
 ルカのお得意ギャグを聞かされた人は数知れず。

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 マリーナ・ディ・ラグーザ(ラグーザ海岸)から、海沿いを走ってドンナルカータにやって来た。羽のような雲がここにも舞っている。

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 海に面したなだからな道を散歩しつつ、一瞬、こんな趣のある路地が目に入った。

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 海岸に沿って立ち並ぶ古い民家。《モンタルバーノ警部》の撮影にも使われた。アンナという美しい未亡人が住むこの家に、真夜中、モンタルバーノが車を飛ばして会いに来てしまったあのシーンを思い出す。

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 家の目と鼻の先は海。夏と言うにはまだ冷たい風が潮の香りを運んでくる。海の色もまだ夏とは言えない。
 けれども潮風に吹かれると、どういうわけか夏のあの味が欲しくなる。皆でジェラート、ということになり海辺の普通の店に入ったのだが・・・、

 
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 この種類の豊富さ!横長の店の端から端まで、全てジェラートで夢見心地。確かこの日は、31種類あると言っていたような。

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 店の奥には小さなジェラートもいろいろ。このタイプは、大きな皿や盆に並べて来客時に出すことが多い。
 これだけ種類があるのに、皆、申し合わせたようにピスタッキオ(ピスタチオ)、マンドルラ(アーモンド)、リコッタのいずれかは外していなかった。やはりシチリアの味を楽しみたい。

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 ドンナルカータの空には鳳凰が羽ばたいていた。何かを追い求めるようなその飛翔が忘れられない。

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 海岸線から内陸に入り、次に向かうはシークリScicli
 シークリはきれいな町だよ、今度、二人を案内してあげよう。近所のタバッキのお爺さんは故郷のことをいつもこう言う。

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 町に入ると、イルミネーションのアーチで華やいだ雰囲気。今日はお祭りだ。
 奥の崖の上にあるのは、

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 確かサン・バルトロメーオ教会だったと思うが、マッテーオだったか・・・。運転とガイドのジョヴァンニ氏が次々に説明してくれていたのだが、なぜかこの日は静かに景色を見つめていたかった。ラグーザを出た時から、いつもの景色がいつもとは違って深く心に切り込み、痛みを感じていた。

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 これは市庁舎だったか・・・。繊細な模様の彫り込み、フェンスの小花模様、屋根の張り出し部分、全てが自信に満ちた優美さを表わしている。そしてこの先のカーブを右に大きく回ると、

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 突如、視界が開け、この景色が飛び込んできた。
 荒々しい崖の威力と、それをせき止めるかのように立つ教会のなんというドラマティックな構図だろう。青空と軽やかな雲は、その対極の自由さを表わしている。
 計算し尽くされたような緊張と弛緩の世界。

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 そしてこの色が加わる。黄金色に輝く豪奢な風貌。

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 躍動感あふれる崖の線とと空の動きに目を奪われる。崖の上にも、下にも人が暮らしているとは驚きだった。
 強かな美しさと、緊張感に満ちた町、シークリ。タバッキのお爺さんはこれを見せたかったのだろう。

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 イルミネーションの点灯が濃いオレンジ色に変わってきた。日暮はもうすぐだ。家路を急ごう。
 これから山間部を通り、モディカへ向かう。

 つづく・・・


ドンナルカータにも、ドンナフガータにも等しい愛を・・・!
 
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by hyblaheraia | 2008-06-17 11:09 | シチリア他の町 | Comments(20)

ラグーザの海岸線

 海抜600メートルのラグーザから、海に向かって緩やかに下る田舎道を走る。果てしなく広がる牧草地と小麦畑を突き抜け、カッルーボが自生する丘を駆け降りると、行く付く所はプンタセッカPunta secca

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 町のシンボルの灯台が我々を迎える。今日の空は本当に青い。

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 その色の濃さを感じさせるのは、きっとこの羽のように風に舞う、薄い雲のためだろう。
 10種雲形(雲の高さと形に基づく国際的な分類)によると、これは巻雲と呼ばれる高層雲の一種で、氷の粒が雲を形作っているのだそう。空に舞っているのは、氷の羽・・・。

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 プンタセッカに来たのは他でもない、人気ドラマ《モンタルバーノ警部》の家(写真)をお義母さんに見せるため。
 シチリア人作家、アンドレーア・カミッレーリAndrea Camilleriの小説に基づくこのドラマは、ラグーザ一帯の美しい景色を背景に、シチリアらしい人間模様を交え、主人公モンタルバーノの機転で事件が解決されていく。今ではヨーロッパで大人気のドラマで、ラグーザを憧れるドイツ人観光客が後を絶たない。
 この日は運良く、撮影の真っ最中。

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 モンタルバーノ警部は、赤いスポーツカーの女と怪しい雰囲気だった・・・。地元の人々も椅子を出して、撮影を眺めている。のんびりしているなぁ。

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 二匹の仲の良い犬が、ニコニコした顔でじゃれ合っていてかわいかった。なんて優しい顔!撮影の邪魔をしないよう、静かに遊ぶお利口さんたち。

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 それにしても青い。そして氷の羽がきれいだ。ロケよりも空の方が気になっていた。


 思いがけずモンタルバーノに出会えてお義母さんはとても喜んでいた。嬉しそうな顔を見て私も嬉しくなった。
 プンタセッカから海岸線を走って、マリーナ・ディ・ラグーザへ移動。

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 その間も、ずっと空ばかりを見ていた。風が強いので波が高く、砂が巻かれ、海の色は少しくすんでいた。

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 マリーナ・ディ・ラグーザには既に海水浴を楽しむ人がちらほら。ギターで愛を語る人も。彼女のポーズからすると、あまり上手くなさそうだけれど。

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 私もルカも夕方の海が好きだ。老後は二人で、こうしてベンチで海を見ながら話をしていたい。

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 椰子の木も、背の高い葦も、風に強くなびている。氷の羽も空一面に散っている。今日の夕空は、あの溶けるようなオレンジ色に染まるような気がする。

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 イルミーニオ自然公園には、様々な種類の天然の灌木が生えている。海岸には砂はなく、イルミーニオ川から流れ着く丸くて白い石が重なり合っている。海でありながら、川を感じる不思議な場所なのだ。

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 ふと見ると、風に向かって鬣(たてがみ)を揺らし、馬が駆けていた。今はまだ涼しいからいいが、真夏にアスファルトを走らせるようなことはしないで欲しい。


f0133814_7413646.jpg こうしてラグーザからプンタセッカ、そしてマリーナ・ディ・ラグーザへと走ってきた。

 これから右へ大きく回り、内陸を通ってラグーザに。
 その間、息を飲む風景が次々に現れ・・・。

 つづく・・・


右周り、左周り、どちらも行ってみましょう・・・!
 
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by hyblaheraia | 2008-06-16 07:50 | 自然 | Comments(18)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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