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膨大、かつ巨大

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 復活祭前、スーパーでカルチョーフィcarciofi(アーティチーク)が大安売りになっていた。木箱にびっちり詰まって2.9ユーロ。しかもなかなか新鮮。山積みの木箱の前をうろうろしながら、おいしそう~と羨ましげな言葉を漏らす。
 が、木箱では持って帰れない(徒歩なので)。遭えなく断念か・・・という空気が漂った瞬間、ビニール袋に移してもらえばいいじゃない?と我ながら超ナイスな一言で決まった。じゃあ、買っちゃおうか?!
 何となく、どちらかがそれを言い出すのをうじうじと待っていたというわけで。

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 野菜売り場の青年は特大ビニール袋にじゃんじゃん詰めてくれた。1枚は破れたので(多すぎて)、2枚重ねている。すごい膨らみ様、パンパカパンのパン!
 数えてみたら中身は20個もあった。1つ14.5セント、今まで見た中で最安値だ!ホホホのホ!

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 数日後、モディカの友人からSOSの電話がかかってきた。かぼちゃがゴロゴロありすぎなので、良かったらもらって!という救援要請。食べるものならいつでもOKなので有難くいただくことに。
 大きくて細長くて、瓜みたいだけど太くて中はすごく赤い。と、その出で立ちを電話で聞いていて、知らない種類だなぁと思っていた。
 そしてこれだからびっくり。デカデカのデカッ!引いても引いても画面に入りきらない。とっさにルカが置いた煙草がこんなにも小さく見える。ちなみにイタリア煙草にはIl fumo uccide喫煙は殺す、の表示が。効果はあるのだろうか。

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 カルチョーフィもカボチャも、毎日のように飽きずに食べている。
 左は手打ちタリアテッレにカルチョーフィとンドゥーヤ(nduja、カラーブリア州の名産で唐辛子のサラミ)を合わせたもの。鬼美味(おにうま、激美味のことを我が家ではこう言う)の一品。右はタコのサラにはカボチャ、ズッキーニ、オリーヴを合わせたもの。野菜が新鮮なら何をやってもオニオニのオニ!

 こうして膨大、かつ巨大は地元野菜の基本。そしていつもながら申し上げよう。
 ラグーザ料理の食べ方は大盛り、ドーン・ボーン・バーン!がお約束。

オニオニのオニ・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-29 21:39 | 変わった野菜と果物 | Comments(18)

両眼をえぐられた聖女に捧ぐ ―サンタ・ルチーア教会―

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 イブラ全景を見下ろす崖に立つサンタ・ルチーア教会。この右側にあの景色が広がる。
 ガイドブックにはほとんど掲載されない小さな宝石のような教会。ラグーザの中には世界遺産の教会10軒貴族邸宅8軒、合計18軒もあるのだから、省かれても当然かもしれない。

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 サンタ・ルチーア(Santa Lucia、聖ルチア)はシチリアのシラクーザに生まれ、婚約者にキリスト信者であることを密告され、304年頃、拷問の末殉教した。火炙りにされ、喉を剣で突かれ、両眼をえぐられたという伝説に基づき、彼女をテーマとした絵画には杯に乗せられた両眼が描かれることが多い。
 この教会の祭壇画も拷問の場面を描いたもの。ローマ人の手には鋭い刀が光り、ルチーアの足元には目を伏せる女性が。

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 教会内部の中心にはサンタ・ルチーアの像が。凛とした空気を湛え、左手には聖杯、右手には棕櫚の葉を持ち・・・

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 その両脇には、彼女のえぐられた両眼をモティーフにした銀細工が飾られていた。残酷な場面を昇華させ、象徴的に捉える精神が凝縮されている気がした。
 サンタ・ルチーアは目の病気の保護者でもあり、北欧では光の祭りの守護神でもあるそうだ。

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 パイプオルガンの上にも、シャンデリアの上にも両眼のモティーフが描かれていた。なんかちょっとカエルに見えてしまうのだけれど・・・(スミマセン!!)。

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 息を引き取ったルチーアを描いた作品。良く見ると両眼入れた聖杯を天使が持っていた。

 キリスト教の聖人の物語は、こうして重要な場面を伝える絵画とともに、子供にも理解できるようなインパクトを持って語られてきたのだろう。だからサン・ジョルジョは悪龍を殺して・・・、サンターガタは両乳首を切り取られ・・・、と聖人の伝説と聖書の教えがすぐに浮かぶのではないかと。
 字の読めなかった当時の民衆に聖書の物語を分かりやすく伝えるために、教会の祈祷所でオラトーリオOratorioが演奏されたのと同じことだ。
 本を読んでその理屈は十分知っていたつもりだけれど、今日はなんだか具体的にビッシビシ感じたな。
 
f0133814_746379.jpg 教会を見学した後は、必ず署名を。

 日付、名前、どこから来たか、を書くのだが、その日の気分でTokyoだったりRagusaだったり。この日はイブラの絶景を見ながら空を飛んだような気持ちになったので、ついRagusaと書いてしまった。
 こういう小さな教会だからこそ、外国からの訪問者として記帳すべきだったかな。

 まぁよい、また署名しに行こう!

両目をえぐるなんて・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-28 08:59 | 歴史 | Comments(6)

本日発送

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 シチリアののんびりペースにやられて、日本人離れした発送の遅延。
 先日のぐるぐるカラーくじの賞品をようやく郵便局に出すことができた。とは言え、8つの封筒たちは今、ラグーザ新市街の中央郵便局のどこかですやすや眠っている。なぜなら今日出しても発送は明日・・・だから。

 18日に1週間の旅を終えて帰宅し、19日にチョコレートを買いにエノテカに行き、その足でタバッキに封筒を買いに行ったら、ちょうど良いサイズが4枚しかなかった。近所の店を数日尋ね回り、封筒8枚を揃えるのにのんびり3日もかかってしまった。

 そして22日(土)の午前中に郵便局に出しに行くつもりだったが、ルカの待ったがかかった。
 土曜日の午前中に出しても復活祭休みだから、封筒は月曜日まで郵便局に留められたまま。きちんと保管されれば良いが、郵送物がたまって混乱し、紛失なんてことにもなりかねない。これは休み明けにいくのが賢明、とのこと。
 確かにその通り。前にもサン・ジョヴァンニ祭り直前に、国際速達便という50ユーロもする方法で日本に送った書類が紛失してしまったことがある。やめておこう。復活祭明けにしよう。

 ・・・と言って、昨日ものんびりしすぎて時間が取れず、今日出してきた。

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 郵便局の建物はファシスト時代のもの。建物の上に並ぶ9つの女性像は、シチリアの9つの県を象徴しているそうだが、どれがラグーザ県なのか誰も知らない。

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 中は最近改装され、仰々しい電気が付いている。
 窓口は10個くらいあるのに、開いているのは2つだけ。1つは郵便業務用、もう1つは送金用。どちらも長蛇の列。いつものことだ。自分の前に5人いたら自分の番は1時間後と思っても間違いではない。1人10分かかることもあるので。
 今日は意外と進みが早いな、と思って窓口を覗いてみると、ルカの教え子が業務に当たっていた。こんにちは。と封筒を差し出すと、こんにちは、と恥ずかしそうに挨拶してくれた。中身はカヴァーニャとモディカのチョコレートとラグーザの地図です。と言ったら、くすっと笑った。
 日本人はヘンなものを送るのね、と今頃、家族と話していたりして。


 書留にすると2週間以上かかり、紛失したこともあるので、普通郵便のprioritario(プライオリティーメール)にしました。ちゃんと届くかどうか心配なので、
無事届いたらブログにコメントをいただけると嬉しいです

 ブログ開設1周年記念のゲーム、郵便事情の悪さを考慮すべきだったかな。ついでに封筒の入手についても。

封筒はいつも手元に・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-27 08:34 | 生活 | Comments(24)

イブラの向こうへ

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 一度ここに立ってイブラを臨んでみたかった。
 新市街とイブラを結ぶマッツィーニ通りVia Mazziniの中腹にあるサンタ・ルチーア教会Chiesa di Santa Lucia。蛇行しながら急斜面を下りていくバスに揺られ、いったい幾度この場所を通り過ぎてきただろう。念願かなって、いや、ようやく決心してここに立っている。
 谷間を抜ける風を受け、春の香りを嗅ぎ、心はイブラの向こうの丘の、さらに向こうへ。

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 ラグーザを囲む荒々しい岩肌にも春の絨毯が敷かれている。のどかな春に安心していると、いつの間にか容赦のない太陽が照りつけ、草も土も赤く焼け尽くされる。その頃には何を考えてこの景色を見るだろうか。

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 きっとどんな時でも、ここに立てば心は風に乗ってあの丘の向こうに運ばれるだろう。そんな不思議な力がこの景色にはある。喜びも迷いも全てが風に舞う羽のように軽やかに飛んでいく。
 そう確信を得て清涼な心地でここを後にした。
 とんでもない坂道なので、足取り軽くという訳にはいかなかったけれど。


 米良美一の歌うJ.S.バッハのカンタータBWV54, 《いざ罪に抗すべし"Widerstehe doch der Sünde"
 軽やかで明るく紡がれるリズムにのって、澄み切った揺るぎのない声がどこまでも自由に放たれていく。ああ、この感覚。目を閉じ、音楽に身を任せ、蘇る。あの場所に立ってイブラの向こうを見つめる私の気持ちが。
 音楽があることに感謝。

 米良さんの天上の歌声を聴きながら、冒頭写真をご覧下さい。
 心が空に吸われて飛んでいくような気持ちになりますように。


 追伸:グレン・グールドがピアノ(フォルテピアノかな?)を演奏しながら指揮する映像も発見。彼の音楽の捉え方が一音一音感じられて細胞液がじわじわ動きまくっております。米良さんとグールドの演奏を、壊れたレコードのように繰り返し聴きながら至福の一日を過ごしました。何回聴いたんだろう?

 さらに追伸:カウンターテナーのアンドレアス・ショルの歌う同作品も知的で品があって美しいです。こちらは楽譜がスクロールする画面なので一緒に歌えます。


心を飛ばして・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-26 10:23 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(28)

野生アスパラのリゾット

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 野生アスパラasparagi selvatici
 3月になると出てくる野菜の一つ。細くて長いので八百屋の店先に並ぶとすぐに目につくけれど、近いうちに買おうと思っていると、あっという間に姿が見えなくなる。シチリアの春は足音もなく近づき、足音もなく去っていくから。

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 野生アスパラはこうして20本くらいで一束にして売られる。これで2ユーロは、地元野菜にしては高価な方。でも旬の味を楽しみたくて、見つけた瞬間に走り寄った。後頭部から、ルカのえぇ~~という顔が見えた気がしたけれど、いいのいいの。去年は食べそびれたから、今年は2~3回は食べたいのだ。
 長さは新聞紙の縦分ほどもあるが、下の方は硬すぎて食べられない。

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 可食部分はこれくらいまで。手で簡単にポキッと折れるところが見極めポイント。ここかな?とねらいを定めてもシナッもっと上?シナッもうちょっと?ポキッ!おおーーー!を繰り返して準備する。地元野菜のサーナポsanapo, senapo(苦味あるほうれん草のようなもの)も、このポキポキ作業が必須。

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 この日は運良く、白ワインもパルミジャーノも、米もあったので野生アスパラのリゾットを作ってみた。作り方は特に知らなかったけれど、野菜雑炊のようなものだから適当に。
 アスパラを下茹でして、コンソメ・米・茹で上げたアスパラにワインコップ1・バター少々を加えて茹でて、出来上がる少し前にパルミジャーノを大量に削って味を豊かにする。
 気楽に作れて味もまずまず。最後に黒胡椒を削ってニコニコ。白ワインもグビグビ。そして眠くなってzzz・・・, zzz・・・。

 苦味の強い野生アスパラだが、ゆっくり茹でれば甘味が出る。人間も若い時は辛辣でも、年を取れば角が取れて優しくなるという。
 我々は既に体系的に角がなくて丸いので、年を取るとどうなることやら・・・。

人生は丸くふくよかに・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-25 10:40 | 変わった野菜と果物 | Comments(10)

チェンバロの夢

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 Clavicembaloチェンバロ。一音一音が光のように輝きながらも、満ちてくる響きには憂いがあり、減衰する音同士のこすれ合いと、プレクトラムが戻る時の声にならない声が遣る瀬無い感傷をつのらせる。鍵盤のタッチはあくまでも軽く、鍵盤は手の甲に包まれ、力みが入れば音の艶が逃げてしまう風のような楽器。
 ああ、あの音と感触。チェンバロが弾きたい。

 最近、暖かくなってきたせいか無性に鍵盤に触れたくなってきた。と言っても、電子キーボードでチェンバロの音質を出すという雰囲気だけのまがい物なのだけれど。
 史料調査に持って行くためにこの軽量キーボードを買った頃は、本物のチェンバロをレンタルしていたから、ただ音を鳴らすための道具くらいにしか考えていなかった。今では、これが私の唯一の楽器。
 生の楽器ならすぐに音が出せるのに(要調律)、これはいろいろと準備が面倒。


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 実はここはキッチン。テーブルをきれいに片付け、キーボードと譜面台と椅子を配置したら、変圧器とスピーカーをキーボードに繋ぎ、3点それぞれコンセントに繋ぎ、それぞれ電源を入れて、チェンバロの音を選ぶ。その間、約7~8分。コードを触ると指が汚れるので洗ったり、楽譜を本棚から集めてきたりすると10分はかかる。
 それでもキッチン・チェンバロの準備ができれば、あとは自分の世界。ローロー歌いながら、次第にヴォリュームも大きくなり、自己陶酔するのみなのである。

f0133814_8314055.jpg イタリアに来てから練習しているのはこれらの作品。
 
前左:アレッサンドロ・スカルラッティの《トッカータ》

前右:その息子ドメーニコ・スカルラッティのソナタ集

後左:J.S.バッハ《アンナ・マクダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集》からの抜粋

後右:フランソワ・クープラン《クラヴサン奏法》

 中でも特に、アレッサンドロ・スカルラッティ(父の方)とクープランにはまっている。
 スカルラッティの鍵盤作品はとにかく斬新根源的で、勢いがあり、音楽はこうあるべきだと思わせる旋律に溢れている。彼のカンタータとは全く違う趣で驚いた。
 そしてクープランはもう、どう表現して良いか。まず楽譜を見てたじろぐ。リズム割がぱっと見えないくらい五線の中を自由にたゆたっている。恐る恐る音を辿っていくと、それは限りなく素直な旋律で、典雅な装飾付点音符が彩りを添えながら、なんと自然に呼吸をしていることか。楽譜というものは、流れ出す音楽を客観的に書き留めた記号にすぎない、ということを深く感じながら彼の語法に酔い痴れる。
 
 ああ、これを本物のチェンバロで弾いてみたい。
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 いつもうっとり眺めて視聴音源を聴き比べているサイトより。芸術品のような楽器。

 ラグーザでチェンバロは夢だとしても、せめてクラシックのコンサートくらい何かあってもいいものに。ここは年に8回ほど、市後援による小規模コンサートしかない。考えてみればコンサートホールさえないではないか。数年前、近所の教会でピアノのリサイタルを聴いたときは、寒くて凍えそうだった。ピアニストはさぞ弾きにくかっただろう(見事な演奏だった)。

 ソーセージとリコッタの祭りには資金を出すけれど、文化的な催しには関心がほとんどないラグーザ市に一言申したい。
 チェンバロを一台買いましょう。・・・却下されること請け合い。

 ラグーザに音楽を・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-24 11:47 | 大学・研究 | Comments(8)

ヴァレーゼで同窓会、そして日本刀を知る

 コモ湖近くの町、ヴァレーゼVarese
 そこにルカの親友のルカ・ガッロとロレーナが住んでいる。せっかくトリーノまで北上するのだから会いに行こうかと話をしていたら、ボローニャに住んでいるコッラードも来ることになり、噂を聞きつけたベルガモのダヴィデも大学の授業を終えたら電車に飛び乗り駆けつけると言い出した。

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 大学時代に日本語を専攻した3人とアラビア語専攻だったルカ・ガッロ。3人がまだカキクケコを書いていた時に、既に日本文化好きだったルカ・ガッロは草書をさらさらと書いていたそうだ。共に学び、ロックバンドを組んでいた時から、今も友情は変わらない。
 結婚式に来てくれた4年前以来の顔合わせだから、楽しみで仕方がなかった。シチリア人らしく、モンティ・イブレイの高級オリーヴ・オイルを携えやってきた。

f0133814_1958860.jpg 話には聞いていたけれど、古い農家を改築した本当に素敵な家。
 暖炉やアンティーク家具、ゴミ捨て場から拾ってきて修復した食器棚(アンティーク)が、モダンなバスルームやキッチンと調和していて、二人のアイディア溢れた空間だった。
 我々もラグーザ郊外の農家を改築して住むのが夢。将来のいいお手本として隅々を観察。

 そして見つけた!ルカ・ガッロの哲学的世界。日本刀の美
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 圧巻。刀だらけだ。日本で購入して郵送したそうだが、こんなにたくさん。刀を3段に並べるこういうものは、いったいどこで売られているのだろう。不思議でたまらない。刀を入れる袋も美しい。

f0133814_23194361.jpgf0133814_23203274.jpg 彼は漆好きでもあるので、こんな家紋入りの殿様の肘掛?まで。右は日本で彼が作ってきた脇指(わきざし)。刃の具合を真剣に見つめる。

 最上階のバスルームには、1600年代の衣装道具入れがあって驚いた(歌舞伎だと鬘入[かづらいれ])。ニューヨークの古美術商から買ったと言っていた。

f0133814_23212677.jpg さらにこんなものが。ボビンレースかと思ったら、組紐を編む道具だそうな。日本で購入後、ばらして郵送し、再び組み立てて編んでいるという。アナタハ、ナニジンデスカ?f0133814_0211255.jpg
 写真右はルカ・ガッロ作、刀の鞘(さや)。金粉入り漆仕上、鍔(つば)もあり、柄(つか)には菱糸巻が。どうやって作るのか、全く想像不可能。

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 そう言えば、時代劇で侍が正座して刀にテルテル坊主のようなものでポンポンポン・・・とやっているのがある。あれは何?と聞くなり、ああ、打粉(うちこ)だね。待っててすぐ持ってくるから!
 打粉、丁子油、目付のセット、桐箱入り。一寸法師の打出の小槌のようなものは、刀を柄から外す時に目をコンコンと叩くのに使うもの。生まれて初めて見たな、こんなもの。しかもヴァレーゼで。
 打粉をはたいた後、刀の光り具合を鋭い目で見つめるルカ・ガッロが印象的だった。

 日本刀には太刀脇差短刀の種類があるそう。太刀は弓なりに反り、刃を下向きに持つのに対し、刀はより直線的で刃を上にして腰に指すらしい。そして鉄の鍛練の仕方で、刀の表面には様々な刃文(はもん)が浮かびあがる。

f0133814_1562760.jpg ルカ・ガッロ作の脇指にもそれが見えた。ダヴィデが思わず指でそっとなぞってみると、ダメだよ触ったら!するとダヴィデはますます調子に乗って、イヒヒと刃を触って遊ぼうとする。おい、何するんだよ!!と真剣なルカ・ガッロ。
 脇指を取り上げ正しい持ち方を示す彼と、意地悪して嬉しそうなダヴィデ。そんなやり取りをちゃかすルカとコッラードとロレーナ。ワインを飲みながら、ヴァレーゼ料理を堪能し、日本刀の美に触れ、朝方までワイワイ騒いだ。
 久しぶりだったな、こういうの。


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 刀に魅せられる理由を聞くと、静かに語り出したルカ・ガッロ。7歳の時、誰に教えられる訳でもなく、古い釘を金槌で叩いて刀を作った。子供の頃から刃物が部屋にないと眠れなかった。
 精神の奥底から出てきた答えに感銘を受けた。刃物は彼になくてはならないものなのだろう。だからキッチンもこんなに和包丁が。
 彼の前世は日本刀の砥師かな・・・。

同窓会っていいな・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-23 02:32 | イタリア他の町 | Comments(8)

瓜二つ

 旅報告の途中、ちょっと一息・・・。
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 左はバジリコ、右もバジリコ。見た目は違うのだけれど、匂いは同じ。嗅覚的瓜二つ
 実は、右はマジョラムかと思ったのだけれど。だから勘違的瓜二つ

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 ふと横を見ると、こっちも瓜二つ。花屋のおじさんが、左がセーダノ(セロリ)で右がプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)だと教えてくれた。ルカはセロリを取ろうとして、まんまと引っ掛かるところだった。早とちり的瓜二つ


 大ぶりの苺の苗に心魅かれたのだけれど、これを置いたらハトが食べに来ますかねぇ、とおじさんに聞いたら、ははは、もちろんと笑って答えたのでやめマシタ。ハトに媚はマセン!

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 後ろを見ると、まだ3月なのに紫陽花が並んでいた。6月生まれなので私の花!イタリア語では確かor---で始まる名前だったけれど、おぉーー、オルトペディーアortopedia??みたいな名前で・・・。
 家に帰って辞書で調べたら、それは整形外科学・整形術だった。正しくはオルテンシアortensiaうる覚え的瓜二つ

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 今、瓜時(売り時)のダリアとガーベラに似た花。そしてカーラーも!
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 結局、正統派バジリコとセロリに似たイタリアンパセリ、ブルーのヒヤシンスを2つと、白いカーラーを買った。

 すっかり春めいてきて、テラスに太陽が降り注ぐようになり、カルデッリーノ(家族)もチンチャレッラも度々遊びに来る。どさくさ紛れにハトもドシンと舞い降りては我々に叱られたり。
 テラスを荒らしに来たら、瓜飛ばしますか・・・。

 瓜いっぱい・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-22 02:29 | 自然 | Comments(4)

古代エジプトの生活道具

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 時間に追われて急ぎ足で展示品を見ていたとき、意識の中にすっと入ってきた絵。
 黒いパレオを腰に巻いたセミヌードの踊り子が、体をしなやかに反らしている。豊かな黒髪は地面に垂れ、耳には大きな金のイヤリングが光る。じっと見ていると笛の音と太鼓のリズムが聴こえてきそうな臨場感に満ちた瞬間。妖艶な踊りは何に捧げられたのだろう。

f0133814_21115334.jpgf0133814_21121465.jpg 当時はパピルスが高価だったため、陶器や石灰石の破片で代用し、契約書、領収書、手紙、物語、絵などを書いたのだそうだ。
 それらはostrakaと呼ばれ、例えばこれは書類。
左:牛の売買証明書 「牧夫TjaoはAmenemipetからベッド1、上質のショール1、シーツ1、チュニック1の45デーベン相当を牛との交換で買った」(紀元前1186-1070)
右:4つの断片から成る手紙 宛先人は「神の父」で「儀式官」であるAmenhotepと書かれているらしい。(紀元前1183-1152年頃)

 やはり文字を書くということは、何かを伝え、記録を残すために行われるのだ。それを読み解きながら、新たな考察と発見に身を置くのは考古学も音楽学も同じだなと、ぼんやり考えていた。
 もしこの欠片に文字がなかったら・・・。17世紀の五線譜があってもそこに音符が記されていなかったら・・・。何らかのメッセージが刻まれているからこそ、それは、その時代を生きた一人の人間の証としての深い意味を持つわけで・・・。
 書く、記す、という行為はなんと尊いのだろう。

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 古代エジプト人の筆記具はこういうものだった。まるで硯と墨、毛筆のような雰囲気。石を刻むより、顔料を溶かして筆記する方がはるかに簡単だっただろう。作業が容易になれば、書く意欲も機会も増し、それに伴い文字も発達するのではないだろうか。ほんの少しの発案で、果てしない世界が広がるのだな、きっと。

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 こちらは彫刻刀。陶器に模様を刻むのに使ったのだろう。表面に書かれた文字は、切れすぎるから要注意!だったりして。
 小学時代に使った「ロダン彫刻刀」というのを思い出して懐かしくなった(指を切った思い出も)。

f0133814_2123836.jpg うわ!見た瞬間ちょっと鳥肌が。
 この鬘は本物の髪で作られていて、冒頭のダンサーと同じ髪型。近付いてみると、太くて硬質の、波打つ毛で、生命力の強さをひしひしと感じた。

 その横には埋葬品のトイレ用衛生用品。小瓶には塗り薬が入れられている。当時、薬は大変貴重だったので、直射日光やハエから守るためにアラバスターや陶器に入れたのだそう。化粧箱に見えたけれど、意外なものでびっくり!

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 そしてやっと出会えた楽器!に穴を開けた笛で、太さも長さも多種ある。吹口は上部なので縦笛だろう。どんな音がするのか、特に箸ほどの細さの笛が気になる。展示品の多さの割には楽器がこれだけというのが残念だったけれど。

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 そしてなんと、古代エジプト時代のパン!虫食いの穴が無数にあるが、3500年以上前のパンがカビずに残っているとは信じ難い。まさにパンのミイラ
 左下はパンかご。今でも使えそうなほどきれい。右下は当時の穀類、他にニンニクもあった。お墓は臭くなかったのかな(ニンニクちょっと苦手・・・)。

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 さらに靴まで。アンクル・ブーツのようなものはとても小さく、皮で模様が施され、つま先が上向きになっていた。女性用だろうか。野菜の繊維で美しく編まれたサンダルは女の子の墓から出土したそう。夭折した子供への想いは、時を越えて我々にも伝わってくるよう。

 こうして2時間、膨大な展示品を見て、感じたことはまだ整理できていないけれど、いろいろなものが心に残り、新たな風を受けてきた。知らない世界を知るのって素敵だな。

 トリーノ・レポートはこれで終わり。さて、次に向かったのは・・・。

パンのミイラ・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-21 02:14 | イタリア他の町 | Comments(8)

旅立ち ―エジプト博物館の葬送の美―

 トリーノのエジプト博物館Museo Egizio di Torino
 エジプトのカイロ博物館に次ぐ規模を誇り、3万点を超える所蔵品が展示されている。2時間あっても足りない膨大な展示品の中で私を捉えたのが葬儀品生活道具だった。

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 棺の全面に記されたおびただしい文字と絵。一部は解読され、死者の地位を示していることが分かっている。それ以外は、いったい何を伝えたかったのだろう。仏教の経文のような一心不乱の筆致を見ていると、意を汲んであげたくなる。

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 これは紀元前2100年頃イニIniという男の棺。発掘時の通りに部屋が再現されている。
 棺の表面には彼がノマルカ王Nomarcaの友で聖職監督官であったことが記されている。棺に描かれた目は、中から外を見るためのもので、亡骸の目と同じ高さに施されている。周りにはあの世で使う皿、茶碗、穀物袋、木で作った穀物とその保存庫船員を乗せた船(あの世へ亡骸を運ぶ)、手前には故人イニの像が置かれている。亡骸が腐敗した時には、代わってこの像があの世へと旅をするのだそうだ。
 深い思いやりと手厚い葬送。人は死んで消えるのではなく、新たに別の世に旅立ち、生きていくと信じていたのだ。

 
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 当時の墓の周りは、こんな小さな像が守っていた。各自の任務をしっかり果たして・・・。穀物を潰す人(左上)、パンをこねる二人の女性(左下)に胸がキュンとなった。

 展示フロアが変わり、ここは明るい色が弾けていた。が、ミイラが5、6体はあっただろうか。とてもカメラで撮ることはできなかった。見ているのも辛いほど。小学生のグループの中で、男の子が真っ青な顔をして床に倒れる現場も目にした。子供に何の説明もなくこういうものを見せるのはどうだろうか、と思ったのだが。

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 ミイラを包んだマスクや棺。この鮮やかさに目を奪われる。女性の体の描き方が美しい。

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 ほとんど変色していないのではないだろうか。色遣いと縦横のリズムが大胆。

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 そして棺の足元の外側部分には、牛に運ばれるミイラが描かれていることに気付いた。実際にこのように運ばれたのか、象徴的な意味なのか説明がなかったのだが、牛の角の間に聖輪(せいりん)ができているのが興味深い。

 黄泉の国へ旅立つ魂を葬送する品々を見ていて、Partenza「旅立ち」と題された17世紀イタリアのカンタータを思い出していた。生前の偉業や人となりを、時に神話の神々になぞらえて讃え、亡き人があの世へ出発するために歌われるものだ。
 あの「旅立ち」というタイトルの真意に、前よりも少し近付けたような気がする。

ミイラ怖い・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-03-20 05:56 | イタリア他の町 | Comments(10)


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