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野鳥の巣作り

 アマツバメrondoneの飛び方は何とも優雅だ。空の高いところをフラフラ浮いているかと思うと急降下し、目の前を瞬く間に通り過ぎていく。バルコニーが突き出た細い路地でも、あの周波数の高そうな鳴き声とともに風ように消えていく。
f0133814_7333829.jpg 昨日の夕方のことである。我が家の軒下にアマツバメが巣を作っているのを夫が見つけた。
 テラスの角で、干された洗濯物の影から見ていると、一羽のオオツバメが数分おきに飛び立っては戻ってきて、体ごと壁にこすりつけながら瓦の下で必死に何かをしていた。
 その飛来のスピードのあまり、一旦壁に体当たりしているように見え、何か痛々しく切なかった。


f0133814_8313755.jpg シチリア独特のテラコッタの瓦は、壁と屋根の間に半円の隙間ができるため、その安全な空間を求めて春になるとアマツバメやクロウタドリmerloが次々と巣作りにやってくる。
 前に住んでいた家でもクロウタドリが草や虫を口に加えて巣に戻る姿を楽しく観察した。ある時は加えてきた草が長すぎて巣に入らず、ぶっきら棒に突き刺さっていたこともある。
 だが微笑ましいことばかりではない。道を歩くと巣から落ちた雛の死骸や、まだ息のある雛のもがきを毎日のように目にすることになる。今年、我が家で生まれるアマツバメの雛たちは元気に巣立つだろうか。


f0133814_829996.jpg イタリア鳥類保護協会LIPUでは、巣から転落した雛に対する処置を細かく指示している。
 まず、ツバメの長い羽が傷つかない広さのダンボールを用意し、側面が高ければ通気の穴を開け、雛を入れて発見場所近くの高い所に置く。雛が巣から落ちても、親鳥は餌を与え続けるため、元の巣の近くで保護し、何も世話せず見守ることが重要なのだそうだ。雛が人間を親とを勘違い(インプリンティングimprinting)しないようにである。それでも親鳥が来ない場合、また雨に濡れて雛が凍えているときは、ダンボールのまま保護し、ミミズやミンチを与える。決してパンと牛乳を与えてはいけない。


 ツバメの営巣は家庭繁栄の象徴として古今東西、吉兆とされている。
 巣作りと糞による野鳥公害が問題になってはいるが、多少の汚れはあっても、あの優美な飛来でラグーザの建物に色を添えて欲しい。
 「来たれツバメよ VENITE RONDINI」と美しい装飾文字が施されたローマのパラッツォの、建築家の気持ちが今は分かる。

イタリア鳥類保護協会 LIPUサイト
写真上:空飛ぶアマツバメたち 中:クロウタドリ 下:クロウタドリの群れ

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by hyblaheraia | 2007-03-29 09:47 | 野鳥・昆虫・動物 | Comments(5)

2007国連水の日 world water day -acqua e vita- 

 何か祭りだろうか。新市街の中心、リベルタ広場(Piazza Liberta`)付近を歩いていると、白いテント、はしゃぐ子供達、大道芸人、アフリカの民族衣装の若者、長いはしごを空高く押し上げた消防車が目に留まった。

f0133814_763459.jpg 楽しげな雰囲気に誘われて入ってみると、そこは
「2007世界水の日 -水と生活- 2007 World water day -acqua e vita-」
と銘打つイベント会場だった。
 各テントではラグーザの水源と自然環境のパネル展示、地元企業による水圧機やソーラーパネルなどの製品紹介が行われていた。そこでふと我々の目を引いたのが、「水道事業民営化に対する反対署名」のテント。


f0133814_823798.jpg イタリアの水道事業に対して、政界では最近、民営化の動きが高まっている。
 思い起こせば数週間前、パレルモでこの新案に対する大きなデモがあり、シチリア中の市長たちがその先頭に立って民営化反対を訴えていた。
 「水は全市民のもの」というスローガンの下、既に民営化されたヴィテルボ市とラティーノ市(共にラツィオ州)でのサービス低下と料金増加を例に、シチリアではこうした事業がマフィアの介入を招く危険性を説くものだった。


f0133814_9212021.jpg 確かに、ラグーザには町外れの小さな集落や、コントラーダcontradaと呼ばれる馬車一台ほどの幅の田舎道がまだ存在する。
 このような所で災害により水道工事が必要になった時、民間会社は自社の利益や損失を顧みず、迅速かつ十分なサービスを提供するのだろうか。水、電気、電話、ガスは生活上不可欠であり、基本的人権と同様に市民一人一人に保障されねばならない。いかなる場所であろうと、たった一人の住人の要請であろうと、である。
 また、水道事業民営化に伴う入札の問題も、どこまで透明に行われるのか我々市民は傍観するしかないだろう。マフィアとの繋がりが囁かれるシチリア州知事の下では、彼らの資金リサイクルに利用され、その活動の温床にならないとも限らない。一ラグーザ市民として民営化反対に我々は署名した。


 前国連事務総長のコフィー・アナンは、世界で5億人が適切な衛生設備を利用できていない状況を述べ、将来は水資源のための暴力的紛争も起こり得るというメッセージを残している。
 このイベントに無邪気に参加していた子供たちが将来この問題に目覚め、ラグーザの豊かな自然と潤沢な水資源を守るよう、そして太古の歴史の息づくこの町で平和な暮らしを受け伝えていくよう、心から望んだ朝だった。
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by hyblaheraia | 2007-03-25 09:13 | 政治・社会 | Comments(1)

サン・ジュゼッペ祭り

 3月11日~19日の間、ラグーザ新市街のサン・サルヴァトーレ教会広場周辺でサン・ジュゼッペの祭りが行われた(サン・ジュゼッペは聖母マリアの夫でイエスの父)。この期間は、特別ミサの他に、聖人の人形を模った山車と信者の列が祈りを捧げながら教区を練り歩く、という行事がある。イタリア語ではprocessioneと言い、宗教行列とでも訳せようか。

 市内各教会にはそれぞれ守護聖人がいて、その聖人の祝日とその前一週間は教区をあげての祭りになる。ミサ、宗教行列の他に、地元の物産展、そして花火という4点セットが一般的である。このサン・ジュゼッペ祭りでは物産展としてリコッタチーズ祭りが行われ、近所のおばさん曰く大きな鍋で沸々と煮える出来立てリコッタを祝いに駆けつけた人々に振舞うとのこと。そうと聞けばお祝いに馳せ参じないわけには行くまい、と意気込みつつ、なぜかタイミングが合わないのがこのサン・ジュゼッペ祭り。

f0133814_859444.jpg ところが意外な形で私の思いは聖人に届いたようだった。まず、最近引っ越したばかりの我が家の西窓から、祭りの花火がつい目と鼻の先の距離で臨場感たっぷりで楽しめた。これから秋まで続く祭りのシーズンを感じながら、どんな一年になるのか期待が膨らんだ。そして翌日、夫が「サン・ジュゼッペ祭りで祝福を受けたパン」を親友リタのお母さんからいただいてきた。白い紙袋をあけると、ラグーザの典型的な家庭パンが、優しい微笑みを称えてほっこりとそこに。見ている自分が祝福される気分になる。そして翌々日、思いつきで作ってみたカンノーリ(リコッタを使ったシチリア菓子)が、我ながら拍手喝采の出来だった。
f0133814_929993.jpg 一口目に崩れ砕ける皮の部分と、そこから溶け出てくるリコッタの白い甘さ、そしてそれに浸る至福の一時。これは祭りでリコッタに肖れなかった私への、聖人からの慈悲か。


 我々菓子好き夫婦はカンノーリを有難く完食。だが「祝福を受けたパン」は鏡餅のように大切にしまっている。
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by hyblaheraia | 2007-03-22 10:04 | 祭り | Comments(4)

ラグーザ(ラグーサ)に関するサイト立ち上げ

Hybla Heraia ヒブラ・ヘライア -シチリア、ラグーザ(ラグーサ)の歴史と文化、生活-
http://hybla.jakou.com/

イタリア語のカタカナ表記は難しい。Ragusaはラグーなのか、ラグーなのか。
現地人の発音を聞いても、ザとサの中間のようで何とも決められない。
辞書類では、監修者が一定の規則を決め、それに則って表記している。
つまりは自分なりの規則を決め、それを最後まで貫くことが大事なのである。
ならば私はラグーザと表記する。その理由は「ラグーサ」と書いたものを我々日本人が読む時より、「ラグーザ」と書いたものを読む時の方がイタリア人の発音により近くなるからである。
それに、母音直後の子音Sは濁るのが一般的だからである。
我がサイトはザでもサでもヒットするのだろうか。

上記サイトはラグーザの見所や重要な文化について、正しい情報を現地から提供する目的で作成中。

このページ最上部のタイトルをクリックすると、トップページに行きます。
あるいはこちらから →このブログのトップへ

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by hyblaheraia | 2007-03-17 10:23 | 政治・社会 | Comments(0)

久しぶりの晴天

 ラグーザでは先週からずっと雨、それも大雨、嵐のようなひどい天気が続いていた。今日は久しぶりに青空が広がり、野生つぐみとゴシキヒワたちが朝から喉を競うように歌っている。

f0133814_939331.jpg シチリアが生命の息吹に溢れていることを実感する春。イブレオ高原を走り抜けるカターニアからラグーザへの長距離バスに乗ると、一斉に萌え出でる野生の草花が、息つく暇もないほど次々に視界に飛び込んできて、「花畑」とはこのことか、と思う。

f0133814_9401378.jpg 何色の花があるのだろうか。一度、山中奥深くで途中下車し、あの花々の一つ一つを観察してみたいが、車を持っていない我々は、何処へ行くにも公共の乗り物に頼るしかなく、シチリアをのんびりドライブなどというのは夢のまた夢。


 それにしても、あのカターニア~ラグーザ間のバスから見える景色にはいつも心を洗われる思いがする。人生最期の時に何がしたいかと聞かれれば、夫と一緒にあの景色を見ながらシチリア菓子を食べたいと答えるだろう。
やはり、花より団子なのか。
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by hyblaheraia | 2007-03-15 03:28 | 自然 | Comments(0)

考古学博物館

 前からずっと行きたかった考古学博物館に、今朝ようやく行ってきた。ラグーザ新市街の中心部にあるこの博物館は、想像以上に素晴らしい展示数だった。しかも午前中の入館者は、我々2人のみ。貸切の館内で人を気にせず、古代の遺物と心行くまでじっくり対峙。何を見ても鳥肌が立った。この感動は今も。執筆中のラグーザの本に必ず入れたい。

 ちなみに、今朝はイタリア版グリーンカードとも言える、カルタ・ディ・ソッジョルノという永住型滞在許可の諸手続きのうちの一つをすべく、裁判所で「無犯罪証明」と「無起訴証明」のようなものを申請してきた。ミラノやローマだと何時間も待たされて申請し、受け取りは1週間~10日後と聞くが、さすがここはラグーザ、大いなる田舎なので、「月曜日のお昼頃できてますから」とあっさり。ちょっと拍子抜けした。でも早々に手続きが済み気分も軽く、「ムゼーオ・アルケオロージコに行こうよ!と夫に提案、即意見が一致し、足取り軽く向かったのだった。
 早起きは三文の得なり。
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by hyblaheraia | 2007-03-11 02:33 | 生活 | Comments(2)

ブログ慌てて開設

 先日、NHKの『世界ふれいあい街歩き』という番組に、我々の住むラグーザが取材された。
1月半ばにNHKから基礎情報を求める電話があり、私の愛して止まないラグーザの表情を伝えた。町の観光スポットの他に、お爺さんたちのサークル、行商のおじさんたち、お祭りと聖人のお神輿、夏の海、シチリア菓子、レース、陶器など、初めての電話で長々と50分も地元自慢をしている自分がいた。

 その後、撮影されたビデオを日本語に翻訳する仕事を引き受けた。しかし、シチリア弁は日本で言うと沖縄弁のような難解さだ。さらにラグーザ弁となると地元民しか分からない言葉や発音が多く、わずか数秒の会話に30分以上かかることもしばしばだった。テープ起こしに心身ともに消耗の毎日。気分転換に外に出ても、聞こえてくるのはラグーザ弁、弁、弁。撮影テープの続きを見ているようで何のリフレッシュ効果もなし。

f0133814_672025.jpg ということで、3月20日のオンエアを前に、ラグーザに関するブログを慌てて開設してみたものの、何年もこういう世界から離れていたので四苦八苦。
 10年前、まだネットやメールがそんなに普及していなかった頃に、早々と自分の研究テーマのHPを立ち上げたものだったが。ブログなんてちょろい、と思っていたのが大間違い。
これが既に3社目のブログ登録になりマス。

 ともかく、皆さん、我々の愛して止まないラグーザをぜひご覧ください。

『世界ふれあい街歩き』BSハイビジョン
3月20日(火) 午後7時00分~7時44分
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/

再放送 毎週金曜 午前9時~9時44分
セレクション 毎週日曜 午後0時~0時44分
総合 : 毎週木曜 午前0時~0時44分 (水曜深夜)
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by hyblaheraia | 2007-03-10 03:41 | 政治・社会 | Comments(0)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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