カテゴリ:生活( 114 )

居場所としての

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 2か月の東京滞在から戻って来ると、シチリアにはまだ夏を思わせる太陽が照り付けていて、


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空にはただ、ただ青が色濃く塗られていた。この何もなさにほっとし、ゆったりとした人々の時間と仕事の感覚に安堵する。


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 はからずも、週末は慣れ親しんだ教区教会の、ロザリアの聖母祭りと重なっていた。ドラムの音に思わず家族3人、家から飛び出し、プロチェッシオーネ(キリスト教の宗教行列)の列に連なる。まるでその教区の昔からの住人のように。


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 悲哀とコミカルさが混じり合った、不思議な魅力のシチリアのブラスバンドに心をくすぐられるのは毎年のこと。

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ああ、この音、静かな熱気、喜ばしい空気、そして久しぶりに会う友人たち。長い東京滞在から戻ってきて、こんなふうに思うとは思わなかった。自分たちの居場所としてのシチリアを。


追伸:長い間、更新していませんでしたが、時々見に来てくださった皆さん、ありがとうございました。またブログを再開しますので、楽しくお話できたらと思います!


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by hyblaheraia | 2016-10-16 20:32 | 生活 | Comments(8)

空の見えるキッチン

 復活祭の長い休みの間に思いつき、のんびりと時間をかけて作った「空の見えるキッチン」。最初から設計図やイメージがあった訳ではなく、作りながらひらめき、改良し、またアイディアが湧くという、自由かつ流動的な方法で、最近形になったばかり。

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 材料は段ボールやお菓子の箱、包装紙など。カッターや鋏を使う作業は私が一任、デザインの詳細は優柔不断な母に代わってリディアの一言で決まったもの多し。例えば、オーヴンの取っ手は黄色かオレンジにしようとしたら、No, no, ブルーがいいの!と。後ろの壁に貼り付ける包装紙で迷っていたら、たくさんの色にして!と希望。こうしてブルーを基調にした、タイル風の仕上がりになり、さらに、


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オーヴンの使い方も指示。リディアがコレクションしている牛乳のふたをオーヴン下段にポイポイ投げ込み、これは火なの!と。グリル部分にするつもりだったけれど、火がパチパチ音を立てるのもいいものだ。 

 そして窓。キッチンから見える景色を考えていたら、ラグーザの空はあまりに魅力的で一つに絞れず、いろいろな空に取り換えられる窓にしてみたくなった。リディアと一緒に空の絵を描き、


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天気の良い日は、いつも見ている向こうの丘とその上を流れる青い空を。


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夕方には赤く染まる西の空を。


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突然の悪天候に見舞われたときは、激しく叩き付ける雨を。


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でもリディアは雨があまり好きではない。雨とにらめっこしながら、料理に勤しむ。



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さかな雲が泳ぐ穏やかな昼間の空や、水の中の生物 Fifilaglis(フィフィラーグリス、リディア命名)が訪ねてくる日もあったり。


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そして長い一日が終わり、寝る時間には、月夜の空にお休みなさい。



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 山の町ラグーザの、刻々と変わる空模様を肌で感じながら、野菜を洗ったり、切ったり、食事に招待してくれたり。普段のおままごとにこれまでとは違う時間と、空気と、風がふわりと入って来た。



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 立体的な空間と時間を認識することで、自分のスペースの概念もまた生まれたよう。外から帰ってきて手を洗いましょう、と言うと、ルカを連れて手を洗いに行ったり、ルーコラを洗うのを手伝って、と言うと、ちょっと待ってて!とルーコラをわしづかみにして洗って来るなど、リディアの生活の場の一部となりつつある。



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 最近は、星の輝く夜空を描こうと言っている。季節が変われば、また違う空と景色を描きたくなるだろう。もう少し大きくなったら、私が手伝わなくても、新しく見つけた空を一人で描くのではないかな。実家のある東京やナポリの空も。

 キッチンの窓と空は、リディアの目と心そのものなのかもしれない。新たに加わる空の絵とともに成長を見守るルカと私の目も心も、そこに注がれている。




追伸:リディアに「フリーゴ(冷蔵庫)は?」と問われる毎日。最後の写真のドラえもんが乗っている箱が冷蔵庫になる予定。




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by hyblaheraia | 2016-05-09 19:02 | 生活 | Comments(8)

幼稚園からの指令いろいろ

 噂には聞いていたけれど、イタリアの幼稚園は日本とは大分システムが違う。このところ、毎週のように先生から指令があり、それも突然で情報もアバウトだから、事情の良く分からない外国人母としては困ること多し。
 あっ、リディアのマンマ~!言うのを忘れていたけれど・・・、と呼び止められるたびに、ドキッ!今度はなんですか?

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 9月登園早々に、早口でペラペラッと言われたのは、水、トイレットペーパー、ハンドソープ、ペーパータオルの持参令。イタリアの幼稚園の多くは予算不足のため、園内の消耗品等は、親が購入して収めることになっているとは時々聞いてた。
 あ、でも水は何本ですか?他のものもいくつ要るんでしょうか、先生~!!追いかける私。目を丸くして当然のように、1パックよ。はい、了解しました!
 さっそく翌日に持参すると、クラス中で一番乗り。でもペーパータオルは業務用の巨大なものが必要だったそう。正確に言ってくれないと分かりません、先生~。

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 ある朝、教室の入り口に張り紙があり、持ってくるもの5つ:太いカラーペン、色鉛筆、スティックのり、紙製の書類入れゴムバンド付き、教科書代10ユーロ。ペンの種類が良く分からないのでカメラで張り紙をカシャッ。
 こういう特殊なペンは近所にはないので、お母さんたちはどこで手に入るか聞いていた。●●で見たわよ~と先生。翌日、タクシーに乗って郊外のその店まで行ったけれど、ない。もう一度タクシーを呼び、町一番の文房具店へ行き、ようやく揃えた。

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 カメラの画像を見せなければ、店員さんも分からなかった太巻き色鉛筆。メーカーだけでなく、商品名も明記して下さい、先生。あと、これを売っている店は、C店とベビー用品店Cですよ~。
 先生の情報もけっこうアバウトなので要注意。

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 さて10月に入り、来週の月曜日から給食です、と突如言われて幼稚園は大混乱!各家庭の収入に合わせて給食費が決定されるので、市の担当課で手続きをするのだけれど、役所仕事は遅く、給食が始まる子もいれば、お弁当持参の子もいて、我が子は今日食べられるのか分からない親もいる始末。先生も大わらわ。あの子は給食、この子はお弁当…マンマミーア!もうカオスよ!と愚痴っていた。
 我が家は初日だけお弁当。パニーノを持ってきてくださいと言われても、まだ2歳児にパニーノ?食べさせたことがないので、具材は別に、パンとグリッシーニを小さく小さく。前日にパニーノの練習をした甲斐あって、残さず食べて帰って来た。あのきゅうり、蜂蜜でもついていたの?お上品にそろり、そろりと3時間もかけて食べていたわよ~!という先生からの報告がおかしかった。給食はちゃんと食べるのかな。
 とにもかくにも、こうして給食はカオスとともに唐突に始まり、そして翌日、また指令が!
 リディアのマンマ~、言い忘れたけれど、スモックも用意してねー!はい先生!

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 と返事は良いものの、どこで売っているのか良く分からず。記憶を頼りに、前に店先で見た洋服屋さんに行き、2枚購入。しかもリディアのお昼寝中に行ったので、サイズが合わず、取り換えに行く羽目に。知っていれば文房具を買いに大型スーパーに行ったときに買ったのに。
 幼稚園ではこの通り、先生からの指示がばらばらなので、着ている子もいれば、いない子も。こういうことは早めに掲示板に書き出してください、先生~。ついでに売っているお店のリストなども…。


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 そして先週のこと。先生たちのおしゃべりから聞き取っていた通り、フリッテッレ(揚げ菓子)祭り開催の掲示。上階の小学生に売り、そのお金を幼稚園の活動資金に充てるのが目的だそう。

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 先生の話を小耳にはさんだ日、もう何年も作っていないので練習しなきゃ!と意気込んで、じゃんじゃん揚げた。中身はレーズンとフィノッキエット(フェンエルシード)のラグーザの伝統的な作り方で。日本人の母でも作れるところを見せようと頑張ったのだけれど…。
 今朝、先生から正式な指令。明日はフリッテッレを買ってきてね!
 手作りではなく、「買ったもの」らしい(多分、衛生上の問題で)。も~、ちゃんと書いてくださいよー先生!!

 この通り、幼稚園から次々と下される指令に翻弄される私。一昨日は、明日の10時半から保護者会議があるので来てね、異文化について話しあうから!と口頭で召集。そして、あるミッションを仰せつかった。ああ、いったいどうやって…。頭を抱えているこの難題の指令とは…。

 つづく


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by hyblaheraia | 2015-11-05 21:02 | 生活 | Comments(6)

新生活スタート -待ちに待った幼稚園-

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 家族、親戚、同じ年頃の友達がいないラグーザで、図書館も児童館もなく、単調な生活を母娘二人で何とかしのいできたこの2年9ヶ月(その頃の悩みはこちら →)。スクオーラ(学校)に行きたい!、と学校ごっこをしていたリディアも晴れて幼稚園生に。
 まだ少し大きめのリュックサックを背負って登園する背中の頼もしいこと!


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 幼稚園の親子説明会は、9月初頭で学校が始まっていなかったので、兄姉も一緒、もちろん小さな赤ちゃんも一緒でカオス状態。そしてこのときから既に大泣きする子続出。


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 最初の1週間は、慣らし保育のようなもので1時間のみ。教室に入ってもくもくと遊ぶリディアを見た先生が、大丈夫だから行ってください、と即座に我々を追い出す。1時間後に迎えに来るからね、トイレに行きたくなったら先生に言いなさいね、とリディアに別れを告げ、泣き叫ぶ我が子でお母さんたちがうろたえる教室を、後ろ髪を引かれる思いで出て来た。
・・・のだけれど、心配すぎて、教室の窓の真下で待機する私とルカ。


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 子供たちの声が別の教室から聴こえてくると、今度はそちらの窓の下に移動してソワソワと。今の泣き声、リディアかな?!といちいち反応する我々。トリナークリアさん(3つ足のシチリアの紋章)も飽きれ顔。
 そんな我々の前を、目を真っ赤にした子供たちがお母さんと手をつないで帰宅していく。そのお母さんたちの情報が何よりの安心材料だった。お宅のお嬢さんは全く心配ありませんよ。バンビーナ(女の子)は落ち着いて遊んでいましたよ、と教えてくれて。


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 幼稚園のクラスでは、キッチンのおもちゃコーナーでおままごとをしたり、バンビーニ~!お昼を食べに来て~!と皆に呼びかけたり、男の子とミニカーを取り合って泣かせたり(本人は結構反省していた)、お人形を独り占めしたり、と時に問題行動もあるようだけれど概ね楽しくやっているよう。先生たちもリディアの全く動じない様子に驚いているようで、保育園に行っていたんですか?と何度か聞かれた。
 それだけ幼稚園に恋い焦がれ、行きたくて行きたくて仕方がなかった、ということかな。


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 幼稚園第2週目は咽頭炎にかかり、丸1週間お休み。ブランクがあるので、おやつ持参の3時間保育に耐えられるか心配したけれど、全く問題なし。
 お休み中に既にクラスメイトは選んだ一人ひとりの「お印」をリディアも自分で選んだそう。迎えに行ったら、ロッカーとコート掛けにこのマークが付いていた。本を積み上げ、ふむふむと読んでいる黄色ちゃん。これを選んだことが、なんだか母としてはとても嬉しかった。


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 このところ迎えに行くたびに、ミニカー大好き男児4,5人を侍らせて(?! 私が来たことをリディアに伝える伝令係君一名あり)家に帰りたくな~い!と叫ぶほど、幼稚園が楽しくて仕方がないみたい。親としてこんなに嬉しいことはなし。
 これから3年間、多国籍のクラスでたくさんの友達といろいろなことを学び、大らかに育っていって欲しい。新たな環境に果敢に向かっていく小さな背中を見ながら、私も臆せず新たなことに挑戦せねばと思う毎日。子から学ぶこと多し。



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by hyblaheraia | 2015-09-29 22:09 | 生活 | Comments(4)

不運続きの3か月

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 一ヶ月半の東京滞在を終え、シチリアに戻る日のナポリの夕日は、溢れんばかりのエネルギーを放出し、雲と空に濃いシルエットを描いていた。
 こういう妖しい魅力を放つ空は、要注意である。私と空の関係において、このタイプの空に出くわすと、思いもよらない、喜ばしくないことが起きるという経験があるから(特に2010年の始まりのこの空 こちら→)。
 嫌な予感通り、9月に入って我が家でちょっとした騒ぎが起こっている。いや、起こっていた、と過去形にしたいところなのだけれど。


 1つ目の事件。
 ラグーザに帰宅して1週間が過ぎ、両親の金婚式の日にスカイプをしていた時のこと。横にいたリディアが突然、両腕を勢いよく広げ、その左手が私の右目に激突!その瞬間、鈍い痛みを感じた。でもコンタクトレンズは破損していなかったし、ルカに目が腫れていないか聞いても大丈夫だと言うので、そのまま過ごしていた。15分ほどして、痛みが気になったので鏡を見てみると、白目の部分が真っ赤な血に染まっている!
 慌てて救急病院に飛び込むも、信じられないことに眼科がなく(ないなら明記して欲しい)、旧市街イブラの病院へ移動するよう指示される(以前は救急車で搬送していたが今はなし)。さらに移動先の病院では、唯一の眼科医が手術中で1時間待ち。急患なのに、怪我から2時間経ってようやく診察となる。
 結局、目の毛細血管が切れただけで、10日ほどで自然治癒するので大したことではないと、目薬を処方され、ものの5分で診察終了。ルカが看護婦さんに主張しなければ、再診を待つ30人ほどの患者の一番最後にされていたし、とっても腑に落ちない救急診療だった。
 現在、怪我から14日目。血の海状態だった目は大分良くなったけれど、新調した赤い眼鏡と相まって、ギロギロした目つきで幼稚園の送り迎えをする日々。



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 2つめの事件。
 先週の土曜日、夜寝ていたリディアが突然、何かを痛がって咳込み、むせて、涎をだらだら垂らしながら泣き叫び始めた。聞くと、寝るときに鼻をこすって安心する羊のモコモコ毛布を食べてしまったと!懐中電灯で口の中を除いても何も見えないので、即、救急へ!1週間前に私の目の怪我で行ったあの救急病院へ…(そこしかないので)。
 ファイバースコープで喉の異物を取り除ものと当然思っていたが、残念ながらそれはここにはありません、と大男ドクターたちがニコリともせずリディアの口を開こうとし、本人は身体が震えるほど大泣き。
 困り果てたドクターの一人が、イブラの病院の小児病棟へ行ってください、あちらの方が専門だから、と。またしても先週と同様、旧市街イブラの病院へ移動。

 かわいい絵が描かれたあ病棟、優しい看護婦さん、チャーミングな女医さんに迎えられ、ようやく落ち着いて診察となる。結局こちらにもファイバースコープはなかったけれど、喉に異物はなさそうだし、パンや茹でたジャガイモなどを食べさせれば大丈夫でしょうとのことだった。喉が赤く、少しぷつぷつが見られるのは手足口病の残り、という所見には疑問が残り(重症だった私の喉には何も残っていない)…。
 そして翌日、突然、39.4度の発熱!もう病院に行っても仕方がないし(行きたくないし)、喉の腫れから来る発熱だと経験的に分かったので、解熱剤で様子を見て、翌朝かかりつけの小児科に連れて行くことに。
 結局、faringite 咽頭炎という診断で、幼稚園は数日お休み、お散歩も禁止され、今日で5日欠席中。寝かしつける時に、ピノッキオのお話して、とせがむのだけれど、ひどい鼻詰まりのためピドッキオ(ノミ、シラミ)と聞こえて、身震いする毎日。

 それにしても、ペコレッラ(羊ちゃん)を食べちゃったの~、と言うものだから我々は慌ててしまったけれど、本人は喉が痛くて異物感があったから、羊の毛布を食べてしまったと勘違いしたみたい。幼児の発言から真意を汲むのは難しい…。



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 こうして、母娘ともに車にひかれそうになった7月(こちら→)、家族3人、手足口病に苦しんだ8月、そして私の目の怪我とリディアの誤飲騒ぎ+咽頭炎の9月、と3か月連続いろいろ起きている我が家。さらに付け加えるならば、ルカの携帯がなくなり、25年近く愛用していた私の腕時計も紛失(おそらくリディアの仕業)。
 ナポリの義母は、どれも解決できる問題ばかりで大事には至っていないということが大事、と励ましてくれるので、そう考えるようにしている。

 さあ、連続する不運よ、いい加減に終わりにしておくれ!このブログが事件報告ブログにならないよう。切に願っておりますぞ!


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by hyblaheraia | 2015-09-25 09:07 | 生活 | Comments(4)

危うく…

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 「全ての角に悪魔が潜んでいる」という言い方がイタリアにはある。10年以上歩き慣れた道で、このようなことが起こったのは悪魔の悪戯だったのか。否、大事に至らなかったのは天使が守ってくれたからなのか。

 昨日の朝11時頃、リディアを連れて散歩に出ようとしたときのこと。家を出てすぐの十字路で工事があり、砂やら石切の粉が風とともに大量に飛んでいたので、リディアに目を閉じさせ、抱っこして十字路を渡るつもりだった。普段通り、歩道の終わりで車を確認しようと、立ち止まったはずのその時、突如、ガサっと歩道から落ち(段差がかなりある)、リディアを抱き抱えたまま道路に倒れ込んでしまった。そしてその瞬間、白い車が猛スピードで私たちの前に走り込んできた。なんでこんな所に車が!、ああ、もうだめだ…!そう、はっきりと頭で感じた。車の後部座席のドアが顔にくっつくほどの近さだった。

 結局、私の軽い捻挫で済んだけれど、もし転んだ衝撃でリディアが腕から離れていたら…、抱っこする角度がほんの少し違ったら…、私があと数センチ前に転んでいたら…、と考ると恐ろしくて体がわなわなと震えた。そして3人で昼ご飯を食べながら、この時間がなかったのかもしれないと考えると、この変わらぬ時間の連続があることを心から有難く思い、私とリディアのいないルカの生活などあってはならないと心が引き締まった。こどもの命を預かる親の責任の重さを痛感しながら。

 工事現場の男性が言っていた。母親が子供を抱いたまま車に巻き込まれた、と見ていた誰もが思ったのだと。そんなことにならなくて本当に良かった。

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 イタリアには「落馬したらすぐその馬に乗るべし」という言い方があるそうで、午後涼しくなってから、家族3人で現場検証と助けてくれた人々へのお礼に出かけた。転んだ場所は、古い石畳にV字の亀裂があり、道路には大きな穴がいくつもあった。おそらく左足が歩道の石畳の亀裂にはまり、つま先から道路に落ち、穴にはまってバランスを崩し、リディアを抱っこしている右側にバランスを崩して倒れたのだろう。左足の欠けた爪とズボンの汚れからみて、そうだろうと推測する。

 考えれば考えるほど、無事であったことが奇跡に思えてくる。もしかすると、去年亡くなった祖母二人が、角に潜んでいた悪魔を追い払い、私たちを守ってくれたのかな…と思っていたところ、今日の電話で母が言っていた。少し早いけれどお盆の用意をして仏様をお迎えしているのよ、と。
 
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 暑いシチリアまで来てくれた100歳の二人の天使。今頃はきっと、お母様、やれやれでしたね~。ほんと、そうでしたね、お母様(そう呼び合っていた大正女性)と言いながら、ラグーザの美しい景色を仲良く眺めていることだろう。夕方の空を仰ぎながら、カリフラワーのような真っ白な頭の天使が飛ぶ姿を想像している。



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by hyblaheraia | 2015-07-11 11:00 | 生活 | Comments(8)

Humpty Dumpty狂 その1

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 お城の塀に登り、そこから落ちて割れてしまった卵、ハンプティ・ダンプティのお話。子供のころ持っていた英語の童謡の大型絵本には、地面で割れて苦しい顔をしたハンプティが描かれていて、それが痛々しくて嫌いだった。なぜこんなひどい話を歌にするのだろう、と子供ながらに思っていた。

 ところが、リディアはこの歌が大好き。もう好きどころではなく、ハンプティ・ダンプティ狂とも言えるほどの熱狂ぶり。思えば、最初に覚えた英語の歌はHumpty Dumtyだったし、Youtubeにあるハンプティ・ダンプティの動画はほとんど見尽くしてしまった(動画のアイコンでどの歌か分かるくらい)。部屋で遊ぶときはソファーから滑り落ちながら、みてみて!Io sono Hympty!(私はハンプティー!)とすっかりなりきっているし、朝起き抜けの第一声は大抵 Voglio vedere Humpty Dumpty ! (ハンプティ・ダンプティが観たい!)。寝言でもハンプティ~~~!と叫ぶことしばしば。こんな具合だから、我々もリディアを喜ばせようと、卵の殻にも顔を書いたり、細工をしたり。時にはフルーツにまで。

 と、いろいろ頑張ってきたのだけれども、全く収まる気配のないこのハンプティ熱に、もはや卵だけでは応えきれず、ついにあるものを作ることに!

 その2へ つづく…

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by hyblaheraia | 2015-06-16 21:35 | 生活 | Comments(2)

長かった道のり

 長かった道のりを思い出す。ここに至るまで11年。覚えているだけで5回は申請し、その都度、悔しさや苛立ち、怒りと悲しみのドラマがあり、ようやく無期限型の滞在許可証を取得。これでもう一生、移民局に並ばなくても良いのかと思うと、嬉しいというよりは妙に感慨深くなる。

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 18世紀に7年かけて完成したラグーザのポンテ・ヴェッキオもまた、建設に際してきっといろいろなドラマがあったことだろう、と想いを馳せながら、いつになく晴れやかな気持ちでこの橋を渡っている。

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 滞在許可証、permesso di soggiorno、これを得るために、イタリア在住の外国人にはみなそれぞれの苦労話があると思う。私もこの件では随分泣かされてきた。移民局とは縁が悪いとしか言いようがないことばかり。
 まずは申請のたびに一旦はナポリに行き、市役所で結婚証明書を取得し(ナポリで結婚したので)、住民登録に必要な住居証明のために引越しもしたし(前の大家さんが借家証明を税務署に出してくれなかったから)、出生地の証明にアメリカにも書類を申請したこともあった。

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 移民局での指紋採取のために毎回4時間は並んだし(2007年の最悪の日の記事は こちら→)、滞在許可証の受け渡し日に行ってみると、さんざん並ばされた挙句、まだ出来ていなかったということも。最後の指紋採取の時は、私のファイルが行方不明で1週間後また来るように言われ、再度行ってみると、そんな話は聞いていない、と想像通りの展開に。
 そもそも11年前の最初の滞在許可証に、誤って出生地TOKYOと記載された時から、魔の悪循環が始まっていた(出生地訂正のために奮闘した時の記事は こちら→)。
 
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 今手にしている許可証は、申請から取得まで1年2か月もかかった。有効期限が切れてしまった許可証のままドイツ経由で日本に一時帰国したときは、空港警察に止められ、日本に行きたいのなら行けばよいが、帰りはヨーロッパに入れないから覚悟しておくように!という脅しのような言葉を受けた。そんなはずはない!と日本のドイツ大使館とフランクフルト空港警察に問い合わせし(電話とメール両方)、イタリアに戻るときはリディアと二人だけだったので、全てのメールのやり取りをプリントアウトし、自分の立場を理路整然と説明できるよう、機内でもぶつぶつ練習。
 案の定、入国審査で厳しく質問されたけれど、練習の甲斐あって、渋い顔をした警官が入国スタンプを押してくれた。イタリアは手続きが遅すぎる!と言いながら。

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 ああ、思い出すと本当にいろいろなことがあったな。でもこれでやっと晴々した気持ちで暮らしていかれる(ような気がする)。

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 イタリアに住む外国人シニョーラとして、どんな人生を送っていくのかな。きっとまだまだ、山あり谷ありだろうけれど、家族3人で力を合わせて乗り越えていこう。


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by hyblaheraia | 2015-06-02 01:39 | 生活 | Comments(10)

カビ一掃!

 今年の冬は本当に雨が多く、2月に至っては一か月間ほぼ毎日降り続け、心も体も洗濯物もジメジメ。そしてもちろん家も湿気をたっぷりと含み、壁から天井にカビが例年以上に発生!タンスの中のしばらく着ていない服までもカビる始末。冬に湿度の高いラグーザではよくあることだけれど、今年は町中がカビに悩まされているそう。
 空気が乾く季節と職人さんの仕事の空きを待ち、ようやく塗装作業開始。
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 朝8時から、続々と運びこまれる仕事道具。職人さんが二人、二日間で作業をしてくれることに。
 メインバスルーム、寝室、リディアのプレイルーム(本来は客間)は漆喰をはがし、二度塗りする作業を。さらに予定になかった書斎とキッチン、玄関のカビも薬品でふき取ってもらった。

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 ドアを通り抜けできない幅のベビーベッドは、解体せずに、ダブルベッドの上にボンッ!と乗せてビニールでぐるぐる巻き。大胆な準備にびっくり!

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でも塗料で汚れないように、なんでもカバーを付けてくれたので安心。仕事は早く、思ったよりも丁寧。

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 一方リディアは、自分のベッドがなくなり、遊び場も奪われ、不安な様子。ぴーぴー泣いたり、部屋の一角に山積みにまとめたおもちゃを次々に出して来たり。

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そんな不安行動真っ最中のリディアを連れて、夜はいつものネッロさんのB&Bで一泊。去年と一昨年は虫騒ぎだったし、毎年何らかの理由でここに避難しているような…。

 ああ、でも二日間でカビは一掃!別の家にいるような真っ白な壁と天井に、みな大満足!さあ今日はプレイルームを元に戻して、リディアのご機嫌を取り戻さないと。


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by hyblaheraia | 2015-05-20 17:56 | 生活 | Comments(4)

疾走する時間と妙なる音

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 春の光を受けて一斉に咲き乱れる路傍の黄色。手を伸ばせばすぐ届く距離にあるのに、疾走する車からその姿形は見えず、色彩だけが視界に溢れ、慌ただしくこぼれていく。見ようとすればするほど、焦燥感と色の飽和に追い立てられるかのように。

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 対照的に、ほんの少し離れたところを伴走する石垣からは、なんという安堵感とゆったりとしたリズムの連なりを感じることか。春の風を浴びながら聴くのは、

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一つ一つの石が繰り出す小刻みな音と、その連続が作り出す自由なうねりと流れ。必死に追わずとも 見ているだけで何かを語りかけてくる。

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 途方もない忍耐と時間を費やして積まれてきたムーロ・ア・セッコ muro a secco (乾いた壁の意、セメント類を使わず、石をノミで刻み整え積んでいくラグーザ県の伝統技術)。この石垣の周囲で、いったいどれだけの草花が色付き、枯れていったことだろう。

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 けれども季節が巡りに巡り、百年以上の時が過ぎた今も、石垣の姿と役目は変わっていない。やや朽ちることはあっても、匠の腕とそれが生み出す安定した構造美、そういったものが、普遍なるもの、揺るぎないものを思い起こさせるのはそのためだろう。

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 疾走する時間の中で、日常の音しか拾っていなかった耳に、ムーロ・ア・セッコから聴こえてきた普遍の、妙なる音。それは日常の雑事とほんの隣り合わせのところにある。


:::   :::   :::

追伸:この力強く美しいムーロ・ア・セッコから聴こえてきた音楽については、できれば久しぶりの動画を作ってみようかと思っていますが、リディア中心に疾走する日々の時間の中で、どこまでできますか・・・。パソコンを新しくしたせいで、ソフトもいろいろ足りないし・・・。
 ああ、でも作りたい!今、身体の底から波打っている音楽があるこの喜びを、春のラグーザの絵とともに形にしたいのです。
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by hyblaheraia | 2015-03-28 10:38 | 生活 | Comments(4)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

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2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


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