カテゴリ:政治・社会( 35 )

難民とシチリア

 シチリアに暮らし始めてから、「難民」という言葉がいつも心のどこかに刺さっているような感覚がある。暖かくなると、難民を乗せた漁船の転覆事故が相次いで報道されるようになり、ちくりちくりとその感覚がぶり返してくる。

 今年の4月半ば、北アフリカのリビアからイタリアに向けて発った漁船事故で、700人以上の犠牲者が出たときは、あまりの数字に一瞬目を疑った。一説では900人とも言われており、そのうち女性は約200人、子供も40~50人いたという。世界中で(日本でも)報道されたほど衝撃的な難民船の事故だった。

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(写真:Repubblica電子版より)


 生きて到達できない可能性の方が高いこの決死の逃避へ、彼らを奮い立たせるものは何なのか。何から逃れるために、これほどの人が命を危険にさらすのか。子供や妊婦さえも海を越えようとする背景には何があるのか。難民船の報道を聞くたびに、なぜそこまで…と考えさせられていた。
 ネットや新聞で情報を求めれば、恐怖政治、内戦、迫害から逃れて…、という理由を知り得ることができたけれど、平和な生活を送っている身には、そこに記されている言葉以上の理解はできないままだった。

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『海にはワニがいる』ファビオ・ジェーダ著 飯田亮介翻訳

 けれどもこの本を通して、この問題に以前よりも少しは近づいたように感じている。
 これはタリバンによって父を殺されたアフガニスタンの10歳の少年が母によって隣国パキスタンへ連れ出され、そこから8年をかけてイラン、トルコ、ギリシアを経てイタリアに到達し、平和に暮らせるようになるまでを綴ったもの。
 この実録を通して、生き延びるために国から逃げざるを得ない(そうすることを余儀なくされる)人々がいるということ、そして過酷な労働と死と隣り合わせの幾つもの危険を経て、時折、どう考えても奇跡か幸運としか言いようのない偶然に助けられ、ようやく安全な地にたどり着くという、おそらく何万とも言える難民がそれぞれ体験してきたであろう、長く辛いオデュッセイアの内実を知った。

 さらに全編を通じて痛いほど感じたのは、少年の「学びたい」「学校へ行きたい」という純粋な、ぶれることのない意志。何の伝手もない外国に置き去りにされた少年が大人の言いつけを固く守り、人々の恩に感謝しつつ実に誠実に働き、どんな小さなチャンスをも逃さず、我々にとっては普通の生活を求め、ただひた走る姿が心に焼き付く。そして読み終えたときに、以前に広場で出会った、アフリカ出身のマリックという青年のことを思い出していた。
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 彼はアフリカ童話のイタリア語翻訳を数十冊片手に抱え、子連れ家族ににこやかに話しかけながら、絵本を売っていた。会話がウィットに富んで、とても流暢なイタリア語を話す青年だった。聞くと、パレルモ大学で政治学を専攻したとのこと。「皆がとても助けてくれた Mi hanno aiutato tanto」と何度も言っていたのを思い出す。彼もまた、エナヤット少年のように学びたいという強い意志を持っていて、その熱意に周囲の人々が動かされたのだろうと想像する。

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画像:wikipediaより

 北アフリカ(主にリビアとチュニジア)を発つ難民船は、ヨーロッパの入口であるシチリアを目指して漂流してくるが、途中の海峡で命を落とす人が後を絶たない。ラグーザに暮らすアフリカ難民の多くもここを経由してきたに違いないし、中東からの難民も、先のエナヤット少年のような過酷な体験を経てラグーザに辿り着いたのだろう。
 彼らの背景を慮り、ともにここシチリアで生きていく自分の人生に考え重ねていくにはどうすべきなのか。シチリアに暮らして11年、いまだに答えが出ないのだけれども、難民のニュースを聞き流さずに、知るということだけは続けていきたいと思う。将来のリディアの同級生を理解するためにも。



追記:先の本は世界28ヶ国語に翻訳され、イタリアではストレーガ賞(最高峰の文学賞)候補にも上がったそうです。内容の濃さだけでなく、翻訳が素晴らしかった!エナヤット少年のインタビュー動画もYoutubeに数々あり、彼の聡明さと誠実な人柄がにじみ出ていて、ああなるほど、と思いました。

ずっと書きたかった記事なのですが、なかなか冷静になれず、まとまりのないものに…。


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by hyblaheraia | 2015-06-10 01:59 | 政治・社会 | Comments(8)

シチリアにも風を -イタリア地方選挙-

f0133814_11345140.jpg 朝一番にパソコンを開くと、輝かしい眺めが目に飛び込んできた。それはイタリア地方選挙結果発表を伝えるレプッブリカ紙のトップページ。

 B首相の出身地であるミラノを始め、ナポリ、カリアリ、トリエステ、リミニ、グロッセート、ノヴァラ等で与党と中道右派の候補者が敗退。既に投票を終え、新市長が決まった。いよいよ、イタリアにも良い風が吹き始める!と心高鳴る数秒後、画面右に見えたのは、ラグーザの開票途中結果。

 B首相と同政党に属する現市長が優勢、71の選挙区のうち68区が開票済み。あと3区で逆転は可能なのか。

 市長が変わらなければ、結局、大学もこのまま。私達もこのまま。シチリアは何も変われない。本土から遠いと風も届かないのだろうか。
 民主化運動で頑張っている北アフリカから、強烈なシロッコが吹くといいのだけれど。

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by hyblaheraia | 2011-05-31 11:45 | 政治・社会 | Comments(2)

情報の帰属 -ランペドゥーサの問題を通して-

 昨年末から始まったチュニジアの民主化運動のニュースを観ながら、これはシチリアが大変なことになるだろうと思っていた。予想通り、2月に入ると3000人の難民がボートでシチリア南部のランペドゥーサ島に押し寄せ、イタリアのレプッブリカ紙ではトップニュースとしてこれを扱い始めた。

f0133814_1181417.jpg (左地図はwikipedia「ランペドゥーサ島」より部分転載)

 ランペドゥーサ島は、左の地図中に黒で囲まれた場所に位置している。アフリカから最も近いヨーロッパであるこの小さな島には、例年、何千もの難民がボートで漂着しており、既にパンク状態の難民保護施設を巡り、今後どれだけ難民が到着するのか、それに耐え得るだけの人道支援が可能なのか、島の治安はどうなるのか、先が見えない中での緊張と不安が高まっている。

 この件について、先週このブログにもちょっとした影響があった。以前にランペドゥーサについて書いた記事が、某大手ニュースサイトに(知らぬ間に)リンクされていて、その日は一日3100人という驚きのアクセスを記録したのである。宝くじの記事をアップした翌朝だったので、皆様の関心の高さの表れかと思いつつも、異常な数字に気味悪さを感じ、アクセス解析をした次第。
 どのような方法であれ、シチリアの深刻な難民問題について、日本の方々に広く知っていただけたことは良かったと思っている。読み返してみると多少熱くなり過ぎの文体が気になるものの、現地住人が抱いている切迫した感覚が伝われば、私的ブログとしてはそれで良いと思っている。しかし、だからこそ、こういう主旨で書かれた記事を大手サイトが海外ニュースの外部ソースとして使うことに違和感を感じてしまう。私の記事でいいんですか?とつい言ってしまいたくなる。情報入手が容易なネット社会では、個々の情報の質と帰属 attribution に対する意識が薄れているのではないかと危惧してもいる。

 チュニジア以後、エジプトが民主化を成立させ、現在はリビアが非常事態に陥っている。北アフリカからランペドゥーサ島への難民増大はもはや歯止めの効かない状況である。
 「ランペドゥーサ」と検索をかけても、ヴィスコンティの映画《山猫》の原作者、G. P. ランペドゥーサしかヒットしないネット環境だからこそ、シチリアに住む同じ外国人として、アフリカからの難民について感じることを、ブログという自由な情報発信ツールを通して、私の言葉でこれからも綴っていけたらと思う。

リンクされた記事はこちら 「ランペドゥーサ -難民の怒り-」


リンクフリーと明記していますが、個々の記事をリンクして下さる場合は、ご一報いただけると助かります。
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by hyblaheraia | 2011-02-25 12:14 | 政治・社会 | Comments(4)

大学の前で

 信じられない事件に、昨夜は嫌悪と疲れでやるせない気持ちを抱えながら眠りに着いた。

 昨日の午後、カターニア大学本校前のダンテ広場で、ピストルの流れ弾が通行中の女子学生に当たり、重傷を負わせるという事件が起きた。市内の防犯カメラや目撃証言で犯人は間もなく逮捕。被害者の学生、銃の標的になった男性も現在、病院で集中治療を受けている。犯人の自白から、事件原因は個人的な恨みであることが分かり、当初報道されたマフィア抗争の可能性は、先ほど訂正された。

 重傷の女子学生と面識はないが、我々の勤務する学部の一人。彼女の出身地ソルティーノから来る学生もいる。学生たちの動揺や不安はいかほどだろうか。

 これがシチリア、今のシチリアなのだと思うと実にやるせない。
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by hyblaheraia | 2010-07-02 17:46 | 政治・社会 | Comments(4)

罪と平安 -国葬に寄せて-

言い足りなかったことを書き足しました。

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 メッシーナの大規模土砂災害で命を落とした人々のために、10月10日(土)は国葬が行われた。日本のメディアではほとんど取り上げられていないこの災害は、シチリアの現状を象徴するものだったと私は感じている。

 翌日行われたエッチェ・オーモ教会の「ロザリオの聖母の祭り」では、例年になくミサが広場で行われていた。拡声器から聞こえるラグーザ弁のなかで、我々の罪と平和への祈りを語る言葉が印象的に響いた。

「peccato罪」と「pace平安」。
 繰り返される言葉を聞きながら、自然にミサ曲のテキストが連想された。そしてJ.S. バッハの《ロ短調ミサ曲》BWV 232の、アルトの嘆願的なアリアと、生命力に溢れる最終合唱を思い出していた。

Agnus Dei  世の罪を除き給う
qui tollis peccata mundi,  天主の子羊
miserere nobis.  われらを憐れみ給え


Dona nobis pacem.  われらに平安を与え給え


雑感:
 遠い日本の、安全で豊かな生活とは何の関係もない、シチリアの不条理な問題の数々を伝えて何になるだろう。 -きっと何にもならない- けれど、その問題を知った日に、それ以外に伝えることがあるだろうか。ジャーナリストではない自分が、感じたままに、感じた方法で伝えるしかないだろう。
 と最近は思うのであります。

:::::: :::::: ::::::

 2009年4月に起きたラクイラの大地震の時は、日本にも大きく報道された。ラクイラは予知できぬ自然災害だったけれど、メッシーナの場合は2年前の土砂崩れ以来、何らかの予防対策が可能だったはずである。住民から声が上がり続けていたにも関わらず、工事を行わなかった行政の責任に対して、人災という言葉さえ浮かんでくる。避難勧告もなく、夜中に土砂に飲まれて多くの命が奪われたことをどう考えるべきか。
 ベルルスコーニ首相の失言(オバマ夫人も日焼けしている、と述べた)を報じるスペースがあるのなら、メッシーナの大規模土砂災害について、何かしら述べて欲しかった。失言について世界が騒ぎたてることは、結局、彼の思う壺なのだから。
 政治の表舞台に立つ人物を追うのは当然だが、彼の力の及ばぬ所で苦しんでいる人々こそ、今の政治の真の姿を伝えているのではないだろうか。
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by hyblaheraia | 2009-10-13 07:16 | 政治・社会 | Comments(10)

メッシーナで土砂災害

 「停電するかもしれないので今日はネットを切ります」と昨夜、右メニューの掲示板に書いた時、ここラグーザも激しい雷と雨に見舞われていた。夜中3時まで寝床で書き物をしている間も、その勢いは一向に衰えず、今朝、シチリア北部での大規模な土砂崩れのニュースが入ってきた。
 メッシーナ市から10キロ程の町、ジャンピリエーリでは死者18名、行方不明者35人以上、道路や鉄道は土砂に寸断され、アパートなどが倒壊し、1000人の住民のうち400人が家を失った。

 この地域は2007年にも洪水被害があったという。シラクーザ出身のプレスティジャーコモ環境大臣は、「惨事は回避できたはずだ」と述べ、政府の援助金が効果的に使用されていないことを指摘した上で、「今年は16,000,000ユーロをシチリアに導入する予定である」と発表した。
 果たしてこの援助金は、使われるべきところで正しく使われるのだろうか。

 現政府は莫大な国家予算の下に、シチリア(メッシーナ)とイタリア本土を結ぶ橋の建設を計画している。が正直なところ、この橋はシチリア住民の大半には利用機会もメリットも少ないだろう。我々には本土との連絡など、生活の最優先事項ではないからだ。我々が求めるのは安全な住環境、処理能力のある排水設備、安心な水道網、都市ガスと鉄道の整備、そして通常に機能する病院施設と救急体制である。
 これほど至って普通のことがここシチリアには欠けている。同じイタリアだのに。

 
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by hyblaheraia | 2009-10-03 06:21 | 政治・社会 | Comments(10)

100歳の女性科学者

 5年前、その女性を初めてテレビで観た時、普通の人ではない物凄いオーラを感じた。古色蒼然としたドレス姿には、重い歴史が覆い被さっているような異様な空気があり、白髪と皺深い皮膚、細い腕と手、その話し方には、身体の隅々まで刻み込まれた強烈な知性を感じた。
 この人どなた?失礼ながら思わずルカに聞いた。

f0133814_563361.jpg リタ・レヴィ=モンタルチーニ Rita Levi-Montalcini。1986年、神経成長因子および上皮細胞成長因子の発見の功績により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した科学者。

 1909年4月22日、双子の姉妹としてトリノのユダヤ人家庭に生まれ、今日100歳の誕生日を迎える。双子のパオラ・レヴィ=モンタルチーニは画家として活躍した。


f0133814_581595.jpgf0133814_57874.jpg ムッソリーニ政権下では、人種迫害政策により研究活動の場を失うが、自宅に粗末な研究質を作り活動を続けた。戦後はアメリカに招聘され重要な研究成果を生み出し、ノーベル賞受賞に至る。

 2003年にはイタリアの終身上院議員Senatore a vitaに任命され、現在も国会審議に参加している。
 
 分野は違っても、理科系研究の紆余曲折から様々なヒントを得ることがある。彼女の場合は、人生そのものからも学ぶことが多い。
(写真はWikipediaより)


f0133814_572972.jpgf0133814_574836.jpg 活動の幅は研究と政治だけではなく、1992年にはリタ・レヴィ=モンタルチーニ財団Fondazione Rita Levi-Montalciniを設立し、主にアフリカの貧困問題と女性のための教育に力を入れている。

 先日、マルタとイタリアの政治的問題により、海上で4日も救助を待ち続けたアフリカ難民船の問題が起きた直後だけに、アフリカの貧困問題に取り組むその姿勢に、とても100歳とは思えない精神力を感じている。
(写真は同財団より)



 ところで、2008年のイタリア総選挙の時、彼女に関するあるニュースが走った(写真はその日のレプッブリカ紙)。

f0133814_5141430.jpg 99歳で歩行困難の彼女を投票会場に連れて行った付添い人は、長蛇の列を見て先に通してもらえないかと人々に尋ねた。ところが、
 「他の人と一緒に列に並びなさい」、「だめです、私だって急いでいるんですから」、「順を譲る理由がない」、と口々に拒否の答えが返ってきたという。

 騒ぎを聞いた投票所の責任者が、「よろしければ私たちが先にお通ししましょうか」と尋ねたものの、「他の人と同じように列に並ぶ方が良いです。」と答え、差し出された椅子も断り、「本当に結構ですから。立っている方がいいのです。」と、毅然とした態度で30分並んだという。

 身体の不自由な人、怪我人、病人、子供、妊婦、老人に思いやりを持てない社会に対して、多くの人が何とも言えないやるせなさを感じただろう。
 しかしつい数か月前、その時のことをテレビで質問された彼女は、当たり前のこと、何も気にしていないとさっぱり言い切った。その清々しい態度に、インタビュアーがタジタジだったのが面白かった。


 リタ・レヴィ=モンタルチーニのことを知れば知るほど、もっと知りたくなる。
 彼女の研究スケッチをこちらのサイトで見つけ、ふむふむと。

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 左(彼女):NGF(神経成長因子)の効果説明のために描いた図。
 右(私):17世紀イタリア・カンタータにおけるレチタティーヴォとアリアの変化と均質性の概念図(論文『音楽学』より)。
 
 お絵描しながら考えているモヤモヤしたことを表現するのは同じかな。
 将来のノーベル音楽学賞の受賞目指して、頑張ろう!
 (現在、この分野にはありませんけれど・・・) 
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by hyblaheraia | 2009-04-22 07:03 | 政治・社会 | Comments(11)

存在しない被災者

情報源のリンクを加えました


 アブルッツォ州の地震について、もう何も書かないつもりでいたのだが、どうしても一つだけ疑問を呈しておきたいことがある。

 地震発生の日、現地に親類がいない私としては、まず心配したのは外国人のことだった。言葉が通じない人々は、救助を求め、水と食料を得て、テントに入ることはできているのだろうか。
 毎日、朝から晩まで現地の映像が流れているのに、なぜか外国人の被災者についての情報は何も伝わってこない(避難したイスラエルの留学生を除いて)。これだけ移民・難民が多いイタリアで、一人も地震の被害に遭っていないということはないだろう。
 
 これについて、いくつかのサイトで得た情報は恐ろしいものだった。ラクイラ市内中心部では建物の地下と半地下のおよそ90%がアフリカ人に賃貸されていたが、その建物は崩れ、百人近くの消息が不明となっているという。市の戸籍に登録されていない彼らは、書類上は存在していなかったため、犠牲者数にも入っていない。また、地下を貸していた大家もまた、正式な賃貸契約を交わしていなかったため、彼らの存在を届け出ることはしていない。
 
 彼らはなぜラクイラに不法に滞在し、何の仕事をしていたのだろうか。
 誰も知らない、誰も探さない外国人の被害者のことを、私はここに留めておきたかった。


 この情報は、地元の市民保護機関(Protezione Civile)の男性にフリージャーナリストがインタヴューした内容に基づいています。その動画は、同ジャーナリストのサイトByoBluで観られます。


*この記事について、コメント欄は開けておきますが、お答えできるか分かりません。
 地震のニュースで疲れ気味です。でもみなさんのご意見はお聞きしたいです。我がままでスミマセン。
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by hyblaheraia | 2009-04-12 08:22 | 政治・社会 | Comments(8)

空の翼

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 西の空から東の空を覆う、見たこともないほど長い翼が伸びている。その雄大な羽ばたきの周りをアマツバメたちが伴走し、ただ高く高く、月へと舞うような日暮れだった。
 空の翼が、傷ついた魂を天へ誘っているのだろう。


::: ::: :::

 アブルッツォ州の大地震で傷ついた魂へ。
 ヨハネス・オケゲム(Johannes Ockeghem, ca.1410-1497)のレクイエムを、空の翼とともに捧げます。



Requiem æternam dona eis, Domine,  主よ、永遠の安息を彼らにお与えください
et lux perpetua luceat eis.  そして絶えざる光を彼らに照らしてください
Te decet hymnus, Deus, in Sion, 神よ、シオンでは賛歌が捧げられ
et tibi reddetur votum in Jerusalem.  エルサレムでは誓いが果たされるでしょう
Exaudi orationem meam,  主よ、我らの祈りをお聞きください
ad te omnis caro veniet.  死すべき者はみな主にかえるでしょう(詩編65:2-3)
Requiem æternam dona eis, Domine,  主よ、永遠の安息を彼らにお与えください
et lux perpetua luceat eis.  そして絶えざる光を彼らに照らしてください



 この地震について最後に一言:
 ・学校、大学の学生寮、病院などの公的機関が壊滅的な被害を受けたことについて。
 自治体からの十分な予算があったにも関わらず、手抜き工事が行われていたと論じられている。公的予算が公正かつ透明に使われることを望む。

 ・地震を予知した研究者が事情聴取され、サイトを閉鎖されたことについて。
 政治によって学問・研究が弾圧されるようなことがあってはならない。地震が予知できるか否かではなく、学問のあり方に目を向けて欲しい。ガリレオの時代と同じ過ちを繰り返さぬよう。
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by hyblaheraia | 2009-04-10 16:44 | 政治・社会 | Comments(19)

声を聞く

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 地震の報道を見ていると、伝えるべきことと、伝えなくて良いことの違いを感じる。言葉にならない感情の塊が噴き出すかのように嗚咽し、身体を震わせる被災者をアップで撮り続けることに何の意味があるのだろう。
 そっとしておく、ということはできないのだろうか。イタリアの報道は事件が起きると、被害者の自宅のインターフォンに直接マイクを付けて遺族の声を取る、ということを普通にやっている。
 
 毎晩のように放送される討論番組でも、問題を一つ一つ丁寧に分析し、皆で考える雰囲気に欠け、人の意見を自分の主張でかき消すというテクニックがまかり通っていて、異様な声の大きさに途中で耳が痛くなり、聞き続けられない。情報も混乱しているし、放送時間も限られているから仕方がないのだけれど、付いて行かれない何かがある。

 人の声を聞くのも、人の声を敢えて聞かないのも、全ては人の良識にかかっている。まずはそれで良いのか、自分の声を聞くことが大切なのかもしれない。
 イタリアにとって辛い復活祭となるだろう。
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by hyblaheraia | 2009-04-09 08:29 | 政治・社会 | Comments(29)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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