カテゴリ:音の絵:写真と音楽のコラボ( 16 )

広がる音楽

 ぐずって機嫌の悪いある日、リディアをベビーラックに座らせ、ピアノをいろいろ聴かせてみることに。今まで抱っこしながら片手で聴かせていた曲を、きちんと両手で最初から最後まで弾き通すのはこの日が初めて。一人だけのお客さんのコンサート。

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 J.S.バッハ、ヘンデル、D.スカルラッティの組曲やソナタを弾き初め、大好きなシューマンの小品を聴かせ、他に何か弾ける曲は・・・、ショパンのプレリュードを弾き始めた時、リディアの目の輝きが変わった気がした。
 ショパンが好きなの?半信半疑で続けてマズルカを弾き始めると、やっぱり目の真剣さが違う。そして聴き入っている。弾き終えてパチパチパチ!どう?と聞くと、ウゥー、ウッヴー!もっと弾いて!と言っているように聴こえた。

 赤ちゃんだから旋律と和声が分かり易く明るい曲がいいと思っていた。けれど、実際は短調で、複雑な和声の中にメランコリックな旋律が溶け、壮大な曲想が展開される作品が良かったみたい。なるほど、音楽を「線」ではなく、「広がり」で聴いているのね。
 
 赤ちゃんだからと言って手加減したり、油断してはいけない。私が考えている以上に、いろいろなことを彼女なりの方法で理解、吸収しているのだろうから。

::: ::: :::

久しぶりの「音の絵シリーズ」 第12弾
 このような経緯があり、音楽を「広がり」で聴かせることを意識しています。リディアの手を取り、鍵盤に触れさせながら、普段のお散歩道の春の小花たちと春風に包まれるイメージを音にしてみました。白鍵だけで弾いているので、五音音階風、あるいはドビュッシー風などと称して楽しんでおります。



追伸:途中、カタッという音と人の声がしますが、それはビールグラス片手に目尻を垂らしてリディアのピアノを聴いている父でございます。失礼いたしました。
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by hyblaheraia | 2013-04-20 12:50 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(6)

春の音 -印象派風に小さな手と-

 ずっと強く閉じていた両手から、次第に独立し始めたリディアの指。ピアノに向かうと指がしっかり伸びるので、ついついピアノを弾かせたくなる。
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 生後2週間でピアノで遊ばせた時は、小さなこぶしが鍵盤に当たるのが痛々しくて、抱っこしながら片手で私が弾いて聴かせていた。その後、足が強くなったので、抱っこして足で鍵盤を踏む遊びをさせ、さらにそのうち腕が強くなり、自分からバシバシ鍵盤を触りたがるようになった。そして最近、指が使えるようになり、ようやくピアノを弾く真似ができるように。

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 手を添えて鍵盤にそっと触れさせ、お散歩の時に春のそよ風と、路傍の小さな花々の点と色にふわりと包まれる気分を、印象派風の音楽で表現して遊ぶ毎日。
 ドビュッシーも真っ青だわねー!と喜んでいるのは私だけ?
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動画も作ったのですが、Youtubeのアカウントが知らないうちにGoogleと一体化していて、ログインできなくなりました!パスワードの再取得を試みたけれど、なんだか訳が分からず、新しいアカウントを作ってしまいました。でも今度はアップしたけれど、ブログに貼り付けられない!
浦島太郎状態・・・。


追伸:その後、Youtube動画の貼り付け方が分かりました。プレビュー画面では見えないのですが、投稿するとちゃんと貼れていました。明日、アップします!
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by hyblaheraia | 2013-04-19 17:50 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(19)

一日の終わりの空に捧ぐ

 一日の終わりが西の空の彼方に吸い込まれる時刻に、無音で展開される空と雲の色の劇的な変化。黄色から橙色へ変わり、絹のような輝きを放ったと思うと、今度は赤みを帯びてきて、色の濃さを強めながら夜の空に染まり溶けていく。その時間を憧れと驚嘆と自戒の念を持って何度見送ったことだろう。明日は、太陽が眠りに着く僅かな時間にこの歌を捧げ、刻々と変わる空の色に音を聴いてみようと思う。


ヘンリー・パーセル(1659-1695)作曲
《今や太陽はその光を覆い隠し》 グラウンドに基づく夕べの讃歌 
Now that the sun hath veiled his light (An Evening Hymn on a Ground)

Now that the sun hath veiled his light 今や太陽はその光を覆い隠し
And bid the world goodnight; 世界におやすみを告げている
To the soft bed my body I dispose, 柔らかい寝床へ私は横たわろう
But where shall my soul repose? でも私の魂はどこで休むのだろう
Dear, dear God, even in Thy arms, 親愛なる神よ、あなたの腕の中より他に
And can there be any so sweet security! かくも甘美な安らぎがあるだろうか
Then to thy rest, O my soul! ああわが魂よ、ならば(魂の)安らぎのために
And singing, praise the mercy 歌いつつ、神の慈悲を讃えよ
That prolongs thy days. そうすれば(魂の)安らぎの日々が続いていくだろう

Hallelujah! ハレルヤ


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 大変久しぶりですが、「音の絵」シリーズ第11弾です!
 17世紀イギリスの作曲家、ヘンリー・パーセルの歌を、夕刻のラグーザの空の移り変わりとともにお届けします。夕陽に向かって整列して行われるストウルヌス(ムジホシ・ムクドリ)の夕方の集会、さらに月の遠さと近さがもたらす町並みの表情の変化は、夕刻から夜へと変わるラグーザの空に欠かせない存在です。

 ソファ#ミ、ファ#ミレ、ミレド、レドシ、ドレレ、ソ~と繰り返されるバス(固執低音)の安心感、その上で伸びやかに歌われる旋律の純粋な美しさ。それらが心を穏やかな方向へ連れて行き、焦りや不安で忘れていた「喜びを感じる心」を思い出させてくれるような気がします。
 「癒しの音楽」という言い方は、聴くだけで癒されるという受動的なイメージがあって好きではないけれど、音楽が心を癒すということは、実は、忘れていた何かを感じさせること、なのかもしれないと思わせる作品です。

 日本の地震津波被害、原発の憂慮すべき状況、我が家上空を飛ぶリビアへ向かう空軍機の不気味な音、そして我々の今後一年の行方。それらの不安のせいか、最近は悪夢で夜中に目覚め、首筋の汗に髪の毛がびったりと張り付き、心臓がばくばく鳴っていることがしばしば。
 この歌詞の簡素は、宗教的な意味合いを超えて、日常に感謝し毎日を誠実に生きよというメッセージを万人に伝えているのではないでしょうか。


追伸:歌詞を訳す際に、Thy(大文字)とthy(小文字)を区別しました。thy=古英語で「汝、そなた」を、大文字は神、小文字はmy soul 魂にしています。thyを全て「神」としてしまうと、歌詞のレトリックが読めず、曖昧な感じになってしまうので、この解釈で訳しました。一次史料で大文字、小文字の区別があるかどうか・・・。
 感想などぜひ教えてください。いつもの通りソフトの限界で、音楽と映像のタイミングが合っていない所があるのですが、大目に見てください。次回の作品はもう決まっているので、早く作りたい!
 
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by hyblaheraia | 2011-04-03 07:51 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(8)

青い世界 -ラヴェルとシャガールと-

 去年の4月のこと。

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 突如現れた青い世界。空のあまりの青さに息を飲む。青く、ただただ青く、まるで海の底から水面を見上げているような錯覚に陥る。

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 見渡す限りの青い世界。雲が青を抒情的に歌っている。こんな青に包まれたことがかつてあっただろうか。
「ナハンダーヴ、ああ、美しいナハンドーヴ」
 ラヴェルの旋律が身体に流れ、

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 シャガールの青い馬(ロバ)や、青い鳥や、青い恋人たちを探していた。
 記憶の中の青い世界が鮮やかにうちに、感情たっぷりに残しておこう。


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音の絵シリーズ 第10弾!
モーリス・ラヴェル作曲 歌曲:《マダガスカル島民の歌》より、第一曲「ナハンドーヴ」

 青い世界に聴いたラヴェルの歌曲を溶かし込み、そこに見たシャガールのモティーフを埋め込みました。




 今日は暑くてパソコンが壊れそうなので歌詞は明日入れます。青い夢を見そうです~。
 また音割れしてしまいました。なのに音は小さいですね。おかしいな。
 ご意見やご感想など、ぜひお聞かせください。
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by hyblaheraia | 2010-06-14 07:06 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(21)

記憶に留める

 今年初めてアマツバメがラグーザに姿を現した日の記憶。
 まだ上空高くを飛ぶ小さな黒い点を見つけて心がかすかに振動した感覚があり、寡黙な飛翔を仰ぎながら考えていたことがあり、イブラの谷を見つめながら込み上げてきたものがあり、イブラの谷に伝えたい一つのこともあった。空には渦巻く感情をゆっくりと抱くような色の変化があり、その感情をより深くへ押しやるような色の熱さがあり、心の底には静かに繰り返し鳴っていた音楽があった。
 この日の記憶は、この音楽を聴けば思い出すだろう。
 



音の絵シリーズ 第9回目

 この日の空とアマツバメとイブラの谷を見ながら聴こえていた音楽をまとめてみました。
 ヘンデル作曲 《鍵盤組曲第3番ニ短調HWV428》より第3曲、アルマンド。
 ピアノ:エフゲーニ・コロリオフ

 彼の演奏には、その旋律が持っている本来的な質や性格や歌う心に耳を傾けながら、一つ一つの言葉の形と意味を壊さずに、心を込めて救い出しているような印象があります。旋律のDNAをあぶり出し、それに深く共感しているような姿勢とも言いましょうか。それが彼の心の底から溢れて来る情感と魂となって、我々に伝わってくるのだと思います。
 本当に素晴らしいピアニストです。一度でいいから生演奏を聴いてみたいのですが、ラグーザに来てくれる日はあるのでしょうか…。
 動画のご意見やご感想など、お待ちしています。

追伸:動画の途中、アンテナに留っている黒い鳥が出てきますが、これはアマツバメではなくストゥルヌスです。夕方の集会をしている様子です。
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by hyblaheraia | 2010-05-06 15:21 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(6)

一本道の先に

(奥に小さく見えるのはEcce Homo教会)

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 坂をただ下ればいい。そうすれば光と風が舞う、あの場所があることは分かっている。なのに、下るだけの一本道が、なぜこれほど遠く、切なかったのだろう。

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 春の光に背中を押されるように、今朝はあの場所へと急ぐ。
 不思議と今日は何の躊躇も恐れもない。勢い余って転げ落ちそうな晴れやかな心を抱え、坂道を駆け降りる。早く会いたい。

 一本道が終わると見えてくる、家並みに挟まれた小さな光の壁。それが何であるかは知っているのに、影道を一歩一歩抜ける時の胸の高鳴りは何年経っても変わらない。

 影の向こうで光輝いているのは、



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 春色に染まるイブラだ。
 今日は何もかもが柔らかい。光は肌を暖め、うららかな色は視界を無限にさせ、時折、風が横髪を撫でながら若葉の香りを残していく。こんなものがかつてあっただろうか。

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 ああ、この優しさは何だろう。身体中にみなぎる解放感とともに、心はもはや飛んでいる。
 一本道の坂を下るだけのことだったのだ。

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リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)作曲
《4つの歌》より 第4曲「明日Morgen! 」Op. 27, No.4(1897年、オーケストラ編曲版)




Und morgen wird die Sonne wieder scheinen, そして明日、再び太陽は輝くだろう
und auf dem Wege, den ich gehen werde, 私の歩む光あふれる道の上に
wird uns, die Seligen, sie wieder einen, かつてのように、私たちを再び結びつけるだろう
immitten dieser sonnenatmenden Erde… そして無常の喜びに新たな命を与えるだろう
Und zu dem Strand, dem weiten, wogenblauen, 青く波打つ空の下、広い浜辺に
werden wir still und langsam niedersteigen. 静かにゆっくりと辿りつき私たちは
Stumm werden wir uns in die Augen schauen, 互いの瞳の奥を言葉なく見つめるだろう
und auf uns sinkt des Glückes stummes Schweigen. 恍惚とした終わりのない静寂が降り注いでくるように

(英訳からの訳詞なのでドイツ語とニュアンスが違うかもしれません。)


 皆さまから励ましのコメントをいただき、気持がふっきれてお散歩に行きました。するとこの日のイブラはこれほどの美しさ!私の知る限り最も美しい姿です。
 温かいお言葉の余韻と、イブラに溢れる光と優しさを、R. シュトラウスの歌曲、《明日》の耽美的な音調と重ねて酔いしれています。このままでいたい、ただ言葉もなく見つめていたい、そして明日も・・・、とラグーザへの愛情がR. シュトラウスの繊細で壊れそうな旋律に溶けていき、この美しい瞬間を永遠に閉じ込めておきたくなるのです。
 
 心のこもったお言葉にどれだけ励まされたか分かりません。見守って下さる皆さまへのささやかな恩返しとして、これからもラグーザの美しい景色と、そこから聴こえる音楽をお贈りしたいと思います。


追伸:原曲はピアノ伴奏とソプラノ独唱(1894年)です。こちらの詩情溢れるみずみずしさは、4月の崖の草花とともに、回を改めてお聴かせしたいと思っています。
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by hyblaheraia | 2009-04-06 10:08 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(19)

揺るぎないもの

動画を入れ替えました。


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 テラスで野菜の種蒔きをした後、ふと見上げると大きな赤いハートの雲がエッチェ・オーモ教会からふわりと膨らみ出ていた。そこをアマツバメが超音波のような高い鳴き声とともに横切る様子をしばらくルカと見つめる。
 じわじわと満ち足りてくる感覚があった。1年後が見えない不安定な生活ではあっても、二人が健康でさえあれば何でも乗り越えられるだろう。二人が大事に思うことは曲げずに、信念を貫いていけば後悔はしないだろう。そんな自信がみなぎっていた。
 身体中を巡るあのコラールを口ずさみながら、自信が深く擦り込まれていくような気持になっていた。


J.S.バッハ作曲《マタイ受難曲》BWV 244より
コラール「お前の道を委ねよBefiehl du deine Wege
 この美しいコラール(ドイツ、プロテスタント教会の讃美歌に基づく合唱部分)を、まずはただ聴いてください。



Befiehl du deine Wege  おゆだねせよ、お前の道を、
Und was dein Herze kraenkt  そしてお前の心の患いを、
der allertreusten Pflege  天地を導き給う方の
Des,der den Himmel lenkt.  信実の極みなるはぐくみのみ手に。
Der Wolken,Luft und Winden  雲と空と風に道を示し、
Gebt Wege,Lauf und Bahn,  進路と道筋を示し給う方は、
Der wird auch Wege finden,  お前の足の歩む道をも
Da dein Fuss gehen kann.  お示し下さる。
(P.ゲルハルト作詞コラール"Befiehl du deine Wege"1653の第1節)

歌詞はこちらより転載

 《マタイ受難曲》は、新約聖書の「マタイによる福音書」のうち、イエス・キリストの受難の場面を題材とした作品です。調と和声を変えて5回表れるこのコラールの中で、
 ・この雲を見上げて思うことと重なる3回目のものと、
 ・イエスが拷問を受ける場面で歌われる4回目のもの
をお聴きください。張り詰めた美しさを湛えた4回目の方は、心を真底から揺さぶられます。中学生の時、偶然テレビから聴こえてきたこの旋律に強い衝撃を受けたことを今でも忘れません。終盤のバスのアリアの優しさにはもう・・・。他にも・・・・。


素晴らしい音楽に心救われる日々です 
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by hyblaheraia | 2009-04-01 10:53 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(8)

憧れ -音楽とラグーザへの-

 絹の艶のような声と、熱い憧れに満ちた旋律。
 ルチア・ポップが歌う、モーツァルトのコンサート・アリア、K.294
 「どこから来るのか分からないNon so d'onde viene」。


 憂いた響きの中に、精神の解放と諦念がせめぎ合い、少しずつ確かなものへと向かっていく悦びの瞬間に、このままずっと酔い痴れていよう。
 進むべき音楽的方向性を示してくれる、人生の伴侶でもあるその旋律に、身を委ね、今思うのは、我々の愛するラグーザの日々のささやかな発見と喜び、である。
 空の色や雲の形、風向き、月明かりと雲、丘の緑や土の色、乾いた大地とその照り返し、そして野鳥たちの営みから、溢れんばかりの四季の変化を感じる生活は、もはや我々の身体と脳の一部となっている。
 



Non so d'onde viene  どこから来るのか分からない
Quel tenero affetto   この繊細な愛情が
Quel moto che ignoto 心に生まれてくる
Mi nasce nel petto   この得体の知れぬ衝動が
Quel gel che le vene  血管を流れゆく
Scorrendo mi va.    この冷やかなものが

Nel seno a destarmi  このように激しく対立する感情を
Si' fieri contrasti     私の心に引き起こすには
Non parmi che basti  ただの慈悲心では
La sola pieta'.       足りないだろう


 音楽とラグーザへのこの憧れが、「どこから来るのか分からない」。
 この地で、いつまでも、二人の情熱を追い続けていかれることを願って、また今日も酔い痴れよう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

―超!久し振りの「音の絵シリーズ」―
 大好きなこの作品がネットになかったので、動画を作ってみました!ブログを始めてからの3年分の四季の変化を音に乗せながら、ああ私はこんなにもラグーザを愛していると目頭が熱くなりました・・・。現状を言い得ている歌詞が、皮肉にも、励ましにも感じられます。

 音楽とラグーザへの想いがたっぷり詰まった重いファイルです(17MB)。読み込みに時間がかかるかもしれませんが、ぜひ聴いてみてください。
 冒頭のレチタティーヴォ「アルカンドロ、告白しようAlcandro, lo confesso」は時間の関係上、カットしてしまいました。

じーん・・・と来ました?かな?     
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by hyblaheraia | 2009-02-26 10:40 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(16)

溶岩色の空

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 モディカ旧市街の全景に溜息を付いている時間はない。冷たい風に押されるように、ラグーザへの山道を進急ぐ。西の空は既に暮れていた。

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 高所恐怖症のお義母さんのため、高さ130メートルの橋を迂回して細い道を行く。あの橋でも、この道でも私にとっては変わらない。見ているのは空だからだ。

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 次第に雲が杏色に輝き始める。隙間に見える空は、まだ青い。

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 山間の向こうに落ちて行くような雲。一日の終わりには、こうして山に吸い込まれるように姿を消し、空は眠りに就くのだろう。

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 次第に桃色を帯び始める雲と空。両者が薄く重なり合う部分は、薄紫色の影を生み出す。言葉もなく、ただ空ばかりを見ていた。

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 この先に素晴らしい景色が待っているけれど、どこか分かる?運転のジョヴァンニ氏が聞く。
 空しか見ていなかったので、全く見当もつかなかった。しかしカーブを大きく左に回った瞬間、草木の間からあの良く知る風景が見えた。それはまさに、

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 イブラだ。谷間を泳ぐ魚の頭部分が見えている。そこからは早い。あっという間に、

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駆け抜けてしまった。
 溶岩色の空を前に、熱い溜息が漏れる一日の終わりだった。
 燃えるようなイブラの美しさは、ラグーザの思い出とともに、ナポリに発つお義母さんの心にも深く刻まれただろう。

  

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写真と音楽のコラボ:「音の絵」シリーズ

G. F. ヘンデル(1685~1759)のカンタータ 《あの運命的な日から-愛の妄想- Da quel giorno fatale (Il delirio amoroso)》 HMV99 1707年作曲、作詞:ベネデット・パンフィーリ(1653~1730)よりアリア抜粋。

Per te lasciai la luce,  あなたのために(希望の)光を残し
ed or che mi conduce  あなたに再び会えるよう
amor per rivederti,  今や、愛(神)が私を導いているというのに
tu vuoi partir da me.  それでもあなたは、私の元から去りたいのですか
Deh! ferma i passi incerti,  ああ!迷うのはもう止めてください
o pur se vuoi fuggir, dimmi, perché?  私から逃れたいのなら、その訳を言ってください


 恋人ティルシをハデス(冥界の王)の住む国から連れ戻し、エリシュオンの園で暮らそうと空想するクロリスの歌です。 
 マグダレーナ・コジェーナはクロリスの切願を、儚い夢と諦めのように歌い出し、歌詞の最終部分では決然とした声で恋人になぜ?と問い詰めていきます。
 燃えるような空の写真を見る時は、必ずこのカンタータを聴いていました。静かに燃えるような旋律がたまらなく好きです。溶岩色の空に捧げられるカンタータでしょう!!

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今日はちょっと音楽学的な話も
 若きヘンデルのイタリアで修行中に書かれたカンタータで、歌詞はパンフィーリ枢機卿(教皇イノチェンツォ10世の甥)によるものです。芸術の有力なパトロンであった枢機卿の邸宅では、毎週日曜日にアッカデーミア(芸術研究会)が開かれ、ローマの貴族や知識人、音楽家たちが集まっていました。この作品はおそらくそこで演奏されたものと思われます。
 同枢機卿が作詞したカンタータは少なくとも88曲知られており、その重要手稿譜がヴァチカン図書館に保存されています。数年前に基礎調査を行いましたが、まだ作業は終わってません・・・。

 歌詞は7音節詩で、最終行は11音節で締めくくる17~18世紀の典型的な詩形を取ります。ヘンデルはこの詩の構造と内容に合わせてABA(ダ・カーポ)形式の音楽を付けました。二度目にAが回帰する時は、冒頭のAと同じようには演奏せず、装飾を施し、歌手の音楽性と技巧を見せるのがバロック声楽曲の慣例です。
 コジェーナのABAはどのように表現されているでしょうか。いろいろ味わってみてください。
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by hyblaheraia | 2008-06-19 11:34 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(12)

月の声

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 長い一日の終わり。重い頭と目を抱えるように机から離れ、明かりを消したその時、別の光が差し込んで来た。もしかすると今夜は・・・。
 斑な雲の向こうで光を送っているのは、いかなる月だろうか。

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 明かりを消したまま、その姿を待つ。
 生暖かい風とともにオレンジ色の雲が流れ、薄い切れ目の間に見えたものは、満月の強い輝きが雲を溶かす瞬間だった。
 ああ、月の声が降りてくる。限りない優しさと神秘を含んだ溜息のような声。

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 その声に寄り添うような、均質的な紫の響きと、

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 新たな命を与えるような、暖かい響きが加わり、

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 時には一方が他方を取り込みながら、

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 互いに織り合い、完全に溶け合っている。

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 その豊かなハーモニーに身を沈めていくように、月の声は次第に遠ざかって行った。
 深夜2時半、人知れず奏される天の響きに、沈静と瞑想の悦びを知った。



音の絵:写真と音楽のコラボ
 薄明かりの中、アッレーグリGregorio Allegri(1582-1652)の《ミゼレーレMiserere》を月の声にじっと重ね聴きました。
 ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂で、教皇庁聖歌隊によって歌われた門外不出の秘曲。伝統的なポリフォニー技法によるこの作品をローマを訪れた少年モーツァルトが一度聴いただけで楽譜に書き起こしたという有名な神童エピソードがあるのですが・・・、音楽をやっている人にはそんなに難しいことではないんです・・・よね(私は和声聴音が大の苦手です)。
 天から降ってくるような3点C(高いドの声)の美しさを味わってください!


お勧めCD:
f0133814_20211416.jpgf0133814_20213245.jpg どちらもイギリスのグループ、タリス・スコラーズによる《ミゼレーレ》。

 左はYoutubeでお聴きいただいたものと同じで、16年前、人間の声の魅力に取り付かれていた頃に買ったもの。多分、まだ売られていると思います。

 右は同グループが2007年に再録音したもの。中音と低音の響きが太く、各声部がしっかり噛み合う感じです。ハーモニーの揺れに鳥肌が立ちます。このCDの最後に、当時の演奏習慣に基づいて3点C(高いドの声)に装飾を付けて歌っています。視聴はこちらでできます。

 
月と雲のハーモニー・・・!。
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by hyblaheraia | 2008-05-22 09:37 | 音の絵:写真と音楽のコラボ | Comments(12)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

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2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


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