ラグーザで日本文化の学会

Identità estasiatiche
Il Giappone fra Oriente ed Occidente

東アジアのアイデンティティーの諸相 -東洋と西洋の間の日本-

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 先日、11月24日(月)にカターニア大学ラグーザ校において、日本文化に関する学会が行われた。
 本校から3名、ナポリのオリエンターレ大学から4名、サレント大学(プーリア州)から1名、ロンドンから1名、の日本文化研究者9名が各自の専門について最新の研究成果を発表した。


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 会場は、サンタ・テレーサ修道院を改装した大学校舎のカッテドラーレ。こんなに美しい祈りの場が学会や会議に使われる。マイクの音が響きすぎて少々聞き取りにくいのが難点だが、雰囲気は抜群に良い。
 日本語専攻の学生たちは、朝10時半から午後6時まで、ノートを取りながら真剣に発表を聞いていた。彼らが普段使っている教科書を執筆された先生も発表するということで、先週から学生たちは楽しみにこの日を待っていた。ラグーザにいてもこういう機会があるというのは、本当にいい刺激となっただろう。

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 とても和やかな雰囲気のうちに、豊富な画像とともに、各研究者の日本へのアプローチが生き生きと語られていくのが印象的だった。テーマは古典、民俗学、宗教学、言語学、医学文献学にまでわたり、自分の知らない日本の一面を提示されるたびに、心の底がぐらりと揺れるようだった。けれども彼らが語る日本というのは、なんと哲学と神秘と謎に満ち、難解で美しいのだろう。これほど私の国を愛おしく研究している姿に嬉しくも有難く、どこか恥ずかしくも思い、彼らと同じ情熱で自国を語る知識のなさが残念でならなかった。
 でも専門性が高くなればそれはどんな分野でも起こることだ。分からないことは聞けばいい。イタリア人の彼らだって私の専門のカンタータについてはあまり知らないかもしれない。大事なのは、学ぶことに対する誠実で正直な態度と、力の入らない会話なのだろう。だから学会後は美味しいラグーザ料理とワインで盛り上がり、たわいのない会話や研究者の噂話などで子供のようにはしゃいだりするのだ。
 結局、人と人との関係なのだな、ということを実感した。

 休憩時間に数人の発表者と話していたときのこと。今の研究を通して新たな興味の方向性が見え、それについてあらゆる可能性を模索しているという、知的探求と欲求がきらきらしていた姿がとても素敵だった。
 ああ、こういうのは本当に久しぶりだった。日本の音楽学仲間はどうしているだろう。私も何かしたくなってきたぞ。


何でも人と人の誠実な関係が基本なのかな~と。     




午前
・Lucia Caterina (Università di Napoli “l’Orientale”)
Iconografie tra Oriente e Occidente
・Junichi Oue (Università di Napoli “l’Orientale”)
Alcune considerazioni sullo sviluppo degli studi della dialettologia giapponese
・Lucia Dolce (School of Oriental and African Studies, London)
Le forme del Giappone; mitologie buddhiste e preoccupazioni internazionali nella cartografia medievale
・Silvana De Maio (Università di Napoli “l’Orientale”)
La letteratura al museo: nuove funzioni dello spazio architettonico in Giappone
・Chiara Migliore (Università del Salento)
La leggenda di Wang Zhaojun dalle fonti cinesi alle fonti giapponesi: una proposta di analisi

午後
・Giorgio Amitrano (Università di Napoli “l’Orientale”)
Giochi segreti: Tanizaki, Morante, Henry James
・Luca Capponcelli (Università di Catania)
La poesia di Yosano Akiko: seduzione e Art Nouveau
・Chiara Ghidini (Università di Catania)
Processi di costruzioni identitarie: Okinawa nel pensiero di Orikuchi Shinobu (1887-1953)
・Paolo Villani (Università di Catania)
Libri e corpi nel Giappone del 1700: propensioni mediche e filologiche verso le fonti di conoscenza
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by hyblaheraia | 2008-11-28 10:05 | 大学・研究 | Comments(12)
Commented by vruocculu at 2008-11-28 10:18
最後の言葉
『何でも人と人の誠実な関係が基本』 その言葉深く胸に刺さりました。
誠実、真摯、謙虚。。。どの言葉も大切な言葉だと私は思っています。
たとえ郷に入っては郷に従えだとしても。
Commented by chimamotto at 2008-11-28 13:58
学ぶことに対する誠実で正直な態度、大事ですね。
人にとって知識欲って最も大切な能力のひとつだと思ってます。
Commented by Maliarda at 2008-11-28 20:26 x
はじめまして。
シチリア最南端で、こんなに素晴らしい「学会」があるなんて
想像もしていませんでしたが、ナポリ大学には
東洋研究で有名ですね。そういう方達が私たちの文化を
イタリアにおいて支えてくれてるのだと再認識いたしました。

私もミラノにて日本文化を発信するお手伝いをしておりますが
イタリア人の文化に対する意識の高さ、熱心さに日々
刺激され、自分の至らなさに深く反省する毎日ですが、
彼らの誠実な態度に負けないよう、頑張りたいと思っています。

ラグーザでの増々のご活躍、お祈り申し上げます。
また色々と情報交換できれば嬉しいです。
Commented by ゆきーな at 2008-11-29 02:36 x
いいですね。
まず、プーリアに日本文化を研究している人がいることに、びっくり。私は、サレント大学ではないので、全然知りませんでした。
学生たちは、アニメや、ゲームや、音楽や、空手なんかから、日本に興味を持つのでしょうが、こうやって、奥に迫っていくのですね。
本当に興味深いです。
Commented by Gina at 2008-11-30 09:28 x
半ば嫌々していた受験時代でも、勉強ってしつづけると楽しいんですよね。知識欲に対する人間の原始的な欲求が強いことを裏づけするものだと思うのですが。それに気づいて最近また語学熱が出てきました。

そういう知的探究心を共有できる友人がいるhyblaheraiaさんは、幸せものだなぁと思います。
Commented by hyblaheraia at 2008-11-30 23:04
~vruocculuさん~
ラグーザに来ていろいろな場面で強く感じ、最も深く学んだことは誠実であること、です。整備された日本で穏便な生活を送っていたときは気付かなかったのですが。
vruocculuさんがイタリアで感じられたことと、もしかしたら繋がっているのかな、なんてコメントを拝見して思いました。
Commented by gabbyna at 2008-11-30 23:05
研究の対象となれる日本文化、それを真剣に掘り下げていく研究をし続ける学者がいるということに凄く感動をしました。
そういう場所があるのは、羨ましいものです。
現実の為に行なっている仕事以外のものの為に勉強を続けることは、大切だと思います。
Commented by hyblaheraia at 2008-11-30 23:07
~chimamottoさん~
学ぶという行為は、何も知らない白紙の状態から始まるわけですから、謙虚な姿勢と分からないことは分からないと言う正直な態度が必要なのでしょうね。
知りたいという気持ちは、人をこんなにも前向きにするのかと思うと、なんだか嬉しくなりました。
Commented by hyblaheraia at 2008-11-30 23:48
~Maliardaさん~
はじめまして。ミラノで日本文化のお仕事をなさっているんですね。先日、Maliardaさんのブログを拝見しました。和歌に感動したシニョーラのお話には、なんだかとても心が温かくなりました。言葉を超えた理解というのは、言葉以上の何かを残すのかな、と思いつつ。
またミラノのビスコッティ事件についても拝見しました。私もこれについて少し書いたのですが、Maliardaさんが本文にお書きになった加害者の奥さんの声を読んで、事件の背景を知り、問題の深さを実感しました。きめ細かな情報を提供して下さり、ありがとうございます。
ミラノでのご活躍を、イタリア最南端から応援しております。
Commented by hyblaheraia at 2008-12-01 00:00
~ゆきーなさん~
サレント大学のキアーラ・ミリオーリ先生はルカの先輩でもあり、私の憧れの研究者です。古典がご専門で、中国から日本に入ってきた神話がどのように変化して伝えられたかという発表でした。他の発表者への質問もとても鋭く、意味が深く、人としての温かさが溢れていて、とても素敵な方です。
こういう素晴らしい研究者に日本語と日本文学、文化を教えられた学生たちは、アニメやゲームの背景にある根源的なものに気付いていくのだと思います。
Commented by hyblaheraia at 2008-12-01 00:06
~Ginaさん~
大学の先生方とお茶したり食事したりしていると、あふれ出て止まらない知的好奇心と想像力と、実り多い会話を目の当たりにして、西洋の学問というのは哲学なんだなぁ、と実感します。
いつでも、何に対しても、知りたいと思う気持ちを持ち続けていきたいですね。Ginaさんの遺跡と食文化への情熱は美しいです。
Commented by hyblaheraia at 2008-12-01 00:16
~gabbynaさん~
研究対象というのは無数の点のように存在していて、その小さな点の一つを取り上げ、掘り下げ、近くの点との点との繋がりを読み解き、流れるような線を再現するのが、地味で美しい研究だと私は考るのですが、そういう将来が予感できる発表がたくさん聞けて幸せでした。ルカの発表もすごく良かったです。
実用性のない人文研究が日の目を見ない時代だからこそ、人間が文化を失ったら終わりだな~と思います。学生たちに何かが伝わっていることを願いつつ。
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