1800年代のピアノ?!

f0133814_6465432.jpg
 日曜日の夕方、二人でおやつを買いに出かけた帰り、Antichita'アンティークという看板が目に留まった。中を覗いて見ると、そこにはピアノが!
 アンティーク家具の中に仲良く溶け込んで、美しいピアノがにっこりと私に微笑み返す。もしかして1800年代のピアノ?!これは運命かもしれない!

 と興奮したものの、優柔不断のため試奏に行く決心がつかず数日が過ぎ、今日の昼、エノテカに行くついでに外から見るだけ、見るだけ・・・とガラス越しに見つめていたら、急に足がババッと勝手に動いて店内に。
 すみませ~ん、あのアンティークのピアノを見たいんですが!

f0133814_653650.jpg
 若いお姉さんに案内され、展示部屋に入る。
 ああ、なんてきれい!この色、そして艶、手の込んだ彫り込み、蝋燭置き、そして想像した通り、象牙の鍵盤・・・。
 あれ、でも高音が3音足りない・・・。まぁ、古いピアノならそういうこともあるか。

f0133814_772264.jpg
 MUSSARD FRE'RES というパリのメーカー。知らないなぁ。恐る恐る触ってみると、音はちゃんと出る。中身がひどい状態だったので、全て修復したとのこと。へぇ~、ラグーザなのにやるなぁ・・・、と感心しながら弾く。音質は決して悪くない。ぺったんこな音しか出ないひどいアップライトも知っているけれど、これは丸みがあってまぁまぁ。調整すれば何とかなりそう。
 ただ一つ、ペダルがかなり甘いのが気になった。鍵盤とうまく連動していないような感じがして、お姉さんに言ってみたら、ああ、それは直せますから、とにっこり。

f0133814_65777.jpgf0133814_655382.jpgf0133814_71299.jpg
f0133814_6574063.jpgf0133814_716325.jpgf0133814_7162930.jpg
 ピアノの箱としては本当にきれい。蝋燭台、持ち手、ペダル周りにも装飾。私の好きなネジネジ脚、鍵盤も損傷なし。中身は随分、大々的に修理されているみたいだけれど・・・。
 試奏を終えて、ピアノを修理したオーナーが来てくれることに。

f0133814_719675.jpg
 約10分後、オーナーのおじさんがやって来た。
 これは1800年代後半のフランスのピアノで、中身は全部私が直したんだよ。ほらね!と蓋を外した瞬間に、えっ!
 鍵盤の内部構造の根元部分がザリザリ・・・。

f0133814_720233.jpg
 よく見るとさらに驚き。
 ハンマーの根元部分に青いボールペンで番号が!修理の時に順番を間違えないためだろうけれど、せめて鉛筆で小さく見えない所に書いてほしい。さらに、数字が書かれた部分の長さがマチマチ。63番だけ長い、というか青い切り落とし線が見えている。
 なぜ?
 
 話を聞くと、このピアノの中身は使い物にならないくらいひどかったので取り外し、スペインのMELFORDというピアノの中身とそっくり入れ替え、その際、奥行きの小さなこのピアノに合わせて部品を削った、とのこと。大仕事だったよ!工房にはまだそういうピアノがあるんだ!と自慢気に話すおじさんは、続けて・・・・、
 この家具部分に私は興味がない。私の手仕事分だけを考えて3500ユーロというところかね

 エッ!
 目玉が落ちそうになった。

f0133814_7202578.jpg
 きれいな楽器なのに、どうして中身を捨ててしまったのだろう。修理ができるのなら、オリジナルのパーツを修理すればいいのに。これではピアノの価値がガタ落ちだ。おじさんには気の毒だけれど400~500ユーロ(約64000~80000円)しか出せないな。


 このピアノのために、他のピアノの命を奪ったと思うと悲しくなる。ピアノは生まれた時の心臓を持って生き続けるべきものだと思う。人間の心臓移植のようにはいかないはずだ。
 ペダルの違和感はそういうことだったのか・・・。
 
 おじさんは私が音楽学をやっていることを知ると、さらにエスカレート!アンティークの楽器がもう一つあるんだよ。
 見てみますか、一応・・・。

 ということで、続いちゃいます・・・。

すごい修理・・・!。
[PR]
by hyblaheraia | 2008-05-16 09:25 | 生活 | Comments(12)
Commented by grappa-tei at 2008-05-16 20:23
あーびっくりした。読み進むうちに買っちゃうんじゃないかと思って。でも、50万円はやはり高いなぁー。
Commented by poronliha at 2008-05-16 22:28
私はピアノについて詳しくないといか、両手でひけないくらいできない人なんですけど、ふむふむって関心しながら読みました。やはりアンティークものは高いですよね。でも中身がちがうって・・・なんだかかわいそう。
Commented by yokocan21 at 2008-05-16 22:38
修理したオーナーのおじさんとの気持ちのズレ方、うーん、何とも言えない空しさ。
hyblaheraiaさんのお気持ち、すっごくわかります!ピアノに限らず、こういう自然の素材を使った楽器って、ものすごく繊細なものなんですよね。荒手術をされてしまって、さぞかし悲しんでいることでしょうね。これは、楽器というよりは、家具になっちゃいましたね。
もうひとつのアンティーク楽器って、何なんでしょう、気になります~。

ところで、トゲトゲの野菜、こちらのももの凄い痛いですよ。市場や八百屋さんでは、ゆっくりと触らないと、ツンッ!とやられてしまいます。それだけ新鮮なんで、有り難いですよね。
Commented by ゆうゆう at 2008-05-16 22:44 x
あら〜麗しいお姿のピアノに出会ったのね♪どんな人に弾かれてラグーザまで来たのか、それだけで物語がありそう!  内部修復の問題は難しいですねぇ。先日、30年前のアメリカ製のアップライトの修復に関わったのですがチープな作りだったため中はボロボロ、でもその楽器が持つオリジナルな音を残すため試行錯誤して修復してもらいました。特殊なコンパクトな型だと中のアクションを一つずつ作ると莫大な費用になるので、合う物を探す方法となり、残念ながら箱と中身は違ったものになっちゃいますね。  1800年代フランス製だと繊細ではかなげな音がしたでしょうね〜。でもスペイン物のコラボの音も聴いてみたいな。
続きを楽しみにしていま〜す♪
Commented by 薬作り職人 at 2008-05-17 00:53 x
アンティーク、と呼ばれた時点で、楽器としての命はなくなってしまったのかもしれません。やはり、使う人があって、使い込まれて、ケアされてこそ、楽器、ですよね。
Commented by hyblaheraia at 2008-05-17 19:23
>grappa-teiさん、いえいえ、興奮しましたけれどあのザリザリ・ハンマーを見た瞬間、我に帰りました。でもラグーザみたいな田舎にもこんな古い楽器を扱う店があるというのは、かなり驚きでした。
オーナーは3か月毎にドイツにピアノを探しに行くそうなので、今度は何を持ってくるのか、ちょっと楽しみです。
Commented by hyblaheraia at 2008-05-17 19:30
>poronlihaさん、ローマの叔父が1800年代の美しいアップライト・ピアノを持っているので、それを弾いた時の感触を思い出して触ってみたら、なんかアンティークの楽器って感じがしなくて。中身が違うと、やっぱり楽器の顔と音が結びつかないのかな、と。
そう言えば、おじさんがこれはハイブリッド・ピアノだよ!と言っていました。なるほど~。アンティーク楽器はもうちょっと見る目ができてから考えます。
Commented by hyblaheraia at 2008-05-17 19:38
>yokocan21さん、気持のズレ、そうですね本当に。おじさんは楽器の修理というより、改造を楽しんでいるような感じもしてしまいました。オリジナル楽器は歴史的価値があるので、それを理解した上で必要な部分のみを最小限のパーツ交換で補うのが鉄則だと思います。その辺の考え方の違いがある限り、おじさんから楽器は買えないなぁと思ってしまいました。
トルコのお野菜のトゲトゲ、凄まじそうですね~。市場のお野菜の写真を見ているだけで、鮮度が分かります。スパイシーなお味とツンツン野菜で、常に刺激的な生活ですね!
Commented by hyblaheraia at 2008-05-17 19:59
>ゆうゆうさん、30年前のアメリカのアップライトの修理!いろいろなことをしているのねー。中身がボロボロというのはどういう感じでしたか。このピアノもどんな状態だったのか、とても興味があります。
修復というのはどの程度なら可能なのか、何を基準に残すべきものと変えるべきものを見極めるのか、一度、専門家のお話を聞いてみたいです。ネットで調べたら、チェンバロだと反響板がざっくり割れて、それをはがして貼り直すことは普通に行われているみたいでした。
ゆうゆうさんのお話を聞いて、外と中が違う楽器修理の方法もありなんだと分かりました。勉強になります、ありがとう!おじさんの言う、ハイブリッド・ピアノも前向きに捉えないとね。
このピアノの音は、ちょっと虚ろな淡い響きでした。3500ユーロならBizzi社のチェンバロが買えるので、気持ちをしっかりとチェンバロに向けることにしました。
Commented by hyblaheraia at 2008-05-17 20:07
>薬作り職人さん、この楽器はここに来る前、郊外の大型スーパーで展示されていて、一人のシニョーラが購入を考えていたそうです。その方は既に一台ピアノを持っていて、これは家具として気に入っていたのだそうですが、ピアノを弾かない方なので、買ってもきっとリビングに飾るだけだったでしょう。
やっぱり楽器は常にいい状態に保ち、音を出してあげたいですね。もらわれていかなくて良かった、と思ってしまいました。なんだかこのピアノの今後の運命が気になっています。できればこれも、↑の記事のフォルテピアノも、まとめて引き取ってあげたいくらいです。できれば・・・。
Commented by cippalippa at 2008-05-18 00:04
ピアノは、残念ながら古ければよい、って楽器じゃないし、常にメンテナンスとは言わなくても、誰かに弾かれてこそ良さがあるものですからねえ・・・。中身を入れ替えてしまったっていうのはかなり残念な話ですね。
ヴェネツィアで住んでいた寮には、ドイツのかなり古いピアノがありました。直すだけでも2000ユーロ以上はかかると言われて、放棄されてしまったピアノでした。私がお金持ちなら直して弾きたかったのだけど、そうもいかずに、そのうちもしかすると捨てられてしまうのかもしれません。練習に使っていたヤマハもヴェネツィアの湿気で、いくら調律してもなんとなくガタガタのピアノでしたが。そして、日本に帰ったら自宅のピアノが、悲しいことにずっと信じていた調律士さんの独断で妙なクセをつけられてしまって、ハンマーがぼろぼろになっていたんです・・・・。お金貯めて一刻も早くいい状態に戻したいと思っている今日この頃です。自分でどうにもできないっていうのが本当にもどかしい!!!!!!!!!
Commented by hyblaheraia at 2008-05-20 05:39
>cippalippaさん、ヴェネツィアの寮の古いドイツピアノのその後が心配です。2000ユーロの修理費というと、もはやどんな状態なのか想像できませんが、部品を一つ一つ直すということでしょうか。古い楽器が欲しい人は世の中にたくさんいるので、どこかのオークションに出して幸せな出会いがあればいいですが。
ヴェネツィアの湿気はピアノやチェンバロには酷なんですね。ラグーザも冬はとても湿度が高く、昨日、壁にかけていた額を掃除しようとしたら壁も絵の裏もカビカビで大変なことになっていました!チェンバロなんて買っていいのかな・・・。
cippaさんのピアノも心配ですね。ピアノって本当に、調律一つで如何様にも変わりますからね。ハンマーを思い切って取り換えるとか?私は一度、ハンマーのフェルト部分を針山みたいな道具でジギジギ・シャキシャキ刺して柔らかくしてもらったことがあります。音がとってもまろやかになりました。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

掲示板

最近は・・・
早寝早起きして新しいことに挑戦中!
16/11/2016


迷惑コメント対策で承認制にしております。
::::: ::::: :::::

自己紹介に代えて


ご連絡等はコメント欄にお願いいたします

::::: ::::: :::::


2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


Locations of visitors to this page
2010年2月16日リセット
世界の赤い花びら!


Click for Comiso Air Station, イタリア Forecast

今日の月はどんな月?



ラグーザ ホテル

カテゴリ

全体
自然
生活
歴史
祭り
伝統・技術
料理
菓子
変わった野菜と果物
野鳥・昆虫・動物
大学・研究
政治・社会
音の絵:写真と音楽のコラボ
シチリア他の町
イタリア他の町
ナポリの実家
一時帰国
ブログ・・・周年とゲーム
未分類

タグ

(60)
(50)
(46)
(42)
(40)
(38)
(36)
(35)
(35)
(34)
(31)
(27)
(22)
(21)
(20)
(15)
(14)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(9)
(8)
(8)
(8)
(8)
(7)
(6)
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(2)

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

以前の記事

2016年 11月
2016年 10月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 02月
more...

最新のコメント

明けましておめでとうござ..
by アイシェ at 07:35
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:11
牛乳と油で生クリームがで..
by Mchappykun2 at 01:30
> アイシェさん それ..
by hyblaheraia at 17:09
今人間ドックが終わったば..
by アイシェ at 11:48
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:20
> 鍵コメさん は..
by hyblaheraia at 13:37
東京にいらしていたのです..
by Mchappykun2 at 01:31
> 鍵コメさま ご心配..
by hyblaheraia at 19:29
> ゆうゆうさん 素早..
by hyblaheraia at 07:18

画像一覧

ブログジャンル

海外生活
音楽

検索

記事ランキング

ライフログ











お気に入りブログ

生きる詩
gyuのバルセロナ便り ...
ルーマニアへ行こう! L...
写真でイスラーム  
エミリアからの便り
アフガニスタン/パキスタ...
イスラムアート紀行
夫婦でバードウォッチング
La Vita Tosc...
パリ近郊のカントリーライフ
トルコ~スパイシーライフ♪
now and then
Vivere in To...
シチリア時間Blog
フィレンツェ田舎生活便り2
ふりつもる線
ちょっとスペインの別荘 ...
ぐらっぱ亭の遊々素適
ヴェネツィア ときどき ...
石のコトバ
ボローニャに暮らす
フランスと日本の衣食住
イタリア・絵に描ける珠玉...
cippalippaの冒...
スペインのかけら
Berlin Bohem...
VINO! VINO! ...
::: au fil d...
sizannet
イタリア料理スローフード生活
ペルー と ワタシ と ...
しの的エッセンinドイツ
PoroとHirviのとおり道
料理サロン La cuc...
カッラーラ日記 大理石の...
イタリアの台所から
オルガニスト愛のイタリア...
Animal Skin ...
しのび足
道草ギャラリー
白と黒で
ちまもの読書日和
andante-desse
il paese - p...
やせっぽちソプラノのキッチン
坂を降りれば
A Year of Me...
お義母さんはシチリア人
Espresso!えすぷ...
シチリア時間BLOG 2
London Scene
hatanomutsum...
小鳥と船
mi piacciono...
カマクラ ときどき イタリア
やせっぽちソプラノのキッチン2

外部リンク