ジョヴァンニおじいさんの宝物

f0133814_15413725.jpg
 ジョヴァンニおじいさん(Sig. Giovanni Nobile、ジョヴァンニ・ノービレ氏)。
 イブラで生まれ育ち、イブラをこよなく愛し、世界中から訪れる観光客に愛される人。イブラの迷路のような道も、そこに住む人々も、古くからの言い伝えも、草花の名前もその香りも、イブラに息づくものは何でも知っている。

f0133814_1542837.jpg
 そんなジョヴァンニおじいさんの財布には大切な宝物が入っている。これは(もはや何度も見ているけれど)、歌舞伎《助六》のテレフォンカード。
 ほらサムラーイ、サムラーイですよ!と嬉しそうに見せてくれる。日本に住む古い友人(確か、別府の方)からの贈り物で、とても大事にしている。
 そしてこの日、さらに素敵なものを見せてくれた。それは・・・

f0133814_1543537.jpg
 ジョヴァンニおじいさんの叔父さんの写真。左から2番目が彫刻家で美術の先生だった叔父さん。1930年代に工房で仲間と一緒に撮った一枚で、ジョヴァンニおじいさんはまだ2歳だったそうだ。
 叔父さんの頭の上に、グリーンのペンでぐにゃぐにゃっと記が付いているのが面白い。
 そしてもう一枚・・・

f0133814_1544272.jpg
 あ、これは・・・!
 イブラのジャルディーノ(イブレオ庭園)の奥、サン・ジャーコモ教会横にある叔父さんの作品。1950年代の制作で、もとは別の古い教会の中にあったのだが、道路拡張工事のため教会が壊されイブラに移されたのだそう。
 セロテープで補強された破れ目が、いかに長い間おじいさんの財布に入っているかが分かる。

f0133814_15485579.jpgf0133814_15491831.jpg
 いつものようにおじいさんとの散歩が始まる。
 ここはおじいさんが通った小学校。こんなに荒れ果てた建物だけれど、子供の頃の思い出を聞くと全く違って見えてくる。

f0133814_15501289.jpgf0133814_15494955.jpg
 ほら、ドゥオーモが見えますよ!
 建物の隙間から一瞬見えるこの景色。足元を見ていては気付かない。おじいさんはこうしてイブラを見つめているのだろう。
 そして全く知らない階段を上り、こんなかわいい路地に来た。白い子犬が吠えて飼い主のシニョーラがごめんなさいね~と出てきた。この人もおじいさんの知り合い。こうして会う人会う人に私を紹介してくれる。

f0133814_15555271.jpgf0133814_1601328.jpg
 ここはサンタ・ルチーア教会からの眺め。サン・レオナルド渓谷の崖の途中に、白く光るものがあった。良く見ると十字架だ。どうしてこんな所に?
 おじいさんはゆっくりと語り始めた。昔々、中世時代の話ですが、騎士があそこまで馬に乗って登ることができれば、宝物を手に入れられるという言い伝えがあったんですよ。数年前までボーイスカウトが訓練のために上から下りたりしていましたが、危険なのでラグーザ市が禁止したんです。あの十字架はその伝説を忘れないために置かれているんですよ。
 
 ガイドブックには書かれていない素敵な話だった。
 ジョヴァンニおじいさんの宝物は、財布の中だけでなく、ラグーザの隅々に隠されている。一緒にのんびり散歩しながらそんな話を聞いていると、この町への愛情が輝くような宝物になっていくのを感じる。
 次の宝物探しはいつだろう。

宝物を探して・・・!。
[PR]
by hyblaheraia | 2008-04-23 18:18 | 生活 | Comments(13)
Commented by fumieve at 2008-04-24 07:22
ああ、いいですね~。hyblaさんがラグーザの写真をたくさんアップされるたびに、私もほんとうにそこを歩いているような気分になります。ほんとに、歩きにいかなくっちゃ!
それもこんなすてきな案内人さんがいらしたら、町歩きはますます楽しくなりそうです。それにしてもおしゃれですよね、絶妙な色合わせで、ほんとに。
Commented by kawazukiyoshi at 2008-04-24 15:02
歌舞伎のテレホン・カードが宝物ですね。
面白い。
忘れられない遠い日の思いでなのかなー。
ちょっとした何でもない贈り物を、こちらの人も大切にしているときがあります。
とっても嬉しくなるものですね。
今日もスマイル
Commented by yokocan21 at 2008-04-24 18:37 x
↓のお友達への祝福記事もとっても素敵で、こちらのジョヴァンニおじいさんのお話も、温かさが伝わってきていい感じですね~。
おじいさんの宝物のテレフォンカード、何だか気持ちがわかります。何でもないものなんだけど、それを見ると色々なものが思い出されるんでしょうね。何気なくプレゼントした日本のお姫様のハンカチが、綺麗に額にいれて飾られていたのを見て、嬉しかったですもんねぇ。

イブラの景色は、ほんと絵になりますよねぇ~。建物と建物との間から、ぽっこりと顔を出すドゥオーモ、そういう光景って大好きです!こちらでは、モスクノ尖塔になるんですけど、何ともいえないワクワク感がありますよね。
小学校の建物なんて、マルディンそっくり!こんな歴史のありそうな建物で学べるだなんて、羨ましい~。

ところで、髪、やられちゃいました~?ストレートヘアなら、結構可愛い髪形かな、なんて思うんですけど、いかがでしょうか。こちらも、美容院は半ばチャレンジですからぁ、ドキドキなのです。
Commented by 薬作り職人 at 2008-04-24 22:55 x
おじいさんの財布の中の写真、、お金よりも何よりも大切な宝物なんでしょうね。おじいさんが見たであろう若かりし頃の風景、この街では、人だけが年を取っていく、のかもしれませんね。
Commented by poronliha at 2008-04-25 03:59
おじいさんの話っていろいろと教わることが多くていいですよね。時代の流れとかそういうものを感じることもできるし。
助六のテレカを侍っていって大切にもってたり、昔の写真を見せてくれたりって、とってもお茶目な方ですね。
私の死んだおじいちゃんも語りが江戸弁で昔の話をしたりすると、自分の見ている土地がこんなに違うものだったのかって思ったことがありました。(ちなみにおじいちゃんはぎりぎりの明治生まれでした)
Commented by hyblaheraia at 2008-04-26 07:40
>fumieveさん、本当は毎日でもお散歩したいのですが、雑事に追われてそうもいかず。でも春は短いので、なるべく早起きして歩くようにしたいと思っています。
ジョヴァンニおじいさんは、本当に何でも知っていて、次々に楽しい話を聞かせてくれます。一人よりも誰かと一緒の方が断然楽しいですし、また出会ってしまいたいです。fumieveさんとのお散歩も楽しみにしています!ジリジリに暑くなる前にぜひ。
Commented by hyblaheraia at 2008-04-26 07:52
>kawazukiyoshiさん、テレカと2枚の写真はジョヴァンニおじいさんの特に大事な宝物のようです。世界中の観光客から送られた手紙も全て大切に保管してあると言っています。おじいさんはこれがテレホンカードで、それがどう使われるものであるかも良く知らないと思いますが、遠い憧れの日本の美しい写真なので、それだけで嬉しいのだと思います。
小さな贈り物を大事にしてくれている現地の人を見ると、本当にこちらも嬉しくなりますね。
Commented by hyblaheraia at 2008-04-26 08:02
>yokocan21さん、友人の結婚式の日のラグーザの様子を贈ろうと朝からカメラでバシバシしていたら、ジョヴァンニおじいさんに出会い、お散歩、そして素敵なお話、といい本当に一日でした。
日本の贈り物が大切にされると嬉しいものですよね。友人に贈った小さな扇子は食器棚に飾られていて、見るたびに嬉しくなります。斜めになっていると直したりもしていますが。
イブラの風景はもっともっとご紹介したいのですが、なかなかあちらに下りる機会が最近なくて。そちらのモスク尖塔のニョキッというのはぜひ見てみたいです!
髪の毛はですねぇ・・・、まぁなんとかブローでごまかすという感じです。こちらの人はボリュームを出したがるので、髪をすく、という技術はないみたいですね。
Commented by hyblaheraia at 2008-04-26 08:08
>薬作り職人さん、そうですね。ジョヴァンニおじいさんにとってこのテレカと写真は、お金よりもずっと大事なものなのだと思います。
ラグーザの風景は100年前とほとんど変わっていません。そこに生きる人が少し変わっただけで、時間の流れ方も価値観も本質的には昔のままだと思います。だからこの町に魅かれるのかな・・・。
Commented by hyblaheraia at 2008-04-26 08:11
>poronlihaさん、私の祖父も明治男でしたよ。頑固で真面目な人でしたが、孫の我々にはいつも優しく、いろいろな話をしてくれました。
ジョヴァンニおじいさんとの話を聞いていると、祖父のことを思い出します。本で読んで知ることも素敵だけれど、人の語りから学ぶことにはまた違った温もりがありますね。
Commented by byrdland at 2010-08-25 09:43 x
はじめまして。。「別府のお方」はよ~く存じ上げていますよ。内容はよく分からないのですが、心のこもったジョヴァンニおじいさんからのお手紙を見せていただきました(写真付き)。以前はTV(日本)にも出演していたのを記憶しています。最近、ジョヴァンニは金婚式でローマへ旅行したそうな。。そういえばテルミニ駅地階のスーペルメルカートで買ったり、買ってきてもらったりの、お気に入りのインスタントのパスタソースがすでに無くなりつつあります(涙)。職業柄ではないのですがイタリアは大好きですが昔、「東洋のナポリ」と謳われていた湯のまち「別府」も大好きです。わがまちを愛するジョヴァンニおじいさんの気持ちはよくわかります。
Commented by hyblaheraia at 2010-08-25 21:40
~byrdlandさん~
はじめまして。ジョヴァンニお爺さんのだけでなく、別府の方もご存知なのですね!今度ジョヴァンニお爺さんに会ったら伝えておきます。喜ぶと思います。
お爺さんは日本のテレビにも出演したんですか?知りませんでした。有名人なんですね。金婚式の話は前に聞いたような、聞かなかったような・・・。いつも親戚の話をするので、誰がどこで結婚して、誰がどこに住んでいるか、とか話がこんがらがってしまっています。
別府は行ったことがないのですが、「東洋のナポリと謳われた湯の町」という言葉にとても惹かれました。お風呂にゆっくりつかりたいです。
ジョヴァンニお爺さんの最新フォトをそのうちアップしようかなと考えていますので、別府の方にどうぞよろしくお伝えください。
Commented at 2010-12-28 21:08 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

掲示板

最近は・・・
早寝早起きして新しいことに挑戦中!
16/11/2016


迷惑コメント対策で承認制にしております。
::::: ::::: :::::

自己紹介に代えて


ご連絡等はコメント欄にお願いいたします

::::: ::::: :::::


2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


Locations of visitors to this page
2010年2月16日リセット
世界の赤い花びら!


Click for Comiso Air Station, イタリア Forecast

今日の月はどんな月?



ラグーザ ホテル

カテゴリ

全体
自然
生活
歴史
祭り
伝統・技術
料理
菓子
変わった野菜と果物
野鳥・昆虫・動物
大学・研究
政治・社会
音の絵:写真と音楽のコラボ
シチリア他の町
イタリア他の町
ナポリの実家
一時帰国
ブログ・・・周年とゲーム
未分類

タグ

(60)
(50)
(46)
(42)
(40)
(38)
(36)
(35)
(35)
(34)
(31)
(27)
(22)
(21)
(20)
(15)
(14)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(9)
(8)
(8)
(8)
(8)
(7)
(6)
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(2)

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

以前の記事

2016年 11月
2016年 10月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 02月
more...

最新のコメント

明けましておめでとうござ..
by アイシェ at 07:35
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:11
牛乳と油で生クリームがで..
by Mchappykun2 at 01:30
> アイシェさん それ..
by hyblaheraia at 17:09
今人間ドックが終わったば..
by アイシェ at 11:48
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:20
> 鍵コメさん は..
by hyblaheraia at 13:37
東京にいらしていたのです..
by Mchappykun2 at 01:31
> 鍵コメさま ご心配..
by hyblaheraia at 19:29
> ゆうゆうさん 素早..
by hyblaheraia at 07:18

画像一覧

ブログジャンル

海外生活
音楽

検索

記事ランキング

ライフログ











お気に入りブログ

生きる詩
gyuのバルセロナ便り ...
ルーマニアへ行こう! L...
写真でイスラーム  
エミリアからの便り
アフガニスタン/パキスタ...
イスラムアート紀行
夫婦でバードウォッチング
La Vita Tosc...
パリ近郊のカントリーライフ
トルコ~スパイシーライフ♪
now and then
Vivere in To...
シチリア時間Blog
フィレンツェ田舎生活便り2
ふりつもる線
ちょっとスペインの別荘 ...
ぐらっぱ亭の遊々素適
ヴェネツィア ときどき ...
石のコトバ
ボローニャに暮らす
フランスと日本の衣食住
イタリア・絵に描ける珠玉...
cippalippaの冒...
スペインのかけら
Berlin Bohem...
VINO! VINO! ...
::: au fil d...
sizannet
イタリア料理スローフード生活
ペルー と ワタシ と ...
しの的エッセンinドイツ
PoroとHirviのとおり道
料理サロン La cuc...
カッラーラ日記 大理石の...
イタリアの台所から
オルガニスト愛のイタリア...
Animal Skin ...
しのび足
道草ギャラリー
白と黒で
ちまもの読書日和
andante-desse
il paese - p...
やせっぽちソプラノのキッチン
坂を降りれば
A Year of Me...
お義母さんはシチリア人
Espresso!えすぷ...
シチリア時間BLOG 2
London Scene
hatanomutsum...
小鳥と船
mi piacciono...
カマクラ ときどき イタリア
やせっぽちソプラノのキッチン2

外部リンク