ワイナリー見学 アヴィデ社AVIDE

 ラグーザ2日目、朝10時半にジョヴァンニ氏の青いワゴンが自宅前に到着。皆で向かったのは、隣町コーミソComisoにあるワイナリー、アヴィデ社Azienda Vitivinicola AVIDE。そのまま訳すと葡萄生産・酒造アヴィデ社。自社の畑で葡萄を栽培し、数種のワインを製造している。
 ラグーザに来た当初からアヴィデ・ワインのファンとなった私は、ヤングチームからワイナリー見学の希望が出たとき、迷いなくこの会社を選んだ。
 
 ラグーザからコーミソへ向かう道は、日光の「いろは坂」のようなカーブ一本のみ。ジョヴァンニ氏も含むワイン好きを7名を載せた青いワゴンは、そこを弾むように下っていった。
f0133814_0212594.jpg 道中、コーミソ出身の作家ジェズアルド・ブファリーノGesualdo Bufalino(1920-96)と、画家サルヴァトーレ・フィウーメのSalvatore Fiume(1915-97)の話、30年以上コーミソにいる日蓮宗の僧侶の話!、ジョヴァンニ氏が柔道黒帯で子供にも教えている話!、そしてヨーロッパでピアノ留学中の日本人が彼女という事実!!、と次々と出てくる驚きの話題であっという間にアヴィデに到着。

 アヴィデの職員に迎えられ、英語のできるマルコ氏が案内をしてくれた。ワイン愛好家のジョヴァンニ氏も我々と一緒に見学。

 左は絞りたての葡萄ジュースを入れ、一時醗酵させる樽。


f0133814_23563487.jpg この螺旋状の刃物がついた巨大な装置は、収穫された葡萄を入れ、果実と茎を分けるもの。
 果実は下に落ち、茎や葉はベルトコンベアーであちら側に運ばれ、豪快に地面に捨てられる。写真奥に山盛りの葉と茎が見えている。

 実は、ここに来る前に寄った八百屋で、思いのほか時間を費やしてしまい、葡萄投入の11時に間に合わず・・・。全て作業後の写真。

f0133814_2357823.jpgf0133814_23574133.jpg
 写真左:白い葡萄の果実が少し残っている。
 写真右:茎や葉はこうして運ばれる。

f0133814_2358934.jpg 先ほどの白い葡萄は、この機械で圧搾されてモストmostoと呼ばれるジュースになる。醗酵される前の絞りたては天然の甘み!
 つい飲みすぎてしまうと、翌日は下痢するので要注意(ルカ談)。
 ちなみにこれは、シチリアの白、インゾーリアInzolia。ああ、グラスをそこに伸ばして飲めれば・・・。

f0133814_005014.jpg 一方、こちらはシチリアの赤、ネーロ・ダーヴォラNero d'Avola
 果実を圧搾し、皮と分けているところ。白のインゾーリアはじゃぶじゃぶ流れていたが、こちらは空気に触れない仕組みになっている。

 皮と果実をどのように分けるのか、姉はかなりしつこく質問していたが、結局良く分かんなかったけどまいっか。理系人間は科学的な説明を求める体質、でも輝く理論がなければあっさり忘れる。

f0133814_720112.jpg 機械で分けられた葡萄の皮はこの通り。まるで赤土色。
 これは肥料にしたり、牛の飼料にしたり、業者に売られ再利用されるそうだ。それを聞いて
 父:これはグラッパにはしないの?
 おぉ、それはなかなか良い質問!でも、マルコ氏は既に肥料か飼料と説明済み。
 マルコ氏:いえいえ、これは飼料用ですから。グラッパにするには別のもので・・・。
 父:でもこれでやってみたら結構美味しいのができるんじゃないの?
 マルコ氏:牛用のグラッパでしたら・・・。
 父:うっひゃひゃ!

 ワインの香りに包まれ楽しい雰囲気。続いて、巨大なエレベーターに乗って一同地下へ。
 昔のワイン樽がある空間を通り、アヴィデのコレクションと受賞ワインのコレクション・スペースへ行くと・・・。
f0133814_4582558.jpgf0133814_0293859.jpgf0133814_026342.jpg

f0133814_0225491.jpgf0133814_0222516.jpgf0133814_593824.jpg

 アヴィデの珠玉の一品、バロッコBaroccoが大切に展示されていた。1988~1992年のラベル(イタリア語ではエティケッタetichetta)には、ジョヴァンニ氏が教えてくれたコーミソ出身の画家フィウーメの絵が用いられている。
 上左から順:ラグーザのサン・ジョルジョ大聖堂(ドゥオーモ)、カンチェッレリーア邸(旧市役所)、ベルティーニ邸の貧乏人の彫像、サンタ・マリーア・デッリートリア教会の鐘楼、コセンティーニ邸のセミヌード女性の彫像。そしてカスメネーオという白ワインには、シチリアの農民を描いた一枚。

 こうして見ていると、ラグーザの歴史に対する画家の深い愛と、地元の画家を誇りにするアヴィデの人々の心、さらにシチリアの大地で育まれるネーロ・ダーヴォラへの深い情熱が、一本一本に凝縮されている気がした。
 これはただの「バロッコBarocco」ではなくて、定冠詞を付けて「あのバロッコIl Barocco」と言うに相応しい、素晴らしいワインですよ、とジョヴァンニ氏。全くの同感。様々な賞を獲得したこのワインの凄さは、筆舌に尽くせない。

f0133814_5151449.jpg さらにマルコ氏の後をついて木の階段を登ると、待ちに待ったテイスティングに!
 7人分のグラスがカウンターに並べられ、心躍る一同。運転があるから、と最初は断っていたジョヴァンニ氏も、ほんの一口だけ味見。

 最初の試飲はフラッパートFrappato(左の赤いラベル)。少し軽めで我が家ではロゼのように飲みます。例えばローストのチキンとポテト、魚料理なんかにも。とマルコ氏。
 香りはしっかりだがフルーティで後味も軽やか、でもロゼよりは濃く、香草の効いた料理に良く合いそうだ。魚=白ワイン、という考えを払拭させた一本。
 次はトレ・カラーティ3 Carati。葡萄一粒が、この地特産のイナゴマメの種3粒と同じ重さであることから「3カラット」の名が付いた。農家の生計を支えた重要な産物イナゴマメを、ダイヤのカラットに見立てたその命名に感動。このワインへの思いがますます強くなった。
 その味は・・・。ああ何も語りたくはない。豪飲一家も、ただう~んとうなる。良酒は口にして言葉なし。

 見学とテイスティングを終えて向かった先は、社内のワインショップ。あれも、これも、と合計21本も買った豪飲一家にイタリア人の皆さんは相当驚いていた。
 ジョヴァンニ氏はチェラスォーロ・ディ・ヴィットーリアCerasuolo di Vittoriaを1本買い、車に置きに行った後またもう1本買い、しばらくして美しいワイン贈答用の木箱も買い、ここにお客さんを連れてくると全然仕事にならないことが分かりましたよ、と笑っていた。

AVIDE サイトも充実(伊・英)

人気blogランキングに参加中 ラグーザのワインに乾杯!
[PR]
by hyblaheraia | 2007-10-02 05:16 | 料理 | Comments(12)
Commented by 電りくヒルズ at 2007-10-02 10:02 x
頭が働かず、かなり上の空状態でマルコ氏の説明を聞いていたので、hyblaheraiaさんの解説に今さらながら「ほぉ~っ!」とうなづいています笑。特に、トレ・カラーティの名前の由来があいまいで、3粒分の豆の名前がどうしても思い出せず、「ヤコブ豆だっけ?」と適当なことを言っていたくらいなので、「イナゴマメ」がわかってスッキリしました!こんな朦朧とした頭だったにも関わらず、ティスティングタイムになった瞬間に覚醒した私。それほど魅力的なシチリアワイン♪本当に美味しかったです!予約ありがとうございました。
Commented by saku at 2007-10-02 14:04 x
おぉー素晴らすぃー。
ラグーサに行ったら、しなくてはいけない事がまたひとつ増えてしまいましたなぁ。。。
あんまり覚えてないんだけど、私ってアヴィデ社AVIDEのワイン飲んだことあるのかなぁ、、、??
こういう所の人は、ちゃんと英語も出来るのね。
お父様のグラッパの質問のところの描写が笑えます。うっひゃひゃ!
Commented by P405 at 2007-10-02 17:48 x
シチリアのワイナリーは規模が大きくて設備が近代的な所がとても多いですよね。また、私達はエトナのワイナリーを何件か周りましたが、どこも高い価格設定(8~20ユーロ)で当初とても驚きましたよ~。同じ値段でブルゴーニュやボルドーの何年も寝かせられるなり良い物が買えますもの。フランスから来ると普段の食事のワインにはかなり贅沢な値段だと思えるのですが、地元の方の感覚ではそう高くは無いのでしょうか??
AVIDE、近くに行ったら是非寄ってみます!
Commented by 森田学 at 2007-10-02 18:20 x
ワインの作り方、勉強になりました。6年余りイタリアにいたけど知らないことだらけです。ありがとう!
それから、(事後報告ですみません)リンクさせていただきました。
Commented by hyblaheraia at 2007-10-02 22:13
>電りくヒルズさん、「ヤコブ豆」には思わず吹き出してしまいました!確かに語呂は似ている!
ワイナリーの説明は私も理解不十分でした。父と姉が、どうして、なんで、どうやって?と理系の質問を浴びせるので、マルコ氏は英語で苦戦していましたね。次回はもっと一般人向けの簡単な説明を受けたいです。
Sigilloを飲んでみた?すっばらしいワインですよこちらも。アヴィデ、ますます好きになりました。また行きましょう!
Commented by hyblaheraia at 2007-10-02 22:30
>sakuさん、ラグーザでやることリスト&食べるものリストを着々と書き進めておいてくださいね。sakuさんはアヴィデのワインは、まだ飲んでいないような気が・・・。でも樽ワインの貴重な経験者ですよ!
英語ができる人がいるとは思わなかったので、通訳係もほっと一安心でした。やっぱり専門用語は予習しておかないと分からないので。父の発言は真剣に相手をすると疲れるので半分放っています。ルカはいつも「お父さんカワイソウ」と同情していますが・・・。
Commented by hyblaheraia at 2007-10-02 23:14
>P405さん、おっしゃる通り最近はワインの質の一定・大量管理のため機械化されているのが一般的なようですね。隣町ヴィットーリアのCOSコスも近年大きくなった会社と聞いています。
値段は確かに安くはありませんが、こういう良質ワインを地元の人は特別な日の一本として楽しんでいるようです(ジョヴァンニ氏もパーティーに持って行くと言っていました)。普段のテーブルワインは1.5~3.5ユーロのスーパーで売っているネーロ・ダーヴォラで十分です。さらにお手頃なのは樽から直接量り売りしてもらう方法で、ネーロ・ダーヴォラ2リットルで3ユーロとかなりお得です。味見もさせてくれるので間違いがありません。もっともっとお得なのは、ワインを作っている友人からのお裾分けです(ニコニコ)。
フランスからシチリアにいらしたんですか?まぁステキ!ヨーロッパの美食文化の中に常にいらっしゃるんですね。
Commented by hyblaheraia at 2007-10-02 23:22
>森田学さん、ワイナリーなんて留学中にはなかなか行かれないものね。もう少し詳しい説明ができれば良かったのだけど、私もイマイチ理解できていなくて。
リンク、森田先生のブログで発見したので、私もリンク入れちゃいました。
Commented by なこり at 2007-10-02 23:23 x
読んでますー!ナポリからです。
ラグーサ(いや、ラグーザでしたね)の文化や歴史の記述も大変興味深く拝見しましたが、ご家族との珍道中(失礼)、はまりますわ~、ほんま。
特に、ヤングチームとシニアチームのコントラストとお父様の名珍発言に目が離せません。今後も期待してますよ~。
ちなみに、私はMをやめて(!?)ここEXに引越し準備中です。(もうUPしたのですが、未完成です。実は)気軽に読んでもらえるし、文字や配置も見やすいし、機能も使いやすくていいですね。(なぜ?ベタボメ)
ではでは
Commented by hyblaheraia at 2007-10-03 06:44
>なこりさん、見付かってしまいましたね!世間は狭い狭い。
珍道中ブログを書いていると、家族の体質が現れるのか、文体も内容もズルズルに崩れていきます。以前は友達に「ちょっと硬いブログかな」と言われていた頃が懐かしいです。そろそろ別の話題に行ってブログの格上げを図らねば!
exblogは確かに使い易く、見易いです。ネームカードを設定すると画像は1Gまで容量が増えますよ。なこりさんのブログ、楽しみにしています。
Commented by nonnakaori at 2007-10-03 13:58 x
お祭り以来なかなか更新がないと思っていたら、一気に更新されていて、慌ててよんでます。日本からのご一行様がいらっしゃり、お忙しいでしょうが楽しそうですね。お母様のなんでもあなたにもってきたいお気持ちよくわかります。
こちらのワイナリーは、機械化されてすごくりっぱですね。
↓のお写真は、家の中の階段ですか?
すごいですね。大理石だ。お家からの眺めが良さそう!
Commented by hyblaheraia at 2007-10-03 14:36
>nonnakaoriさん、こんにちは。家族5+私たち2=7人で移動したり食事したり、想像以上にパワーが要りましたが楽しかったです。nonnakaoriさんも和食支援をなさっているんですね。フィレンツェで和食パーティーをなさった記事も読みましたが、どこのお母さんも同じですね。
階段の写真は我が家です。あまり嬉しくない階段なので、大理石であることを忘れていました。でもテラスからの眺めは最高です!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

掲示板

最近は・・・
早寝早起きして新しいことに挑戦中!
16/11/2016


迷惑コメント対策で承認制にしております。
::::: ::::: :::::

自己紹介に代えて


ご連絡等はコメント欄にお願いいたします

::::: ::::: :::::


2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


Locations of visitors to this page
2010年2月16日リセット
世界の赤い花びら!


Click for Comiso Air Station, イタリア Forecast

今日の月はどんな月?



ラグーザ ホテル

カテゴリ

全体
自然
生活
歴史
祭り
伝統・技術
料理
菓子
変わった野菜と果物
野鳥・昆虫・動物
大学・研究
政治・社会
音の絵:写真と音楽のコラボ
シチリア他の町
イタリア他の町
ナポリの実家
一時帰国
ブログ・・・周年とゲーム
未分類

タグ

(60)
(50)
(46)
(42)
(40)
(38)
(36)
(35)
(35)
(34)
(31)
(27)
(22)
(21)
(20)
(15)
(14)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(9)
(8)
(8)
(8)
(8)
(7)
(6)
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(2)

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

以前の記事

2016年 11月
2016年 10月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 02月
more...

最新のコメント

明けましておめでとうござ..
by アイシェ at 07:35
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:11
牛乳と油で生クリームがで..
by Mchappykun2 at 01:30
> アイシェさん それ..
by hyblaheraia at 17:09
今人間ドックが終わったば..
by アイシェ at 11:48
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:20
> 鍵コメさん は..
by hyblaheraia at 13:37
東京にいらしていたのです..
by Mchappykun2 at 01:31
> 鍵コメさま ご心配..
by hyblaheraia at 19:29
> ゆうゆうさん 素早..
by hyblaheraia at 07:18

画像一覧

ブログジャンル

海外生活
音楽

検索

記事ランキング

ライフログ











お気に入りブログ

生きる詩
gyuのバルセロナ便り ...
ルーマニアへ行こう! L...
写真でイスラーム  
エミリアからの便り
アフガニスタン/パキスタ...
イスラムアート紀行
夫婦でバードウォッチング
La Vita Tosc...
パリ近郊のカントリーライフ
トルコ~スパイシーライフ♪
now and then
Vivere in To...
シチリア時間Blog
フィレンツェ田舎生活便り2
ふりつもる線
ちょっとスペインの別荘 ...
ぐらっぱ亭の遊々素適
ヴェネツィア ときどき ...
石のコトバ
ボローニャに暮らす
フランスと日本の衣食住
イタリア・絵に描ける珠玉...
cippalippaの冒...
スペインのかけら
Berlin Bohem...
VINO! VINO! ...
::: au fil d...
sizannet
イタリア料理スローフード生活
ペルー と ワタシ と ...
しの的エッセンinドイツ
PoroとHirviのとおり道
料理サロン La cuc...
カッラーラ日記 大理石の...
イタリアの台所から
オルガニスト愛のイタリア...
Animal Skin ...
しのび足
道草ギャラリー
白と黒で
ちまもの読書日和
andante-desse
il paese - p...
やせっぽちソプラノのキッチン
坂を降りれば
A Year of Me...
お義母さんはシチリア人
Espresso!えすぷ...
シチリア時間BLOG 2
London Scene
hatanomutsum...
小鳥と船
mi piacciono...
カマクラ ときどき イタリア
やせっぽちソプラノのキッチン2

外部リンク