パスタ・アッラ・ノルマ -ラグーザ風-

f0133814_17592469.jpg シチリアでナスは一年中手に入る。春は薄紫色の丸いヴィオレッタ、夏はカボチャのような形をした巨大ナス、秋から冬にかけてはよく太った楕円形ナス、と季節によって種類も豊富。
 最近ナスを買うとこの通り、手の平からはみ出るほど大きい。そして黒光りしている。でも皮は薄くて柔らかく、果肉も甘い。

 こんなナスを見たら食べたくなるのが、やはりパスタ・アッラ・ノルマPasta alla Norma、つまりノルマ風パスタだろう。f0133814_2048846.jpgシチリアでは一般的な、ナスを使ったトマトソースのパスタで、その名はカターニア出身の作曲家、ベッリーニVincenzo Bellini(1801-35)のオペラ、《ノルマNorma》から来ている。
 使われるパスタのタイプは地方によって様々で、ノルマのピッツァ版(ピッツァ・アッラ・ノルマ)もある。もはや一般的なイタリア料理にさえなっているこの料理、「~~アッラ・ノルマ」といえば、ナスとトマト・ソース、そして表面にリコッタ・サラータ(塩味リコッタ)がトッピングされているもの、と思えば良い。

f0133814_18533216.jpg ラグーザではこのカヴァテッリcavatelli(ラグーザ弁ではカヴァティッドゥcavatiddu)がよく使われる。近所のラヴィオリ屋さんの自家製カヴァテッリは、買いたてはまだフレッシュで柔らかく、むっちりとした食感が病みつきになる。ちなみにこれは300g。ルカと二人でこの量は食べすぎか・・・。

 このノルマ風パスタは下準備のナスの素揚げが命。ナスを一口大に切り、サラダ油のような軽い油でさっと揚げる。オリーヴ・オイルを使うとカリッと揚がらず、胃にもたれるので要注意。
 次はトマト・ソースに取り掛かる。フライパンに今度はオリーヴ・オイルをたっぷりと敷き、弱火にかけ、にんにく一片とペペロンチーノ(唐辛子)を入れ、香りを出させる。この時、にんにくは決して刻まずに!そして香りが出たら取り出して捨てるべし。味に深みを持たせるためのものだから、臭いと料理の品が無くなるというものだ。
 続いてこのフライパンにトマト・ソースを入れ、しばらく中火で火を通す。グツグツしてきたら弱火にし、焦げ付かないようにヘラで何度も返すのがコツ。「よく調理されたソース(salsa ben cottaサルサ・ベン・コッタ)」という言い方があるように、トマト・ソースは煮るのではなく、炒めるというのが我が家の信条。入念に炒めつつ、シチリアの赤ワインネーロ・ダーヴォラを少々入れる。量はお好みで。さらにバジリコの葉を5~6枚、半分にちぎってソースに入れる。このフレッシュさも不可欠。

f0133814_1982180.jpgf0133814_20131024.jpg
 トマト・ソースに濃さが出てきたらパスタを茹で始めよう。その間、ソースは弱火で炒め続けるが、水分が飛ぶので、パスタを茹でる鍋からをスプーンですくってソースに入れる。ヘラでソースを返しながら何度も泡を足していくうちに、小麦粉のグルテンが混ざり、ソースにとろみが出るのである。さらにパスタとの絡まりも抜群になる。
 トマト・ソースが十分炒まったら、素揚げしたナスを加えて絡める。ソースは常に弱火のままで、リコッタ・サラータを削ろう。


f0133814_2016236.jpgf0133814_20174636.jpg
 リコッタ・サラータには山羊の乳による3種類がある。保存食用に塩を混ぜて乾燥させたもので、口当たりはさらっとしていて、ふんわりとしたミルクの味に、後から塩気がすーっと滲み出てくる。この塩気がワインのつまみやサラダ、ズッキーニの炒め物、ポルペッタ(肉団子)などに良く合う。いろいろな使い方があるが、王道はやはりノルマだろう。ナスとトマト・ソースのパスタにこれがなければ、ノルマとは言えない
 今回使ったのは牛のリコッタ・サラータ。550グラムでわずか1.7ユーロ。塩気が強いものは細かく、薄いものはスライス、とリコッタの塩加減に合わせて削り分ける。


f0133814_20313959.jpg 茹で上がったパスタをソースに絡め、皿に盛り付けてからリコッタ・サラータをたっぷりかけて出来上がり。
 ネーロ・ダーヴォラとともに夢中で食べるひととき。ああ、ラグーザに住む幸せがまたここに。

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by hyblaheraia | 2007-07-29 20:33 | 料理 | Comments(8)
Commented by Gina at 2007-07-29 21:29 x
リコッタ・サラータって初めて聞きました。
あんなに万能なリコッタチーズなのに(クセもないので、日本の万人受けすると思うんですが)、なかなか日本では手に入らないんですよね。

どんなお味がするんでしょうか?
Commented by hyblaheraia at 2007-07-29 23:49
>Ginaさん、確かにリコッタは日本ではあまりなくて、あっても少量で高額ですよね。
「どんなお味」というお題を頂いて、文章を書き足しました。さらりとした食感と塩味で、何にでも合います。保存が利くので、イタリアにいらした際には、お店で真空パックにしてもらって持ち帰れますよ。
Commented by 子ボリス at 2007-07-31 01:11 x
お・い・し・そ・う!!!!ラグーザでの食べ物リストに追加させていただきました。うししししし。
親ボリスが食べたいようで、早速リコッタ・サラータを入手したもよう。さすがにCavatelliは手に入らないと思うので、他のパスタで代用してみまする。
Commented by hyblaheraia at 2007-07-31 02:24
>子ボリスちゃん、ラグーザ食べ物リストなるものが着々と綴られているのですな。よしよし、これぞ正しいラグーザ滞在のあり方です。
それにしてもリコッタ・サラータをご購入とは、さすが親ボリスさん!東京でも売っているのですか?どこでしょう?場所だけでなく、お値段も知りたいところです。
パスタはペンネがお勧め。ロングパスタならやや太めのものでね。Buon appetito!
Commented by 親ボリス at 2007-08-12 13:33 x
リコッタ・サラータ?を横浜・馬車道のイタリア食材屋さんで購入。
830g ¥3,402。100g 410円 なので、そちらの8倍強。
“?”の理由…お店の口上の変化が「ビミョウ」だった。
「えっ、予約したんですか」(在庫ないよ、どーする、みたい)
→「同じような種類のがあります」
→「シチリアのリコッタですから、ほとんど同じです」
→「これがリコッタ・サラータです」
→(帰宅して開けてみたら、シールにボールペンで書かれていた)「リコッタ・サラータ」
Commented by hyblaheraia at 2007-08-14 21:15
>親ボリスさん、やはり日本でチーズは高いのですね。ラグーザ人が聞いたら驚くと思います。
「ボールペンで書かれたリコッタ・サラータ」のお味はいかがでしたか。
お店の方は、シチリアのリコッタなのか、シチリアのリコッタ・サラータなのか、果ては他の町のリコッタ・サラータなのか?だったのでしょうか。まだまだ無名なチーズということが良く分かりました。
Commented by shun fenomenale at 2013-05-01 17:56 x
初めまして。なんとなくシチリアの記事を追いかけていてたどり着きました。
懐かしいですね、ラグーサ!

イブラにあるドンセラフィーノで05年(星を取る前年)に仕事をしていました。

今は帰国して日本でやっていますが…

今後も機会を見て拝見させて頂きます!
Commented by hyblaheraia at 2013-05-06 01:53
●shun fenomenaleさん●
初めまして。コメントありがとうございます。
2005年にドンセラフィーノにいらしたんですね!その年は友人や家族と一緒に数回食事に行きました。確かに、日本人のシェフがいるとリストランテの方が仰っていました。shun fenomenaleさんだったのですね~。
シチリア料理をぜひぜひ日本に広めて下さい。

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