ラグーザ名物「老人バス」

 ラグーザには1番から9番までの市内バスASTが平日はほぼ毎日、1時間置きほどの間隔で走っている。これらのバスの主たる乗客は、ビジネスマンでも学生でもなく、老人たちである。市場の買い物袋を両手に提げたおばさんもいるものの、およそ90%は老人男性で占められていると言っていいだろう。

 詳しいことは良く知らないが(まだ若いので)、老人パスのようなものがあり、市バスは全線無料で乗り放題のようである。お爺さんたちは自宅近くからお気に入りのバスに乗り、午前中は次々に乗り込んでくる友人(お爺さん)たちとバスの中で話に花を咲かせ、お昼頃になると自宅にご飯を食べに一端帰る。そして多分、午後もこうやってバスで過ごし、街角のどこかで降りて立ち話をしたり、バールでカフェを飲んだりして、気が向いたらまたバスに乗り、晩ご飯の頃に奥さんの待つ家に帰るのだろう(まる一日観察したことがないので分からないが)。
 こういう日がな一日バスで遊ぶことを、老人たちは「ジレットgiretto、ちょっと一回り」と言っていた。「じゃ、ちょっと回ってくるよ」なんて言いながら出掛けるのだろう。この「老人パス」は、もはやラグーザ名物の感さえある。

f0133814_958735.jpg 今日は町外れのオフィスに用があり、新市街の国鉄ラグーザ駅前広場から7番のバスに乗った。始発から乗ったはずなのに、バスはなぜか老人たちで満員。一向に降りようともしない。そう、彼らはこの7番でぐるぐるジレットの真っ最中なのである。
 いつも不思議に思うのが、老人はみなワイシャツにジャケット、ループタイ、革靴でシャキッとよそ行きの服装をしていることだ。寒くなる頃には、これにシチリア弁でタスコtasco、ハンチング帽・別名コッポラ帽)と呼ばれるを帽子が加わる。ちなみにこのタスコは、市内の農業用具店で売られている。

 それにしてもお爺さんたちは元気だ。友達が乗ってくると、「チャオー、おう、どうだい。変わりないかい?Ciao, ou, come'? Tutto a'puost?(ラグーザ弁:チャオー、オウ、コメ?、トゥット・アプゥ~オシュトゥと発音。正しくはTutto a posto?トゥット・ア・ポスト)」と大きな声で挨拶。ハグや握手などした後は、最近誰が亡くなったとか、入れ歯の話とか、政治やサッカーなど、まぁいろいろな世間話に盛り上がる。「このバス、○○に行きますか?」と運転手に聞こうものなら、一斉にお節介を焼き始める。そしてどういう訳か席が一つ空くと、そこへ移動し、またどこかが空くと移動し・・・と、とにかく忙しない。
 それに今日は降車用ブザーが1つしか機能せず、偶然そのブザーの前にいたルカ(夫)は、あっちの老人やらこっちのおばさんやらに、「鳴らして!」と注文を付けられ、フラフラ席を変える老人が倒れないかと気を遣いつつ、目的地に着く頃にはすっかり疲れていた。

 我々も将来、「ルカ爺さんや~、ジレットしましょうかねぇ」、「ヒブラヘライア婆さんや~、じゃあ8番にしましょうかな」などと言いながら、ジレットをしているだろう。
 そんな老後が今からちょっと楽しみである。

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世界遺産の建造物巡りに疲れたら、お爺さんたちとジレットも良いかも。ラグーザ市民の日常が良く分かる7番、お洒落なヴィッラ風邸宅街を通る8番、郊外に広がるムーロ・ア・セッコとカッルーボ並木を堪能できる6番、などがお勧め。チケットは85セント、市内のタバッキで買える。
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by hyblaheraia | 2007-06-01 10:19 | 生活 | Comments(0)
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