情報の帰属 -ランペドゥーサの問題を通して-

 昨年末から始まったチュニジアの民主化運動のニュースを観ながら、これはシチリアが大変なことになるだろうと思っていた。予想通り、2月に入ると3000人の難民がボートでシチリア南部のランペドゥーサ島に押し寄せ、イタリアのレプッブリカ紙ではトップニュースとしてこれを扱い始めた。

f0133814_1181417.jpg (左地図はwikipedia「ランペドゥーサ島」より部分転載)

 ランペドゥーサ島は、左の地図中に黒で囲まれた場所に位置している。アフリカから最も近いヨーロッパであるこの小さな島には、例年、何千もの難民がボートで漂着しており、既にパンク状態の難民保護施設を巡り、今後どれだけ難民が到着するのか、それに耐え得るだけの人道支援が可能なのか、島の治安はどうなるのか、先が見えない中での緊張と不安が高まっている。

 この件について、先週このブログにもちょっとした影響があった。以前にランペドゥーサについて書いた記事が、某大手ニュースサイトに(知らぬ間に)リンクされていて、その日は一日3100人という驚きのアクセスを記録したのである。宝くじの記事をアップした翌朝だったので、皆様の関心の高さの表れかと思いつつも、異常な数字に気味悪さを感じ、アクセス解析をした次第。
 どのような方法であれ、シチリアの深刻な難民問題について、日本の方々に広く知っていただけたことは良かったと思っている。読み返してみると多少熱くなり過ぎの文体が気になるものの、現地住人が抱いている切迫した感覚が伝われば、私的ブログとしてはそれで良いと思っている。しかし、だからこそ、こういう主旨で書かれた記事を大手サイトが海外ニュースの外部ソースとして使うことに違和感を感じてしまう。私の記事でいいんですか?とつい言ってしまいたくなる。情報入手が容易なネット社会では、個々の情報の質と帰属 attribution に対する意識が薄れているのではないかと危惧してもいる。

 チュニジア以後、エジプトが民主化を成立させ、現在はリビアが非常事態に陥っている。北アフリカからランペドゥーサ島への難民増大はもはや歯止めの効かない状況である。
 「ランペドゥーサ」と検索をかけても、ヴィスコンティの映画《山猫》の原作者、G. P. ランペドゥーサしかヒットしないネット環境だからこそ、シチリアに住む同じ外国人として、アフリカからの難民について感じることを、ブログという自由な情報発信ツールを通して、私の言葉でこれからも綴っていけたらと思う。

リンクされた記事はこちら 「ランペドゥーサ -難民の怒り-」


リンクフリーと明記していますが、個々の記事をリンクして下さる場合は、ご一報いただけると助かります。
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by hyblaheraia | 2011-02-25 12:14 | 政治・社会 | Comments(4)
Commented by j.images at 2011-02-25 19:00 x
ご無沙汰しております。もう4〜5年前になりますが、カーラブリアを旅行中tarantoで列車を乗り過ごしてしまい次の停車駅metapontoで慌てて降りて改札(無人駅)に行ったら大勢のアフリカの人々がたむろしており、彼らが難民であるのは一目瞭然一瞬たじろいてしまった事がありました。昔、私がparisに在住していた時代、移民難民の問題は日常的に身近かな問題であり社会的にも大変大きな難しい問題である事を肌で実感した事を思い出します。ここ暫くは北アフリカ中東から目を離せませんね!、ネット社会の意識の希薄な問題(便利さ故に)この事が大きな壁である間違いないと思います。
Commented by orpheusbritanicus at 2011-02-26 02:30
こちらでシチリアへのRevolt難民のニュースを聞くたびに「ああ、hyblaさん、さぞかしご心配だろう」と思っていたところでした。

一昨日でしたかBBCのニュースショーがネットの進歩による情報流通の変化について議論していました。確かに「現地の生の声」という情報が容易く入手できるようにはなりましたが、それだからこそ的確な分析力が必要ですよね。プロのジャーナリストには「生の情報」だけにこだわるのではなく「プロの分析力」を提供して欲しいな、と思ったりしていました。
Commented by hyblaheraia at 2011-03-04 02:54
~j.imagesさん~
お久しぶりです。お元気ですか?コメントを残して下さってありがとうございます。
ターラントにもアフリカからの難民が大勢いるのですね。ランペドゥーサの施設では、パスポートなどの身分証明書がないために身元確認ができず、本国に送り返される人もいるそうです。
フランスは難民を多く受け入れている国なので、パリではシチリア以上に難しい問題があることと思います。難民の受け入れ数が先進国の中で極端に低い日本ではあまり馴染みのない問題なので、シチリアで起きていることをしっかり勉強したいと思っています。
Commented by hyblaheraia at 2011-03-04 03:19
~orpheusbritanicusさん~
遠いイギリスからそのようにご心配くださったこと、ありがとうございます。
入国の仕方はもちろん違いますけれど、私もシチリアに住む外国人なので他人事ではいられないと言いますか。彼らと一緒に滞在許可証のために移民局で何時間も並んでいると、様々なことを考えさせられます。
プロのジャーナリストの分析力、本当におっしゃる通りだと思います。私たちは日々何気なくテレビを観ながら学んでいることは、ジャーナリストの目を通した情報に基づいているのですから。
ネットの普及で誰もが情報発信者に容易になれる世の中で、情報の質を見極める目も私たちに問われているのかもしれませんね。まとまりのないお返事になってしまいました・・・。
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