昆虫学会への手紙

C教授

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(以下、オレンジの文字は私の心内語です)


 私はカターニア大学講師のルカ・C と申します。外国語・外国文学を教えており、昆虫学の専門家ではありません。
 メールを差し上げたのは、実は、最近二度ほど続けて、自宅キッチンの壁に奇妙な虫を見つけたからです[ただのクモだと思うんだけど]。その虫は黒くて小さな玉の塊を身体にまとい、その玉は卵のようにも見えました。二度とも虫の動きは垂直的で、下から上へと天井に向かっているようでした[あ、そうだったっけ]

 あらかじめ申し上げておきますと、望まれない訪問者[お、文学的表現](カブトムシ、蜂、コオロギ、クモ、蛾)が家に入っても私は殺さず、捕まえて外に出すようにしています。ただし、蚊とゴキブリ(幸運にも私の家ではまだ見たことがありません)に対する態度は違います[ホッ…]。他にも時々、テラスのジャスミンにバッタとトンボが停まっていることもあります。おそらく、この季節に無数に飛んでいるアマツバメから身を守るためだったのでしょう。


f0133814_7471474.jpg このようにして、例の奇妙な虫も殺さずに一回目は捕まえて紙の箱[紙でいいの?]に入れました(比較的容易に捕まえられ、まるで生き物ではないかのように[主観強過ぎ!]じっとして、逃げはしませんでした)。そしてテラスから隣の空家の屋根へ投げ捨てました[もう少し遠くに捨てて欲しい…]

 二回目は、これが何の虫なのか知りたい欲求を抑えきれず、紙の箱に入れました[また紙か!]。そこに水を入れると[紙の箱に水?!]、身体の周りから黒い玉が離れ、クモのように見えましたが、形が全く違うようでした[クモでいいことにしようよ~]

 インターネットで探してみましたが、これに似た虫やダニ[クモじゃなくてダニ?!]は見つけることができませんでした。私の心配は、伝染病[キョー!]や人への危険を及ぼすのではないかということです[悪い想像の天才]。そして最も驚かされたのは、写真でお分かりの通り、前足に小さなハサミ[もしやそれがダニの根拠?]のようなものをもっていることです。

f0133814_7475078.jpg こちらの環境について簡単に説明します[突然解説か]
 私はラグーザ中心の古い家に住んでおり、この季節の気候は暑く、乾燥しています。家は建物の最上階で、テラスはキッチンに隣接し、常に風が当たり、当然ながら埃や、時には赤い砂も飛んできます。近所には空家もあり、キッチンの上の屋根裏には水タンクが数個と、大量の埃があります[そこまで暴露しないで…]

 この辺りにはハト、カルデッリーニ、アマツバメがたくさんいて、特にハトはテラスを我が物顔で歩き[?!]、私の見ぬ間に排泄しますが[!!]、それでも鳥たちが我が家に巣をつくったことはありません[排泄と巣作りの関係がいまいち不明]


f0133814_748915.jpg このようなことを誰に尋ねれば良いか分からないのですが、貴殿のアカデミーがこの分野に関する権威であると思いましたのでメールしました[いきなり学会に聞くの?!]

 写真をいくつか添付します[他にも送る気だったの?]
 この生物が卵のようなものを運んでいる様子と、少々ぼやけていますが、黒い玉をまとっていない状態です[きっちり説明のA型人間]
 データが重くて申し訳ありません。短いですが動画もありますので、必要な場合はお送りいたします。[必要じゃないと思うよ]
(青色強調は本人による。)

 貴殿もしくは他の専門家の方からのお返事をお待ちしつつ、心より御礼申し上げます。

 ルカ・C

~~~  ~~~  ~~~

 世界で五本の指に入るほどの心配性のルカが、キッチンにいた奇妙な虫に危険を感じてイタリアの昆虫学会に送ったメール。えー、ただのクモじゃない~?と呑気な私とは対称的に、非常に真剣な問い合わせ内容。写真と動画を何度も私に撮らせ、インターネットで血眼になって探し、最悪のパターンの物語をあれやこれやと想像し、昆虫学会からの返事を待つ間も心配しきりで、それはもう大変。

 お返事来ないんじゃないの?と言うと、そんなことないよ!もし僕が「こんな日本語の本を見つけたのですが、誰の小説ですか?」って聞かれたらきちんと答えるよ。ヒブラだって「こんな古い手書きの楽譜が家の倉庫から出て来たのですが、誰の作品でしょうか?」って問い合わせが来たら、そうするでしょ、と。
 なるほど、自分の専門のことを聞かれたら、つい熱くなって説明してしまうだろうな。それが珍しい作品だったり、未発見生物だったりしたらなおさら!
 
 きっと来る・・・、いや、笑って流されるだけか・・・。
 昆虫学会から返事は来るのか?!

 この虫が何だか分かりますか~~?
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by hyblaheraia | 2010-08-27 06:47 | 野鳥・昆虫・動物 | Comments(6)
Commented by luna at 2010-08-27 10:05 x
大変ご無沙汰しておりますが、性懲りも無く、またもや虫の話題に反応してしまいました。昆虫学は専門外ですが、生態からして、クサカゲロウの幼虫のなかまではないかと推察されます。
http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200707150000/
Commented by N. M. at 2010-08-27 20:34 x
ルーカさん、Born-scholarなのですね。素敵です。私自身、こんな仕事をしているにも関わらずちっとも学究的でないので憧れます、そういうタイプ。
Commented by ai-pittura at 2010-08-27 22:44
お久しぶりです。
そちらも暑いですか?
お手紙、おもしろすぎて爆笑してしまいました!
ルカ、あいかわらず素敵ですねー。
hyblaさんもそうなんですがおふたりの熱き探究心と知的好奇心と
忍耐強さが普段の研究の密度の濃さを物語っています。
新種発見の折にはルカと名付けましょう!
学会からのお返事楽しみにしています。
Commented by hyblaheraia at 2010-09-06 11:10
~lunaさん~
お元気ですか?この記事を書きながら、lunaさん来て下さるかなぁ~と考えていました。そして翌朝、コメントを開けた瞬間、あーlunaさんだ~!と歓声を上げました!やっぱり来て下さったんですね。実は密かにお待ちしておりました。嬉しいです!
この素人写真と素人の意味のない恐怖メールから、昆虫をずばり言い当ててしまうとは!lunaさんのご専門は虫の生態を関連分野に含むもの、ですか?オーストラリアの変わった植物とかかなぁ、と想像しています。
教えて下さったサイトをルカとじっくり見ました。すごくリアルですね。ハサミとうぶ毛がはっきり見えて、あのC教授の文章が頭に甦ってきました。ありがとうございます。
虫ネタ、まだありますのでまたお待ちしております!それ以外でももちろんぜひ。
Commented by hyblaheraia at 2010-09-06 11:26
~N.M.さん~
こんにちは!ルカの心配性は、最初は笑っていましたけれど、最近はあまり耳を貸さないようにしています(内緒です!)。全部聞いていると、もうこの世の終わりみたいになってしまうので。
この家は夏になるといろいろ虫が入って来てハラハラします。昆虫学者の方に一度、泊まりに来ていただきたいくらいです。

N.M.さんのこの夏のご研究発表、ご成功おめでとうございます!素晴らしいです!イタリアの重鎮と同じ立場でお話できるなんて、ご研究内容ばかりでなく、N.M.さんの余裕ある円熟味を感じます。私だったら、何この子供?!って見られてしまいそうです。ダメだなぁ~。
Commented by hyblaheraia at 2010-09-06 11:32
~ai-pitturaさん~
こんにちは!最近、全然そちらにコメントしていなくてすみません。でも全部読んでますよ。お二人のご活躍もおめでとうございます。こちらは、お二人のラグーザ訪問からちょうど一年経ち、サン・ジョヴァンニ祭りも終わりました。早いですね。
昆虫学会へのメール、笑っていただけましたか?ね、ルカっぽいでしょう?私もメールを読みながら、もう噴き出してしまって。まさかこんなメールを送っているとは思わなかったので、なおさら。
残念ながら新種発見ではなかったんですけれど、思い出に残るエピソードとなりました。相変わらず虫に愛されている家です。
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