色への愛しみ -日本の伝統色-

 バイオリズムが狂って変に早起きになる時がある。朝5時半に目覚め、まだ寒いのでベッドの中で考え事をしていたら、頭が冴えてきて寝ていられなくなった。

f0133814_7283465.jpg
 外は気温10度。4月末なのに息が白い朝、東の空の暖かい色を鳥たちとともに見つめる。

f0133814_732125.jpg
 灰桜、水柿(みずがき)、一斤染(いっこんぞめ)、穴色(ししいろ)、鴇色(ときいろ)、撫子色、桑の実色。淡い色の帯がたなびく空を背に朝日を待つ。
 日本の伝統色の名前はなんと表現豊なのだろう。

f0133814_7323734.jpg
 朝陽が現れる方角は真朱(まそお)色。

f0133814_733088.jpg
 光が次第に近付いて来ると、紅緋(べにひ)色となる。この静かに燃える色の熱さが好きだ。

f0133814_7334032.jpg
 輝きを増し始めると、橙色、黄赤(きあか)、赤橙、金赤(きんあか)、照柿(てりがき)となり、

f0133814_7345585.jpg
 強烈な光は中黄(ちゅうき)、向日葵色。その周囲は赤朽葉色(あかくちばいろ)、肉桂色(にっけいいろ)、丹色(にいろ)、 鉛丹色(えんたんいろ)。

 グラデーションという便利な言葉でごまかしてしまいそうな色の襞の一つ一つを、繊細に感じ、愛おしむように美しい名前を与えた日本伝統文化の美意識。覚えられらないほどの色の数に、昔の人々の心に渦蒔く鋭い感性を感じずにはいられない。
 刻々と変化する空の色の襞を、愛おしく名前で呼べるようになりたいものだ。

[PR]
by hyblaheraia | 2009-04-29 08:44 | 自然 | Comments(15)
Commented by vruocculu at 2009-04-29 09:52
こんにちは。
日本の色彩というものは、本当に素晴しいと思っています。
空気までも一つの色として重ねの着物で表現し、それがそのまま
日本人の感情になっている。 本当に繊細な表現、感情。
灰桜、水柿、。。。の景色の中の空気は薄色で表現し、その次の
真朱色の手前の空気は中倍白。。。。本当に繊細であると思います。それをラグーザの空の下で感じているhyblaさん。。。。
素敵ですね。やはり、何処にいても、時空を飛び越えられる
hyblaさんの感覚大好きです。
Commented by アイシェ at 2009-04-29 18:36 x
無限段階に変化する色調の一瞬一瞬を捉えてそれぞれに名前をつけていく。いにしえの人々の感性に改めて驚く一方で、その時代の人々は誰もが本当に自然に寄り添って暮らしていたからこそ、今の私たちが気づかなくなってしまった自然界の微かな動きにも目を向け、心に留めることができたのかもしれません。hyblaさんのような美意識を私のDNAも思い出してくれるでしょうか・・・?
Commented by YuccaR at 2009-04-30 00:31
たくさんの色の名をご存知ですね。恥ずかしながら、私はほとんど知りませんでした。実際の色として覚えておられるのもすごい。シチリアの夜明けの空を見ながら・・。何と豊かな時間でしょうか。
Commented by galleriaarsapua at 2009-04-30 05:19
こんばんは。
Commented by galleriaarsapua at 2009-04-30 05:23
続きになります。
大学を卒業して色彩の魅力に取り付かれてしまって色彩の勉強をしました。
日本の伝統色の名前、とても沢山あって大いに感動しました。
平安時代の色合わせなんて今でもとても斬新でお手本にしたいですね。
でも自然の中にある色あわせには本当に脱帽です。
神様は芸術家ですね。きっと。
日本語で読む色は五感を鋭くさせるような錯覚を呼び起こしてくれます。
Commented by hyblaheraia at 2009-04-30 08:13
~vruocculuさん~
空気までも一つの色として重ねの着物で表現・・・、なんという美的感覚なのでしょうね。言葉もないです。そういうものを当時の人々が、特に説明しなくても感じ合っていたからこそ、伝統文化に「間(ま)」を重んじる美学が生まれたのでしょうね。これは日本独特の繊細な感覚だと思います。
何処に居ても時空を飛び越えられる・・・、そんな素敵なお言葉♥! ぼーっと考えごとをしているだけなんですよ。
Commented by hyblaheraia at 2009-04-30 08:36
~アイシェさん~
書いて下さった「一瞬一瞬を捉えて・・・」という言葉で思い出しましたが、小学校の国語の教科書(多分)、世界のどこかの民族の古い壁画に動物が走る様子が実に正確に描かれていると書かれていて、深く感動したことがありました。普通に見ていると、例えば馬の脚がどう動いているかよく分かりませんが、左右の脚の伸び、折れ具合と筋肉の盛り上がり方が、まさに走っているその瞬間を写真で撮ったように正確だというのです。
空の変わりゆく色にしても、動物の動きにしても、こういうものを捉える眼を現代人は失っているのかな、と思いました。
私のDNAはぼーっとしているので、じっと観察することが好きみたいです。
Commented by hyblaheraia at 2009-04-30 08:42
~YuccaRさん~
この美しくたなびく空の帯の、その一つ一つの色をどう表現したらいいのかな、と思ったときに、カラーパレットのようなものをネットで探していたら、日本の伝統色のページを見つけ、もうその色の幅とその名前の美しさに一瞬にして虜になり、私の好きな朝焼けの色を一生懸命覚えようと試みたことがあったんです。
忘れてしまった名前が多すぎて、またそのサイトに行って確認してから書きました。この名前がすらすら出てくるようになったら、空を眺める時間がもっと豊かなものになるでしょうね。
最近、物忘れが多くて困っているので、これで脳のトレーニングをしてみることにします。
Commented by hyblaheraia at 2009-04-30 09:29
~galleriaarsapuaさん~
2つコメントをいただいたようなのですが、1つ目の方の大部分が消えてしまったようです。すみません、多分、承認制のコメント欄にしたせいですね。何のお話を書いて下さったのでしょう。想像してしまいます!

平安時代の色合わせ・・・、着物や反物の柄の美しさを考えるだけで、その瑞々しい感性が想像できます。同じ日本人なのに、和歌を詠んだり、貝合わせを楽しんだり、月見をしたり、時間との付き合い方も違いますね。日本語で表わされた色の名は、自然への畏敬の念を感じさせます。自然の作る色は本当に美しいです。
Commented by jose at 2009-04-30 09:36 x
日本の色の名前は本当に素晴らしいです色自体が同じでもね自然や光、季節の移り変わりより其の色の見え方感じ方が変化して名前が変わるのです、人間の心の様を色の名前にしているのです。
昔の人は自然の色だけですが今の人ピンと来ない物も多いと思うのでもっと違う名前が作れそうです《発行ダイオード緑》とか。
そういえばうちの奥さん染色やってました、バティック作家です。
Commented by yokocan21 at 2009-05-01 03:54 x
日本の伝統色、なんて優雅な命名の仕方なんでしょうね。ほんのわずかな色の違いにも、ぴったりな名前が付けられていて、古代の人たちの感性には関心します。万葉集でも、木々の葉っぱの様子など、こと細かに観察していますよね。そういうご先祖さま方が誇りですね。
とはいえ、この私.....。全く感性もへったくれもなし。いかんいかん、これでは。アンテナ、ピーンと張って生活していきましょ。
Commented by hyblaheraia at 2009-05-01 05:29
~joseさん~
色そのものは同じでも、季節の移り変わりで見え方感じたが変化して名前が変わる・・・とは、なんという哲学的な感覚の世界なのでしょう。初めて知りました。大変勉強になりました。
発光ダイオード緑、なるほど。昔の人にはピンと来ない色ですね。joseさんのコメントで思い出しましたが、自分の研究の意義が認められず悩んでいたときに、青色発光ダイオードを開発した中村修二氏の本を読んで勇気付けられました。すっかり忘れていたことを思い出しました。ありがとうございます。
奥様はバティックのアーティストの方なんですね!子供の頃、マレーシアに住んでいたのですが、バティックの服が大好きでよく着ていました。懐かしいです。
Commented by hyblaheraia at 2009-05-01 05:37
~yokocan21さん~
ネットを探すと日本の伝統色のサイトがたくさんあって、見ているだけでも楽しく、名前がいいんですよ、これがまた。しかも難しい漢字があって、それも楽しい。読み方が歴史的仮名遣いっぽくて、響きが美しいし。もうまったりとその世界にはまってしまいます。
しかし、こんなにたくさんの名前があっても、昔の人はちゃんと覚えて使い分けられたというのが凄いです。脳の構造が違ったのでしょうね、根本的に。
Commented by soranokotozute at 2009-05-03 14:51 x
すごくいい日記だね!!私も感動した…じ~んときました。こういう日本の感覚が自分の体の中にもちゃんとあるんだな、って、ちょっと目からウロコ。
きっとほかにもたくさん、こんな潜在的なセンスが自分の中には眠っているのかも知れない、と思うと、それだけで瑣末なストレスが飛んでいくような気がしてしまいます(単純?笑)

素敵な写真と日記に感謝です。ありがとう!


Commented by hyblaheraia at 2009-05-05 06:47
~soranokotozuteちゃん~
いつも通り、~~ちゃんで呼んじゃいます。
テラスから見上げる空の色と雲のドラマティックな動きには、いつも心を打たれます。特に朝焼けと夕焼けの美しさは感動的です。だから刻々と変わっていく空の色を、忘れず、心に留めるために、名前で呼びたくなってしまうのですよ。
日本の伝統に触れると、ああこれは、と思うことがたくさんあります。それが何なのかは分からないけれど、心の底にある何かが反応してぷるぷるっと動くみたい。
ストレスは目に見えないものだけに、いつの間にか溜め込んでしまうのでしょうね。それを溜めないようにするのは、知性しかない、と最近は思うのだけれど・・・。うまく説明できないなぁ。精神活動、と言えばいいかな。
そうそう、眠っているセンスを呼び覚まし、ストレスを飛ばしちゃえ~!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


by hyblaheraia

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

掲示板

最近は・・・
早寝早起きして新しいことに挑戦中!
16/11/2016


迷惑コメント対策で承認制にしております。
::::: ::::: :::::

自己紹介に代えて


ご連絡等はコメント欄にお願いいたします

::::: ::::: :::::


2013年11月、共著出版



2009年4月、共著出版



1999年3月、共著出版


Locations of visitors to this page
2010年2月16日リセット
世界の赤い花びら!


Click for Comiso Air Station, イタリア Forecast

今日の月はどんな月?



ラグーザ ホテル

カテゴリ

全体
自然
生活
歴史
祭り
伝統・技術
料理
菓子
変わった野菜と果物
野鳥・昆虫・動物
大学・研究
政治・社会
音の絵:写真と音楽のコラボ
シチリア他の町
イタリア他の町
ナポリの実家
一時帰国
ブログ・・・周年とゲーム
未分類

タグ

(60)
(50)
(46)
(42)
(40)
(38)
(36)
(35)
(35)
(34)
(31)
(27)
(22)
(21)
(20)
(15)
(14)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(9)
(8)
(8)
(8)
(8)
(7)
(6)
(6)
(5)
(4)
(3)
(2)
(2)

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

以前の記事

2016年 11月
2016年 10月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 02月
more...

最新のコメント

明けましておめでとうござ..
by アイシェ at 07:35
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:11
牛乳と油で生クリームがで..
by Mchappykun2 at 01:30
> アイシェさん それ..
by hyblaheraia at 17:09
今人間ドックが終わったば..
by アイシェ at 11:48
> Mchappykun..
by hyblaheraia at 06:20
> 鍵コメさん は..
by hyblaheraia at 13:37
東京にいらしていたのです..
by Mchappykun2 at 01:31
> 鍵コメさま ご心配..
by hyblaheraia at 19:29
> ゆうゆうさん 素早..
by hyblaheraia at 07:18

画像一覧

ブログジャンル

海外生活
音楽

検索

記事ランキング

ライフログ











お気に入りブログ

生きる詩
gyuのバルセロナ便り ...
ルーマニアへ行こう! L...
写真でイスラーム  
エミリアからの便り
アフガニスタン/パキスタ...
イスラムアート紀行
夫婦でバードウォッチング
La Vita Tosc...
パリ近郊のカントリーライフ
トルコ~スパイシーライフ♪
now and then
Vivere in To...
シチリア時間Blog
フィレンツェ田舎生活便り2
ふりつもる線
ちょっとスペインの別荘 ...
ぐらっぱ亭の遊々素適
ヴェネツィア ときどき ...
石のコトバ
ボローニャに暮らす
フランスと日本の衣食住
イタリア・絵に描ける珠玉...
cippalippaの冒...
スペインのかけら
Berlin Bohem...
VINO! VINO! ...
::: au fil d...
sizannet
イタリア料理スローフード生活
ペルー と ワタシ と ...
しの的エッセンinドイツ
PoroとHirviのとおり道
料理サロン La cuc...
カッラーラ日記 大理石の...
イタリアの台所から
オルガニスト愛のイタリア...
Animal Skin ...
しのび足
道草ギャラリー
白と黒で
ちまもの読書日和
andante-desse
il paese - p...
やせっぽちソプラノのキッチン
坂を降りれば
A Year of Me...
お義母さんはシチリア人
Espresso!えすぷ...
シチリア時間BLOG 2
London Scene
hatanomutsum...
小鳥と船
mi piacciono...
カマクラ ときどき イタリア
やせっぽちソプラノのキッチン2

外部リンク