雨と水無し生活

 雨が続いていたので嫌な予感はしていた。既に停電が起きたので、それで悪いことは起きたと安心してしまっていたのかもしれない。水がこの数日、全く届いていなかった。土曜日の夜、蛇口から水が一滴も出なくなるまで気付かなかったとは、何とも情けない。普段からあれだけ気をつけていたのに。

f0133814_1921760.jpg 雨が降れば停電と水無し、そして全てが滞る魔の土日。25リットルのタンク4つ分は水を常備しているものの、飲めるものではない。手や顔をすすぎ、歯を磨き、フォーク類を洗い、トイレの洗浄でほぼなくなってしまう。もちろん、すすぎに使った水は桶で受けて、それをバケツにためてトイレの洗浄に利用するし、食器は使い捨てのカップと皿しか使わない。
 それなのに、この大切な水も、あっという間になくなってしまう。先進国の人間はなんて贅沢に生きているのだろう。

 とりあえず、飲料水が必要だ。近所の店は全て休みなので、歩いて15分ほどの大型スーパーまで買いに行く。水がなければ料理もできないので、すぐに食べられるチーズやハム類も買う。

 買い物用のカートに2リットルの水が12本。この重さと道路の段差で、帰りはかれこれ30分近くかかる。ルカがいなかったらどうなっていただろう。いや、私はまだ若いから何とかなる。老人の一人暮らしだったら、どうなるのだろう。


 水がない生活はこんなにもめげるものか、と毎度のことながら思う。停電や寒さにはもう慣れたが、水無しだけは本当に落ち込む。けれども、水を吸い上げる違法モーターを付けるようなことはしたくない。と言いつつ、周り近所で洗濯物が揺れるのを見ると、正直者は馬鹿を見るのだろうか、と自分に嫌気がさしてくる。
 いや、そうであってはいけない。周りに迎合せず、信念を貫き、そこから何かを学び取ることが大事なのだ。世の中には恐怖に怯えて生死の瀬戸際にいる人たちもいる。彼らから見れば、数日待てば水が溜まる生活など、何てことないではないか。どんな状況でも、不条理と戦う気持ちを失ってはいけない。
 二人で励まし合いながら、過去の水無し珍事に大笑いし、アヤヤヤヤヤー!と雨乞いダンスをし、水の大切さと、我々の信念を、身体に深く刻んだ一日だった。


追伸:ここでは水は毎日一定量、タンクに溜められるシステムです。モーター(違法)を付けていない我が家では、水が届かない事態が頻繁に起こります。シチリアの水問題については、タグの「水問題」をクリックしてお読みください。

アヤヤヤー!    


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by hyblaheraia | 2009-03-09 20:13 | 生活 | Comments(12)
Commented by ogosyu at 2009-03-09 23:39
こんにちは、お水不足大変なことになっているのね。それでもHyblaさん、きちんとリサイクルして無駄がないように使っているところに感動したよ。それに「そこから何か学び取る」これまさにおごしゅ家の方針と同じです。そう、死の瀬戸際の人のことを考えたら自分の悩みなんてそんな大事でもなんでもないのよね。そちらのほうがよっぽど大変なこと。
あのね、うちの夫婦も絶対にモーターをつけないタイプだな。違法なことはしない、これを一度やぶってしまったら、その後の人生すべて破ることが当たり前になってしまう。これだけは「私」と言う人間のプライドとしてできないことかなと思っています。
Commented by YuccaR at 2009-03-10 00:12
美しいラグーザでの生活がこんなに厳しい水や電気の事情と背中合わせだったとは!厳しさを全く感じさせなかったhyblaさんの楽しみぶりと、厳しい中で自制しておられる生き方に感心しました。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-10 07:19
~ogosyuさん~
市から供給される水の量と圧力だけでは、我が家のような3~4階建の古い家々には普通に水が届かないので、モーターを付けるのがこの町では普通というか「常識」のようです。水無しになるのは、この辺一帯でもうちだけのようですし。水を買いに行った時に会った友人は、これまで一度も水無しになったことがないと言っていました。
水はないと人は生きていかれないから、この問題が起きると、私は本当にここに暮らしていていいのか、と考えてしまうのです。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-10 07:29
~YuccaRさん~
ここは素晴らしいところです。でも最近思うのは、何かあれば無条件で助けてくれる家族も親戚もいて、町の中だけで暮らしシチリアの外に出る必要がなければ、優しい環境なのかなと。
ここに住むようになってから、いろいろなことを学んでいます。それが私の財産となるのだと思います。
Commented by YuccaR at 2009-03-10 09:44
あー、そういう感想って、人間らしいのどかな里に住んでいる時に思いますね。だから、土地のおじいちゃんたちの豊かさにとても惹かれるんですよね。若いか、多様な生き方をしていると、他の土地の暮らしとの落差を自分だけで埋めねばなりません。それが懐の深い自分らしさを育む・・・と、私は感じています。hyblaさんとは較べようもないイージーな生き方をしていますけどね。
Commented by chimamotto at 2009-03-10 10:44
大変でしたね。
雨乞い、うまくいくことを祈ります。

地震の時に、水と電気とガスがいっぺんに止まったことを思い出しました。
近所のスーパーに買い出しに行ったけど、水はもう戦時中の配給を奪い合うかのような争奪戦。他の家族の見事な連係プレーにやられ、一人暮らしの私はようやくぺ2リットルのペットボトル1本を手に入れてそれで数日しのぎました。飲料水のみの生活。
だけど、私の友人は水を買うことが出来ず、ウーロン茶で手を洗ってました・・・。
その直後、帰省できた私がみた光景は地元のデパートのレストラン前の見事な噴水。もったいないことするな!と異常に噴水に対して敵意を持ったことを思い出します。
水って人間が生きていく上で絶対に必要な大事なもの。
忘れていたことを思い出させてくれました。
Commented by yokocan21 at 2009-03-10 17:49
水の大切さ、トルコに来て初めてわかりました。(いかに日本では贅沢していたか、ということ)
トルコも、地方都市では大雨または雷雨が続くと、やられちゃいます。停電&断水。10年もいるとある程度は慣れますけど、やっぱり3日間断水は辛かったです。
hyblaheraiaさんのお気持ち、よーくわかります!自分に偽って生きていくのは辛いですよね。モーターを付けるということは、自分達に割り当てられた分以上の水を使うことになるんですよね。ということは、その人達がモーターを使わなければ、hyblaheraiaさん宅が水不足にならなくて済むということですよね。まったくねぇ。
Commented by ゆきーな at 2009-03-11 01:57 x
電気がなくても、少しはいられるけれど、水がないと、本当に大変ですね。どうして、こんなシステムなんでしょう。水不足だから、毎日数時間しか水が供給されないということですか。だから、貯水槽が必要なんですか。
うちのほうでも、貯水槽があるうちもありますが、それは、緊急用なんだと思います。断水は、何回かありましたが、普通は数時間で終わりました。近くに水場もあるので、最悪の場合もなんとかなるし。
そちらの状況は、どうすれば、根本的な問題が解決するんでしょうね。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-11 07:23
~YuccaRさん~
「他の土地の暮らしとの落差を自分だけで埋めねば・・・」という言葉に、なるほどと思いました。ここに生まれ、ずっとここに暮らす人は、ここのテンポに自然に合わせて共鳴していられるから、どこかでそれを羨ましく思っていたのです。私は一生ここに住んでも、生涯アウトサイダーだからこそ、そこを強みにしていけばいいのですね。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-11 07:35
~chimamottoさん~
雨乞いダンスは効果がありましたよ!とりあえず翌日水が少し来て、翌々日にはタンクが一杯になりました。これが持続することを願います。
地震の時のお話は、その光景がものすごくリアルに浮かんで来ました。大変な時こそ、皆で助け合わなければ、体力のある人だけがいい思いをしてしまうんですよね。
噴水のお話もchimamottoさんの怒りがとっても良く分かります。うちもこんなに水がなくて苦労しているのに、教会は噴水じゃんじゃん、近所では水をジャージャーまいて掃除していたりするから、もう嫌になります。
私も次に水が来なくなる時まで、水をいつも以上に大切に使いたいと思います。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-11 07:43
~yokocan21さん~
やっぱり日本は水道がとても整備されているし、日本人からお風呂を取ることなんてできないから、シチリアみたいなシステムだったらパニックになるでしょうね。
モーターはもはや、どうでも良くなりました。ここでは我々が来るずっと前からこういう方式で水を使っているのだから、今さら新参者がそれは違法なんですよ、なんて言っても仕方がないし・・・。
トルコでもお水は大変なんですね。それにしても、雨が降ってどうして水が届かないのか、すごく変な話ですよね。あ~あ。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-11 08:10
~ゆきーなさん~
やっぱりこれはシチリア特有の問題なのですね。ここでは朝7時~午後4時くらいまでの間、市の水道管に放水され、そこから各家の貯水槽に細いパイプで水が上がっていくことになってるのですが、どうしてこの方式なのかは良く分かりません。ただ、本土のような整備された水道網ではなく、24時間水が好きなだけ使えないことは確かです。
水道もそうですが、シチリアは鉄道も古くてユーロスターが走れないそうです。こういう根本的な問題は、誠実な政治家がシチリアの生活環境とレベル改善に本気で乗り出さないとだめなのだと思います。まだ30年以上はかかるでしょうか・・・。
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