蝋燭のヴァニタス

 豪雨になったら停電する。これがラグーザ生活の常識。町外れの変圧所(と言う?)に問題が生じるらしく、雨がざんざん降る時はそろそろ来るか、と自然と身構える。
 昨日は朝から霰(あられ)がけたたましい音を立て、午後もずっと暴風雨。そして夜、ついに消えた。

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 けれども慌てない我々。蝋燭は常備、キャンドルはいつでも使えるように飾ってあるから、ルカがポケットからライターを出してシュッで事足りる。
 もはや我々の意識は、この光をいかに倍増させるかへと向かっている。キャンドルを高い場所に乗せたり、二人のいる場所を取り囲むように配置してみたり、蝋燭の前に鏡を置いたり、しばし光と遊ぶ。
 そして決まってこう言う。ああ、今雨が降っていなければ、星がたくさん見えるのに。
 町中の灯りが消えると、星の瞬きはより白く、太く、近く、多く見えることを、ある夏の夜の突然の停電で知った。雨と停電の睦み合いの、いと疎ましきかな。


 炎は消えてしまうものだからこそ、燃えている姿に無心で見入ってしまうのかもしれない。ヴァニタスを主題にした絵画や音楽に満ちている、滅びる運命への感傷的なまなざしを思い出していた。

ジャーコモ・カリッシミ(Giacomo Carissimi, 1605-1674)作曲
 モテット《空の空なるかなVanitas vanitatum

Sicut aquae dilabimur, et sicut  私たちは水のように流れ、そして
folium quod vento rapitur, deficimus,  風に舞う葉のように引き離され
eripimur. Votis decipimur, tempore  連れ去られる。祈りに欺かれ、時に
fallimur, morte deludimur; quae  だまされ、死に嘲られる。私たちが
nos anxii quaerimus, quae solliciti  身を焦がして求めるもの、心を砕いて
petimus, omnia vanitas et umbra sunt.  探すもの、いっさいは空で影に過ぎない。

Vanitas vanitatum et omnia vanitas.  空の空、いっさいは空である。
(訳詞はCD「反宗教改革の新しい歌―1650年頃のローマの音楽―」より引用)



 たまには暗闇で、うつろいゆくものを観照するのも悪くない。

蝋燭準備、できてますか?    
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by hyblaheraia | 2009-03-07 21:52 | 生活 | Comments(4)
Commented by jose at 2009-03-08 11:44 x
昔近所で2度ほどロウソクに依る火事が有りましたのでご注意ください外国の物は日本の物より倒れにくそうですが老婆心ながらコメントさせて頂きました。
Commented by gabbyna at 2009-03-08 23:41
うちもキャンドル常備しています。最近は、小さいガラスのコップ?!に入った、キレイなのもあるようになりました。
こちらも季節の変わり目は、夜大雨と共に電気がよく消えます。
時にキャンドルの灯りには、見入ってしまいますよね。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-09 08:03
~joseさん~
ご心配くださりありがとうございます。遠く離れた日本からお優しいコメントをいただき、とても嬉しく、また恐縮しております。
停電は数時間で終わりましたが、翌日、水がなくなりました。通常生活に戻るまでまだ4~5日はかかるので、落ち込みます。
Commented by hyblaheraia at 2009-03-09 08:22
~gabbynaさん~
そちらも大雨と停電はセットなんですね!日本ではそんこと考えられないから、事情が分かり合えて嬉しいです。日本で最後に停電にあったのは、いったいいつだったか・・・。
最近のキャンドルはいろいろ素敵なものがありますよね。灯りの色が暖かくてゆらゆらしているから、ぼーっと見てしまい、電気が戻るとがっかりしたりします。
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