生クリームがあれば

 リディアが幼稚園に行っていて、我々二人だけのある日のランチのこと。冷蔵庫にあるものでパスタを作ろうということになり、ひき肉と野菜数種を炒めていたら、想像する味の世界が別の方へ膨らんでいき、思わず一言。
 ああパンナ(生クリーム)があればなぁ…。
 それを聞いたルカが始めたのは、

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ガガガーッ、ガガー。牛乳に油を細く垂らしながらハンドミキサーで混ぜる、手作り生クリーム!本当にできるのか半信半疑だったけれど、みるみるうちに牛乳にとろみが付き、

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この通り!これは完全に生クリーム。ついでに舐めて、なめクリーム!

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 早速、パスタの具に投入。
 このトロ~リとした垂れ方が嬉しい!本当に本当に生クリームだわ!

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 出来上がりはこの通り、味も満足。ほんのり甘くて濃厚な生クリームが野菜のうま味をぎゅっと閉じ込めて、小さい筒のパスタとよく絡むこと!
 美味しいね!凄いね!と嬉しがってチーズを削り入れると、さらに濃厚な味に。
 
 ガーガー生クリーム、簡単に作れることが分かってしまったので、これからの料理が楽しみでもあり、恐くもあり…。
 それにしても論文を書いている間にこんなことをネット検索していたとは…。



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# by hyblaheraia | 2016-11-17 06:10 | 料理 | Comments(4)

居場所としての

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 2か月の東京滞在から戻って来ると、シチリアにはまだ夏を思わせる太陽が照り付けていて、


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空にはただ、ただ青が色濃く塗られていた。この何もなさにほっとし、ゆったりとした人々の時間と仕事の感覚に安堵する。


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 はからずも、週末は慣れ親しんだ教区教会の、ロザリアの聖母祭りと重なっていた。ドラムの音に思わず家族3人、家から飛び出し、プロチェッシオーネ(キリスト教の宗教行列)の列に連なる。まるでその教区の昔からの住人のように。


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 悲哀とコミカルさが混じり合った、不思議な魅力のシチリアのブラスバンドに心をくすぐられるのは毎年のこと。

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ああ、この音、静かな熱気、喜ばしい空気、そして久しぶりに会う友人たち。長い東京滞在から戻ってきて、こんなふうに思うとは思わなかった。自分たちの居場所としてのシチリアを。


追伸:長い間、更新していませんでしたが、時々見に来てくださった皆さん、ありがとうございました。またブログを再開しますので、楽しくお話できたらと思います!


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# by hyblaheraia | 2016-10-16 20:32 | 生活 | Comments(8)

空の見えるキッチン

 復活祭の長い休みの間に思いつき、のんびりと時間をかけて作った「空の見えるキッチン」。最初から設計図やイメージがあった訳ではなく、作りながらひらめき、改良し、またアイディアが湧くという、自由かつ流動的な方法で、最近形になったばかり。

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 材料は段ボールやお菓子の箱、包装紙など。カッターや鋏を使う作業は私が一任、デザインの詳細は優柔不断な母に代わってリディアの一言で決まったもの多し。例えば、オーヴンの取っ手は黄色かオレンジにしようとしたら、No, no, ブルーがいいの!と。後ろの壁に貼り付ける包装紙で迷っていたら、たくさんの色にして!と希望。こうしてブルーを基調にした、タイル風の仕上がりになり、さらに、


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オーヴンの使い方も指示。リディアがコレクションしている牛乳のふたをオーヴン下段にポイポイ投げ込み、これは火なの!と。グリル部分にするつもりだったけれど、火がパチパチ音を立てるのもいいものだ。 

 そして窓。キッチンから見える景色を考えていたら、ラグーザの空はあまりに魅力的で一つに絞れず、いろいろな空に取り換えられる窓にしてみたくなった。リディアと一緒に空の絵を描き、


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天気の良い日は、いつも見ている向こうの丘とその上を流れる青い空を。


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夕方には赤く染まる西の空を。


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突然の悪天候に見舞われたときは、激しく叩き付ける雨を。


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でもリディアは雨があまり好きではない。雨とにらめっこしながら、料理に勤しむ。



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さかな雲が泳ぐ穏やかな昼間の空や、水の中の生物 Fifilaglis(フィフィラーグリス、リディア命名)が訪ねてくる日もあったり。


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そして長い一日が終わり、寝る時間には、月夜の空にお休みなさい。



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 山の町ラグーザの、刻々と変わる空模様を肌で感じながら、野菜を洗ったり、切ったり、食事に招待してくれたり。普段のおままごとにこれまでとは違う時間と、空気と、風がふわりと入って来た。



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 立体的な空間と時間を認識することで、自分のスペースの概念もまた生まれたよう。外から帰ってきて手を洗いましょう、と言うと、ルカを連れて手を洗いに行ったり、ルーコラを洗うのを手伝って、と言うと、ちょっと待ってて!とルーコラをわしづかみにして洗って来るなど、リディアの生活の場の一部となりつつある。



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 最近は、星の輝く夜空を描こうと言っている。季節が変われば、また違う空と景色を描きたくなるだろう。もう少し大きくなったら、私が手伝わなくても、新しく見つけた空を一人で描くのではないかな。実家のある東京やナポリの空も。

 キッチンの窓と空は、リディアの目と心そのものなのかもしれない。新たに加わる空の絵とともに成長を見守るルカと私の目も心も、そこに注がれている。




追伸:リディアに「フリーゴ(冷蔵庫)は?」と問われる毎日。最後の写真のドラえもんが乗っている箱が冷蔵庫になる予定。




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# by hyblaheraia | 2016-05-09 19:02 | 生活 | Comments(8)

空から突然! -ラグーザ、虫の季節到来-

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 それは突然、右上空からやって来た(赤い軌跡を参照)。身の危険さえも覚えるほどの音量で、ブブブブンと鈍い羽音を轟かせながら、なにやら黒っぽい、かなり大きめの虫が飛んできたと思った瞬間、バサッ!不気味な音とともに、フクロウの蚊取り線香立ての中に飛び込んだ。時々、黒い足がカサコソと見え隠れし、怖さと気味悪さが一気に爆発!。

 キッチンに飛び込み(虫の出現から約4~5秒)、窓を閉める(約2.5秒)。ルカに虫の出現状況を説明(約7秒)、クマンバチかもしれないね、と二人で窓から外を観察することに(珍しく3秒ほどで意見一致)。

 そう言いつつも、私にはクマンバチではないことは薄々分かっていた。ラグーザでの長年の虫騒動の経験から、あの後ろ足の長さと屈折具合はハチ系ではなく、イナゴかバッタの類で、アフリカから飛んできた珍しい品種ではないかと・・・(虫を待つこと、約1分)。

 するとその時、蚊取り線香立ての横をジリジリと歩く物体が!あっ、出てきた!
 我々もキッチンから出ていく(我先にと争い、テラス到着まで約3秒)。
 


 ところが、 (この先、虫嫌いの方にはお勧めしませんが・・・)
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# by hyblaheraia | 2016-05-05 18:40 | 野鳥・昆虫・動物 | Comments(4)

夕空に舞う鳳凰

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 ラグーザの夕空に現れ出でた一羽の鳳凰。凛と伸び、高く跳ね上がった尾、そして細く舞い散る羽根は、飛翔の速さを物語っている。
 どこへ急いでいるのだろう。もはや頭は軒の向こう、南へ向かって下り始めている。

 吉兆をもたらすと言われる、鳳凰。音もなく、風も立てず、声も出さず、人知れず飛んでいくその姿を、ただ黙って追っていきたい気持ちになった。平穏へと、私たちを導いてくれる気がして。
 

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# by hyblaheraia | 2016-05-03 02:14 | 自然 | Comments(0)

ヴェスパ誕生70年祭 ラグーザで記念イヴェント

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 その名はヴェスパ Vespa、日本語の意味はスズメバチ。イタリアを代表する工業デザインの一つであり、世界中で愛されているピアッジョ社のスクーター。そのヴェスパ誕生(商標登録)からちょうど70年目となった4月23日、サン・ジョヴァンニ広場では記念イヴェントが開かれていた。


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 ラグーザ、モディカ、コミソの3つの町にあるヴェスパ・クラブが、それぞれのブースに自慢の数台を展示。


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 1940年代の最初期のモデルから現在のものまで、ヴェスパがずらりと並ぶ。何十年も前のものとは思えないほど、どれもメンテナンスが行き届き、ピカピカに磨き上げられている。見た目はまるで新車。


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 けれども中には、古びた走行不可能なものも。
 説明プレートには「あの伝説の一台がここに」という書き出しが。映画《ローマの休日》(1953年)でオードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックが乗っていたのと同じモデルで、1952年製。フロント・ライトがハンドル部分ではなく、前輪の泥除け部分に付いているのが特徴なのだそう。


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 なるほど後輪が外れて動かなくても、伝説の一台は永遠に伝説。
 こうしてプレート読んでいくと、持ち主のヴェスパへのこだわりや愛情を知り、他のヴェスパへの眼差しも変わっていく。


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 こちら、ロープで立ち入り禁止となったゾーンには珍しいヴェスパが数台。


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 例えば、メカニック部分がなく部品と化したヴェスパも、アンティークとして展示され、


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修理と塗装で甦った一台も、こうして修理過程の写真とともに堂々と。


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 そしてこの日、人々の注目を一身に集めていたのが、この幌付きの一台。全体から醸し出される、なんとも言えない朗らかさ、明るさ、人懐っこさ!


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家族や友達とワイワイ乗り合わせ、ラグーザの丘を走り抜けたのだろう。いや、もしかすると現役か?!


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 コロンとした横からの姿も、

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ブルンブルン聞こえてきそうな後ろ姿も愛らしく、見ているだけで心が和む。
 デザイン性だけでなく、親しみ易さ、乗れそう・乗ってみたいと思わせる安心感こそが、世界中で世代を超えて愛される所以なのではないか。ギラギラのエンジンやらモーターやらがむき出しのバイクだとそうはいかないから。


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 ところで各車両には、このような金色のタグが輝いていた。FMI(Federazione motociclista italiana)イタリア・オートバイ愛好家協会による、歴史的モーター認定のエンブレム。大切にしてきた愛車ヴェスパの勲章のようなものなのだろう。
 これは1956年製で、


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 こちらは1957年製。先の幌付きとは雰囲気ががらりと変わり、サイドカー付きの、非常にエレガントなフォルムが印象的。


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 白鳥号と名付けたくなるような色、ふくよかさ、そして曲線美。


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 他に目を引いたのは、後部座席が横座りになっているこのタイプ。さあ、お乗りなさいと言わんばかりに、見ている者を誘いんで来る。お姫様座りで乗るヴェスパは、さぞロマンチックなことでせう。


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 こんなアタッシュケース付きのものも。サイドカーと横座りシート付きということは・・・運転手はまさに両手にバラ?!


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 会場にはテントがいくつか出ていて、地元のヴェスパ・クラブとMFIオートバイ愛好家協会への勧誘も行われていた。こうした活動で、お蔵に眠る歴史的ヴェスパが日の目を見るチャンスが生まれるのだろう。

 こうして見て回り、一言にヴェスパと言っても、いろいろなタイプがあることを知った。そして、立ち話のおじいさんたちの話に耳を澄ますと、一台一台に刻まれた歴史をまるで家族のことを話すかのように、愛情深く語り合う声が聞こえてきた。青春時代にともに遠出した一台を大切にメンテナンスし、動かなくなっても古き良き思い出とともに手元に残しておく、そうしたヴェスピスタ(Vespistaヴェスパ愛好家)たちの温かい想いがあふれる時間。

 一台のヴェスパには、人それぞれに語る夢があり、思い出があり、今がある。ヴェスパはまさにイタリア人にとっての夢。その夢は世界中のヴェスパ愛好家の夢へと広がっている。


追伸:世界中にヴェスパ・クラブが存在し、日本ではヴェスパ・クラブ北海道、宮城、東京、横浜、京都、大阪などがあるようです。ヴェスパへは本当に世界中で愛されているのですね!


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# by hyblaheraia | 2016-04-30 08:51 | 祭り | Comments(2)


シチリアのラグーザ(ラグーサRagusa)より、時に音楽を交えて。ナポリ人の夫ルカと娘リディアも度々登場。リンクフリー。


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